健康総合企業のタニタは、「熱中症に関する意識・実態調査 2024」を実施した。同調査は2019年から毎年実施しているもので、今年で6回目となる。全国の15歳以上の男女1000人を対象に、6月4日から5日の2日間、インターネットリサーチで行った。今回は新型コロナウイルス感染症が感染症法上の「5類」に移行してから一年が経過し、人々の行動がパンデミック以前に戻りつつある中での調査となった。その結果、7割を超える人が夏の暑い時期に熱中症対策を行っていることに加え、熱中症の症状や予防などに関する知識は年々、深まっていることが分かった。
マスクの着用率は年々、低下している。2022年は84.4%、2023年が56.4%だった夏のマスクの着用率だが、2024年はついに5割を下回った。年代別にみると、40代、50代、60代以上はそろって5割を超えたが、10代、20代、30代の若年層は4割台となった。マスクの着用については昨年3月から個人の判断に委ねられるようになったが、各年代とも新型コロナウイルス感染症の感染対策と、“マスク熱中症”の対策をバランスよく行っていることがうかがえる。
節電に関する意識について、自身の考えにどの程度あてはまるかを聞いたところ、「今年の夏は節電を心がけようと思う」では、「あてはまる」は68.7%となった。年代別にみると、「あてはまる」と回答した人の割合は60代が最も高く、全体平均を10ポイント以上も上回る78.9%に達した。エネルギー価格は物価高によって高止まりの状態が続いており、節電に取り組もうと考える人が増えているようだ。消防庁が発表した「令和5年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」によると、熱中症の発生場所は住居が最も多くなっている。節電を心掛ける際には熱中症の予防にも意識を向け、室内における熱中症のリスクを回避する必要がありそうだ。
環境省は4月に「熱中症警戒アラート」よりも一段強く熱中症予防の行動を呼びかける「熱中症特別警戒アラート」の運用を開始した。認知率は導入前の昨年と比べて13.6ポイント上昇した。しかし、2021年に運用を開始した「熱中症警戒アラート」の認知率は82.1%と高く、「熱中症特別警戒アラート」の認知度は「熱中症警戒アラート」に比べるとまだまだ低いといえそうだ。一方で、気温や湿度、輻射熱を取り入れた指標「暑さ指数」(WBGT)の認知率は前年比6.4ポイント増の57.9%と、認知度は年を追うごとに上がっている。
今年4月からクーリングシェルターの指定・運用がスタートし、その認知率は昨年の調査結果と比べて12.5ポイント上昇した。ただ、「自身の行動範囲にあるクーリングシェルターを知っているか」と聞いたところ、「知らない」と回答した人の割合は90.7%にも上った。クーリングシェルターの仕組みについては理解しているものの、クーリングシェルターがどこにあるのか大多数の人に認知されていないという実態が浮き彫りとなった。
暑熱順化の認知率は5割を超えた。しかし、「暑熱順化には数日~2週間程度かかることを知っていた」人の割合はわずか27.4%にとどまった。また、「一度暑熱順化ができても、数日暑さから遠ざかると、暑熱順化の効果がなくなってしまうことを知らなかった」との回答は73.9%と、ほとんどの人が知らないことが明らかになった。からだが暑さに慣れた後、しばらく涼しい気候が続いたり、エアコンの効いた室内で過ごしたりすると、からだが暑熱順化していない状態に戻ってしまうので、注意する必要がある。
今年の夏も、全国的に気温が平年に比べて高くなる見通しで、厳しい暑さが予想されている。気象庁が6月末に発表した7月~9月までの天気予報「3ヵ月予報」によると、全国的に気温が高い状態が続き、“猛暑”になると予想している。熱中症への意識を高め、予防していくことが求められる。熱中症は予防策をとれば、防ぐことができる疾病とされている。タニタは熱中症指数計や温湿度計などを製造・販売しているほか、7月10日には複数地点の異なる暑さ指数を自動で収集し、遠隔で一元管理する新サービス「タニタ暑さ指数管理サービス」の提供を開始した。また、自治体と協働し住民に対する熱中症リスクの「見える化」や啓発セミナーを行うなど暑さ対策に取り組んでいる。タニタでは室内外の適正環境づくりに関わる商品を展開するとともに、熱中症予防に関するさまざまな情報を発信していくことで、生活者の健康づくりをサポートしていく考え。
[調査概要]
調査タイトル:熱中症に関する意識・実態調査2024
調査対象:ネットエイジアリサーチのインターネットモニター会員を母集団とする全国の15歳以上の男女
調査期間:6月4日~6月5日
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
有効回答数:1000サンプル