矢野経済研究所
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医療・衛生用品市場はコロナ禍前の市場トレンドを回復

~外部環境の変化による原材料・資材費、エネルギー価格、人件費などのコスト高騰から、わが国においても製品価格への転嫁が進行する見込み~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の医療・衛生用品市場について調査を実施し、市場規模推移、参入企業シェアやその動向、市場の将来性について明らかにした。

1.市場概況

主に医療機関や介護施設等において使用される医療・衛生用品(15分野26品目)の2022年度市場規模を5,692億9,000万円と推計した。これはコロナ禍前(2019年度市場規模)との比較では112.6%であり、2019年度から2022年度までの年平均成長率としては+4.0%という水準に落ち着いてきた。コロナ禍において、医療用ガウンやマスク、手袋など個人感染防護具(PPE)を中心とした市場急拡大が終結した製品、受診控えなど患者数減の影響で一時的に減少した製品等分野ごとにそれぞれの差異はみられるが、全体としてはコロナ禍前の市場トレンドを回復する傾向にあると言える。

2.注目トピック

医療・衛生用品についても、今後、価格高騰対策への対応が必要に

国内の医療・衛生用品市場は、コロナ禍前の市場トレンドを回復する方向、微増傾向となる見通しである。
他方、ロシアによるウクライナ侵攻やコロナ禍での経済・財政的対応の影響などによる世界的なインフレーションの発生、特に円安にみられる外国為替の急激な変動といった外部環境の変化による原材料・資材費、エネルギー価格、人件費などのコスト高騰を招き、わが国においても製品価格への転嫁が進行している。
医療機関や介護施設では、運営上すべからく上昇する全てのコストへの対応が求められ、医療・衛生用品のみその例外とはなり得ない。多くの医療・衛生用品メーカーでは、今後、価格高騰対策への対応が必要となる局面に備えている。

3.将来展望

新型コロナウイルスのパンデミックによる個人防護用具や関連製品の世界的需要激増に伴う市場急拡大を経て、わが国の医療・衛生用品の需要形成と市場動向は、次のような要因の影響を大きく受けていくと予測する。

  • 人口構成の変化に伴う高齢化需要と介護市場の拡大
  • 製品供給体制の整備と輸入依存度低下
  • 地域医療構想に即した病床機能再編
  • 在宅セルフメディケーション市場の拡大
  • 原材料価格高騰と価格への転嫁

調査要綱

1.調査期間: 2023年9月~11月
2.調査対象: 医療・衛生用品メーカー
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、周辺調査、ならびに文献調査併用
<医療・衛生用品市場とは>
本調査における医療・衛生用品市場は、主に医療機関や介護施設等において使用される、次の15分野26品目の用品(おもにディスポーザブル製品)を対象として、メーカー出荷金額ベースで算出した。

1.衛生用品3品(ガーゼ/脱脂綿/包帯)、2.絆創膏(固定テープ・巻絆創膏/救急絆創膏)、3.サージカルドレッシング、4.医療用縫合糸(吸収性縫合糸/非吸収性縫合糸)、5.キット製品、6.医療用覆い布(ドレープ)、7.医療用ガウン(サージカルガウン/アイソレーションガウン・患者衣)、8.不織布製品小物類、9.医療用シーツ、10.医療用マスク(市販向け/医家向け)、11.医療用手袋、12.整形外科関連製品(ギプス包帯/医療用サポーター)、13.ウェットティッシュ(医療衛生用)、14.大人用紙おむつ(パンツ型・テープレス式/パンツ型テープ式/フラット型/パッド型/軽失禁型)、15.滅菌包材
<市場に含まれる商品・サービス>
医療・衛生用品

出典資料について

資料名2022~2023年版 医療・衛生用品の市場実態と製品別需要動向
発刊日2023年12月08日
体裁A4 270ページ
価格(税込)165,000円 (本体価格 150,000円)

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