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英語を武器に人生を渡っていける子どもたちを育てたい。群馬県高崎市の語学スクール「外国語会話学校エスパス」は、そうした思いを実現するために、幼児期から英語に囲まれる教育環境を作り、高度な英語力を身につけた人材を送り出している。このような教育方針をもっと多くの人に知ってもらいたいと、ホームページの構成を工夫したり、映像を使って情報を発信したりと、ICTを活用した告知に力を入れている。(TOP画像:エスパスのホームページ)
外国語会話学校エスパスを運営するエスパスコーポレーションは、代表取締役の佐藤公彦氏が20年間短大で教授として語学を教えた後、2007年4月に立ち上げた会社である。「生徒の一人ひとりと向き合って語学を教える環境を作りたいと思ったからです」(佐藤社長)と、50歳で独立した経緯を振り返る。
外国語会話学校を立ち上げ教育事業を進める中で、幼児期から英語バイリンガルを育てる「GrapeSEED」に出合い、導入を決断
「高校時代にアンドレ・ジッドの『田園交響楽』という小説に出会い、フランス語の原書で読んでみたいと思ったのが、外国語に興味をもったきっかけです」(佐藤社長)。そこから大学でフランス語を学び、もっと勉強したいとフランスのパリ第4大学に留学し、帰国して大学院に入って文学修士の学位を得た。その後、短大・大学で20年間教鞭をとったが、独立後はもっと多くの人に外国語の面白さを知ってもらいたいと思うようになった。
こうして立ち上げた「外国語会話学校エスパス」では当初、マンツーマンレッスンを中心に英語やフランス語などを教えていたが、2013年に「GrapeSEED」という英語学習のプログラムに出合ったことで、事業の方向性を切り替えた。「GrapeSEED」とは、宮城県仙台市にある明泉幼稚園で2009年に発案された英語バイリンガルプログラム。「アメリカ人の子どもが生活の中で英語を覚えるような環境を作って、語彙(ごい)や表現を繰り返し学ぶことで、英語によるコミュニケーション能力を身につけていくことができます」(佐藤社長)
週に3回の授業を6年間受け続けるプログラムから、小学5年生で英検準2級を取得する子どもも生まれた
これを理想のプログラムと感じ、2015年から学内にコースを設置して、対象となる5歳から6歳の子どもたちを受け入れてきた。週に3回通学し小学校卒業まで継続するプログラムで、もちろんレッスン中は英語しか喋らない。ただ、家に帰れば親との会話は日本語になるため、家庭用のアプリを毎日使って反復学習する。「子どもは覚えるのが早いですが、忘れるのも早いので、週3回のレッスンで知識の定着を図っています」(佐藤社長)。
すでに「GrapeSEED」の学習成果は顕著に表れている。「1期生の子どものひとりは、小学5年生で英検準2級に合格し、6年生で2級も取得しました」(佐藤社長)。こうした英語のスキルは将来、仕事に就く際に有利になるが、それだけではない。「中学校に入る段階で英語が得意だと、他の科目を勉強する時間的余裕ができて、全体の成績が上がります」(佐藤社長)。このように様々な学習効果がある「GrapeSEED」をもっと知ってもらい、子どもたちの将来に役立てて欲しいと、同社では2010年に立ち上げたホームページを、2021年に今の形へとリニューアルした。
ホームページをリニューアルし、トップページをスクロールするだけで提供サービスを見られるようにした
「ホームページで読まれるのはトップページが圧倒的に多くて、なかなか次のページには行ってもらえません」(佐藤社長)。そこで、トップページに「GrapeSEED」と「英語4技能クラス」「マンツーマンレッスン」の紹介項目を配置。下にスクロールするだけで、「外国語会話学校エスパス」の概要がわかるようにした。説明会への参加フォームを開くボタンもトップページに配置して、興味を持ったユーザーがすぐにアクセスできるよう工夫した。
自動応答のチャットボットも使えるようになっていて、スマートフォンからでも手軽に相談できる。「サポート付きホームページ作成ソフトを使っているため、新しいお知らせを伝える『What's New』も、ホームページ制作会社を介さないでこちらで発信できます。毎月サービスの利用料はかかりますが、更新を外部に頼むと何万円かかかっていたものが不要になりました」(佐藤社長)。現在、その「What's New」には「GrapeSEED」の修了式に渡された英語で書かれた修了証とクリスタルの記念盾の写真が掲載されている。子どもたちの達成感が目に浮かぶようだ。こうした情報を見て、子どもに「GrapeSEED」を勧める親も増えるだろう。
YouTubeで「GrapeSEED」のレッスン動画を配信して興味を持ってもらう
ホームページでのアピールに加えて、YouTubeを使った動画配信も行い、「GrapeSEED」ではどのようなレッスンが行われているかを紹介している。そこには、明るく楽しい雰囲気の中で、生きた英語を学んでいる子どもたちがいる。TikTokやInstagramなど様々な発信方法が出てきているが、同社が行っているのは今のところYouTubeのみ。「SNSは個人の情報発信の場だと思っているので、手を出していません」(佐藤社長)。ただ将来、その効果を見ながら導入を検討していくつもりだ。
今後も載せる情報を増やして、スクールの取り組みを全方位にアピールしていくのか問うと、「逆に今はもう少し、トップページの情報を減らしても良いかもしれないと思っています」(佐藤社長)。同社ではスタートした時の経緯もあって、トップページにマンツーマンレッスンの紹介項目を置いているが、これを他のページに移すことを考えている。「『GrapeSEED』や『英語4技能クラス』といった、児童や中高生を対象にした語学学習がメインとなってきています。こうした特徴を際立たせるためには、情報を絞る必要があると考えています」(佐藤社長)。決してリソースの多くない中小企業にとって選択と集中は不可欠。ホームページでもそれを実践しているといえそうだ。
コロナ禍ではオンラインレッスンに切り替え子どもや親が安心して学べる環境を提供
対面レッスンが基本である語学教育だが、コロナ禍で通学が難しくなった時期があった。その際には、「Zoomを使ったオンラインでのレッスンに切り替えて対応しました。最初は不慣れなためZoomに入れない方もおられましたが、使い方を覚えて頂き、2回目以降の緊急事態宣言下では、皆さん問題なくオンラインレッスンを受けていただけました」(佐藤社長)。現在もホームページには「エスパスは対面レッスンのリスクが高いと判断した場合、即座にすべてのレッスンをZoomやSkypeを用いたオンラインレッスンに切り替える準備をしております」と記載している。
前述の「GrapeSEED」の家庭学習用アプリはパソコンやタブレット、スマートフォンを使って行うが、毎日アプリを開いて学習することにより、より深く"英語漬け”の生活が過ごせることになる。「アプリを何回起動して勉強したかはこちらで把握できますので、あまり見ていないお子様がいたら、個別面談の時にもっと頑張るよう指導しています」(佐藤社長)。対面でのレッスンに加えて、ネットワークを利用した学習も充実させていくことで、学習成果を着実に上げたいと考えている。
学校の前にデジタルサイネージを置いてサービスをアピール、生徒の入退室時刻を保護者に送信するシステムも好評
高崎駅前にほど近い校舎の前では、デジタルサイネージを通してスクールのサービス内容を通りがかる人に発信している。また、生徒たちが来校した時にカードをタッチして、保護者に入退出の時刻を伝えるシステムを導入している。これは通学時の安全を願う保護者に安心感を与えている。これから少子化が進み、スクールビジネスは厳しさを増すと見られるが、「群馬県は教育熱が高く、子どもに投資する親も多いと見ています」(佐藤社長)。少なくなるパイを奪い合う状況も起こりそうな中で、「選ばれる英会話スクール」としての生き残りを目指している。
企業概要
会社名 | 株式会社エスパスコーポレーション |
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本社 | 群馬県高崎市連雀町7-2 エンザビル3F,4F |
HP | https://espace-takasaki.com/ |
電話 | 027-326-5330 |
設立 | 2007年4月3日 |
従業員数 | 10人(非常勤講師含む) |
事業内容 | 外国語会話教室の運営、翻訳・通訳 |