ノウハウ獲得型M&Aの事例
ドミナント戦略とはいいきれない株式会社OICグループのM&A戦略
2024年2月セブン&アイホールディングスのイトーヨーカ堂が、北海道、東北、信州など7店舗を株式会社 OIC グループへ譲渡して撤退を発表いたしました。
株式会社OIC グループのロピアは、関東から全国へ出店エリアを拡大しています。 また、2024年4月18日株式会社タイシステム(新潟県中魚沼郡)と資本業務提携を発表しました。
タイシステムは、主に公園・公共施設や商業施設屋上などのバーベキュー会場の運営管理を行なっており、飲食店運営、スキースノーボードスクール運営を行っている企業です。「ロピアでお買い物した食材をカートのまま屋上BBQ場へ持ち込み飲食を楽しむ」「大型ブロック肉の解体ショー」など、シナジーが見込めると発表をしています。
株式会社 OIC グループは1971年に創業し、2015年度701億円だった売上は、2023年度グループ合計で4,126億円と急拡大している企業です。 また、1店舗の平均売上が約40億円と業界平均15億前後を大きく上回る収益力です。
私も週末ロピアに買い物へ行きますが、元精肉屋専門店ということも、希少部位がたくさん並んでおります。
厚めにカットしたお肉の見た目にいつも驚かされて、ついつい買ってしまいます。また、お肉だけでなく他の生鮮食品・惣菜なども品質と安さが際立っているように感じます。
この売り場を実現しているのが、各売り場の仕入れが権限移譲されていて、独立した商店のように社内で競争する構造になっている点とドミナント戦略以外のM&A戦略です。
2024年2月に惣菜や煮物類の販売を展開する京都食品株式会社、2023年には養鶏を運営する稲葉ブロイラーを買収し、生産製造企業をグループ合計7社有しています。
面白い売り場で急拡大した「ドン・キホーテ」
株式会社OICグループより先に、権限移譲やノウハウ獲得型M&Aで急成長した企業があります。
それは、「ドン・キホーテ」を運営する株式会社パン・パシフィック・インターナショナルです。 2023年6月期の決算にて売上高1兆9,368億円、営業利益は1053億円(前年比18.7%増)過去最高を更新し、34期連続の増収増益を果たしています。
グループ全体の店舗数は国内617店舗でコロナ渦においても堅調な業績を誇っています。 2006年2月にダイエーのハワイ子会社を買収、2007年にはホームセンター老舗のドイト、長崎屋を買収しています。 また2019年にはユニー株式会社を完全子会社化と続いています。
長崎屋の買収によりこれまで弱かった食品部門のノウハウを獲得することに成功し、生鮮食品なども取り扱う「MEGAドン・キホーテ」を次々と展開することになります。
またユニーは、ドン・キホーテとの共同店へ転換し、業績を伸ばしていきました。 ドン・キホーテが急成長した要因にあります午前~深夜・早朝まで開店している「ナイトマーケット」、圧縮陳列やPOP洪水等の目が行きがちですが、独自ビジネスモデルに足りない要素はM&Aで補ったのは見逃せない戦略といえるでしょう。