相続税においては「亡くなった人が事業を営んでいたか否か」も重要になります。
なぜなら、事業を営んでいたということは、事業用資産があるということ。
つまり、事業用資産の相続税評価を行う必要があるということなのです。
事業用資産の相続税評価はどのように行えばいいのでしょうか。
事業用資産の相続税評価方法について解説します。
事業用資産の相続税評価方法とは
亡くなった人が事業を営んでいた場合、事業に関する資産が残っているはずです。
亡くなった人の生活上の資産と事業用資産では資産的な性質が異なるため見逃しがちですが、事業用資産も相続税の対象であり、事業用資産として相続税評価を行う必要があります。
事業用資産は、事業用資産という大きな括りで相続税評価方法が定められているわけではありません。
事業用資産を4つの種類にわけて、事業用資産の種類ごとに相続税評価を行うのが基本的な流れです。
事業用資産の種類は、次の4つになります。
また、それぞれの事業用資産にどのようなものが含まれるかを下表に示します。
1.棚卸資産
2.減価償却資産
3.貸付金債権
4.その他の事業用資産
事業用資産(種類) | 種類にわけられる資産 |
棚卸資産 | 商品・製品・原材料・半製品・仕掛品 |
減価償却資産 | 器具・工具・車両・機械装置・備品 |
貸付金債権 | 売掛金・未収入金・貸付金 |
その他の事業用資産 | 屋号名義の預金・手許現金 |
棚卸資産の相続税評価方法
棚卸資産とは、事業用資産の中でも商品や製品、原材料などのことです。
棚卸資産に含まれる事業用資産は大きく2つにわけて計算し、相続税評価を行います。
まずは、棚卸資産をさらに細かく2つの種類にわけ、それぞれで計算するところからスタートです。
仮にグループ①とグループ②とします。
グループ①商品、製品
計算式: 亡くなった日の税込販売価格-(利益+予定経費+消費税)
グループ②原材料、半製品、仕掛品
計算式: 亡くなった日の税込仕入価格+引取り運賃、その他の経費
グループ①とグループ②で計算を行い、単価を算出します。
算出した単価と棚卸表在庫数をかければ、一通りの流れは終了です。
減価償却資産の相続税評価方法
器具や工具、備品などが滅価償却資産になります。
事業の道具類が主としてこの種類に分類されると考えればわかりやすいはずです。
滅価償却資産に含まれる事業資産は、 1個(1組)ごとに固定資産税評価を行います。
「売買実例価額または専門家の意見を参考にした価格」が基本になりますが、滅価償却資産の中には、実例売買価額や専門家の評価が難しい事業用資産もあるはずです。
基本的な評価での価額判断が不明な場合は「亡くなった日の新品小売価額から、製造時から亡くなった日までの定率法で償却費を差し引いて金額を求める」ことになります。
なお、製造時から亡くなった日までの期間は、1年未満切上げです。
所得税の申告で定額法を使っていた場合でも、相続税申告では定率法を使います。
このポイントを間違えないようにしましょう。
貸付金債権の相続税評価方法
貸付金債権には、主にお金を受け取る権利が分類されます。
具体的には売掛金や未収入金などが貸付金債権に含まれる事業用資産です。
売掛金や未収入金などの貸付金債権は元本に、亡くなった日までの利息のうち受け取り期限が到来していない分を足すのがルールです。
受け取り期限が到来しているのにまだ受け取っていない利息は、未収入金という扱いで、別に相続財産に計上します。
債権の中には、取引先(債務者)が支払いのできる状況ではないものも含まれているはずです。
取引先(債務者)が手形交換所の取引停止処分を受けている場合や、民事再生手続き・会社更生手続きなどに入っている場合は、支払いを受けられる可能性が低いため、元本に加える必要はありません。
年賦償還や債権切り捨て、棚上げがある場合は、切り捨て分は元本から引いて差し支えありません。
5年を過ぎてから弁済される債権金額も同様に元本から差し引くことが可能です。
その他の事業用資産について
事業で使っていた屋号名義の預金や手許現金(手許に所持していた紙幣や貨幣などの現金)も相続税の対象になる相続財産です。
忘れずに相続税評価を行う必要があります。
屋号名義の預金や手許現金は事業用ではありますが、相続税評価方法としては、普通の現金や預金と変わりません。
預金や現金と同じように相続税評価を行います。
まとめ
相続時は亡くなった人の私生活上の財産のみが話題になりがちですが、事業を営んでいた場合は事業用資産も相続税の対象になります。
事業用資産を種類ごとに分類し、種類にあった方法で算出するという流れです。
全ての相続人が被相続人の事業に通じているわけではないはずです。
相続人の中には、被相続人の事業にはタッチしていなかった人もいるのではないでしょうか。
事業用資産の中でも屋号名義の預金や手許現金などは見逃しやすい財産です。
税理士などに相談し、財産の抜けがないように手続きを進めましょう。
(提供:相続サポートセンター)