目次
- 建設資材として活用する海砂、真砂土、山砂といった数十種類以上の砂を扱う
- 導入したデジタル技術をフル活用 従業員の負担を軽減し、生み出した時間を効率的に活用する
- クラウド型の社内文書の共有システムを活用して業務処理をスピードアップ
- 複合機のスキャン機能を使って紙書類のデジタル化を進める
- クラウド型の会計システムを使うことで会計業務が劇的に改善 月次決算も迅速に
- 顧問税理士にアクセス権を提供して会計情報を共有 データを活用して経営に役立つ資料も作成できる
- デジタルサービスを使って受信したFAX文書を必要なものだけ印刷
- 取引先の動きに対応しながらペーパーレス化を進める
- 2019年にホームページをリニューアル 新規の注文が着実に増加
- これからもICTを積極的に活用してビジネスモデルの強化を図る
建設や土木の工事現場では大量の砂や砂利がコンクリートなどの材料として使用されている。香川県観音寺市の株式会社小西は、砂や砂利を中心とした建設資材を調達する商社として創業以来60年以上にわたって日本のインフラを支え続けてきた。世界各地で都市化が進み、建設資材としての砂の需要は高まり続けている。砂の調達、供給に取り組む国内企業の役割が大きくなる中、小西は先を見据え、クラウドサービスを活用した基幹業務の効率化を通じて社内体制を強化している。(TOP写真:大量の砂を保管するバックヤードで作業する小西のホイールローダー)
建設資材として活用する海砂、真砂土、山砂といった数十種類以上の砂を扱う
小西は砂利採取販売業者として1961年に創業し、1996年5月に株式会社化した。年間3万トン以上の海砂、真砂土、山砂、砕石といった数十種類以上の砂を扱い、大手建設会社、コンクリートメーカー、学校、自治体など取引先は200を超える。香川県観音寺市の西端にある観音寺港の近くに本社を構え、隣接した敷地で大量の砂を保管し、砂粒の大きさを整えるための大型ふるい機を設置している。
ゴルフ場用のバンカー砂やグリーン目土砂の製造販売、野球場用の黒土混合土の販売、砂・砂利・石材などの輸入販売も行っている。これらの事業は20年以上前から、会社の収益源を多角化するために取り組んでいる。機械の導入にも積極的でホイールローダー4台、油圧ショベル3台、ダンプ4台を所有している。香川県三豊市内ではゴルフ場用の砂を加工する工場を運営している。
導入したデジタル技術をフル活用 従業員の負担を軽減し、生み出した時間を効率的に活用する
小西はデジタル分野でも着々と設備投資を展開。近年は、クラウドサービスを活用した基幹業務のデジタル化を推進している。2019年3月に社内ドキュメントの共有システム、2023年7月には会計システムを導入した。社内の一連のデジタル技術導入の旗振り役となっているのが、現在46歳の小西陽専務取締役だ。
「導入したデジタル技術はフル活用することをモットーにしています。業務の効率化に役立つデジタル技術が次々に登場しているのは、大企業と比べて経営資源に限りがある中小企業にとってありがたい話です。従業員の負担を軽減すると同時に、新たに生み出した時間をお客様とのコミュニケーションや新しい事業のための準備にあてることができますから」。小西の本社で取材に応じた小西専務はうれしそうに話した。
クラウド型の社内文書の共有システムを活用して業務処理をスピードアップ
社内文書の共有システムは、クラウドストレージを介して、帳票類をはじめとする文書や画像を登録したメンバーで共有し、編集することもできる。小西はシステムのライセンスを4件取得。ライセンス1件あたり5台の端末で利用できるので、小西専務をはじめ従業員はパソコン、スマートフォン、タブレットといった複数の端末を使って様々な場所で仕事をこなすことができるようになった。
小西は帳票類をはじめとする取引の記録を月単位でまとめている。社内文書の共有システムを導入する以前、必要な情報の共有は紙文書中心で行っていた。「お客様からの問い合わせなどで必要な資料を確認しなければならない時は、紙文書を綴じ込んだファイルをキャビネットから引っ張り出して探していたため、時間と手間をとられていました。内勤の従業員が対応することが多く、特定の人に負担が集中するという課題もありました」と小西専務は振り返った。
複合機のスキャン機能を使って紙書類のデジタル化を進める
システムのおかげで、複合機のスキャン機能を使って紙書類をデジタル化し、クラウドストレージに保存しておけば、いつでも情報にアクセスできるようになった。「私だけでなく従業員も、必要な時に必要な資料を短時間で見つけることができるようになり、仕事の効率を当初想定していた以上にスピードアップすることができました。従業員全員で情報を共有することで仕事の属人化解消にもつながっています」と小西専務は説明した。
クラウド型の会計システムを使うことで会計業務が劇的に改善 月次決算も迅速に
クラウド型の会計システムは、インターネットバンキング、クレジットカードの取引明細データ、デジタル化した請求書や領収書のデータと連携することで仕訳作業を簡略化する機能や、日々の仕訳データをもとに決算書を自動作成する機能を備える。データを活用すれば紙文書から会計システムに転記する必要がなくなるので、担当者の負担軽減効果は大きい。
「以前はパッケージの会計システムをパソコンに組み込んで活用していました。担当者にとって、帳票を確認しながらの転記作業は手間がかかる上、ミスしないよう神経も使っていました。クラウド型の会計システムを活用することで、会計業務に必要な時間を劇的に短縮できるようになり、月次決算も迅速に完了できるようになりました」と小西専務。
顧問税理士にアクセス権を提供して会計情報を共有 データを活用して経営に役立つ資料も作成できる
効果はそれだけではない。顧問税理士にシステムへのアクセス権を提供して、最新の会計データをいつでも確認してもらえるようにしている。修正が必要な際は、その都度対応してもらっている。紙文書やメールで会計の資料をやりとりする必要がなくなり、情報共有が簡単にできるようになったので互いに時間を有効活用できるようになった。
会計データを使って経営に役立つキャッシュフローレポートや収益レポートなどを簡単に作成できる機能も重宝している。「リアルタイムで経営に関する数字を確認することができるのは非常に助かります。財務状況を踏まえた経営判断がしやすくなりました」と小西専務は話した。
デジタルサービスを使って受信したFAX文書を必要なものだけ印刷
それ以外でも様々な取り組みを行っている。その中の一つが、複合機が受信したFAX文書のデータをパソコンで確認して、必要な文書だけを印刷するデジタルサービスの活用だ。「昔は、複合機に入ってくる文書は不要な広告なども含めてすべて自動的に印刷する仕組みになっていたので、無駄な印刷が多く、取り出し口にはFAX文書がいつも大量にたまっていました。サービスを利用して必要な文書だけを印刷できるようになったので、月あたり数百枚以上の用紙の節約につながり、オフィス環境もすっきりしました」と小西専務。
取引先の動きに対応しながらペーパーレス化を進める
取引先の大手建設会社、コンクリートメーカーなどは、やりとりする文書のデジタル化とペーパーレス化を進めているが、中小企業では現在も紙文書中心の会社が多いという。今後、取引先の動きを見ながらペーパーレス化を進めていく方針だ。
2019年にホームページをリニューアル 新規の注文が着実に増加
小西は2019年にホームページをリニューアルし、製品の説明や写真の充実を図った。リニューアル以降、ホームページを経由した新規の注文数が着実に増えたという。「新規のお客様から電話で問い合わせがあった際、ホームページを見ていただきながら説明するとスムーズに話が進みます。営業と業務効率化の両面でホームページは効果を発揮してくれています」と小西専務は話した。
これからもICTを積極的に活用してビジネスモデルの強化を図る
今後、クラウド型の会計システムと連動した勤怠管理システムも導入する予定だ。現在の紙のタイムカードをICカードに切り替えて、従業員の出退勤記録を自動化することで、勤怠管理業務を効率化したいと考えている。
「祖父、父親が構築してきたビジネスモデルをしっかりと強化していきたい」と語る小西専務。砂資源をめぐる国際的な動向に気を配りながら、取扱品目の拡大や需要が高まる緑化事業にも取り組んでいきたいという。堅実に、そして柔軟に。ICTやデジタル機器の効果的な導入がその挑戦を後押しするはずだ。
企業概要
会社名 | 株式会社小西 |
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本社 | 香川県観音寺市琴浪町1丁目16-20 |
HP | https://www.konishik.net/ |
電話 | 0875-25-3881 |
設立 | 1996年5月(創業1961年) |
従業員数 | 9人 |
事業内容 | 海砂、真砂土(花崗土)、山砂、砕石などの販売、ゴルフ場用バンカー砂、グリーン目土砂の製造販売、野球場用の黒土混合土の販売、砂・砂利・石材の輸入販売 |