人が亡くなった後で、その人が持っていた預貯金や不動産は相続財産とみなされ、遺族などが相続することになります。
ただ、それ以外にも相続財産に該当するものがあります。
ここでは、預貯金、不動産以外の相続財産について、詳しくご説明いたします。
さまざまな財産の相続に関する必要書類のチェックリスト
書類名 | 取得できる場所 | 備考 |
電話加入権の評価資料 | 国税庁ホームページ | 所有の有無や本数については116で確認 |
死亡後に受け取った給与、賞与の支給明細書 | 故人の勤務先 | 在職中に死亡した場合 |
高額療養費、傷病手当金、健康保険給付金の支給決定通知書など | 加入している健康保険より郵送 | 故人がもらうべきお金のため、相続税の対象になります。 |
国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料の過誤納金還付通知書など | ||
所得税の準確定申告書および付表の控え | 税務署へ提出したものの控え | 死亡後に準確定申告を行った場合 |
(生命保険の入院給付金、手術給付金)手続完了のお知らせなど | 保険会社より郵送 | |
(配当期待権、未収配当金)配当金支払通知書、配当金領収書など | (保管されていれば)自宅 | |
(老人ホームの入居金、預け金、保証金)ご返金のご案内、領収書など | 老人ホームの運営会社 | すでに払い込んだ費用のなかで、戻る金額があれば相続税の対象となります。 |
(金地金)購入時の納品書、計算書など | (控えが保管されていれば)自宅 | |
(貸付金)金銭消費貸借契約書、故人・借りた方名義の通帳など | 貸付や返済の事実が確認できるもの | |
(ゴルフクラブなどの会員権)証書、預託金領収書、購入時の領収書など | ||
過去の相続税、贈与税の申告書 | (控えが保管されていれば)自宅 | 故人が過去に相続や贈与で財産取得していた場合 |
電話加入権
亡くなった人(被相続人)が、生前に施設設置負担金を支払い、固定電話を契約していた時、その電話加入権は相続財産にあたります。
なお、電話加入権がない固定電話のライトプラン、ひかり電話、携帯電話などは、相続財産には該当しません。
被相続人が契約していた電話が、相続財産に該当するのかどうか不明な場合には、「116」に電話をして確認しましょう。
なお、この電話加入権の評価額を知るには、国税庁のホームページの「財産評価基準書、路線価図・評価倍率表」を確認します。「亡くなった年分」のタブから「都道府県名」をクリックした後、各都道府県の目次で「電話加入権の評価」で評価額が確認できます。
未収給与など
被相続人の給料や賞与について、支給される日が被相続人の亡くなった後だった場合には、相続人が受け取ることになります。
この場合、相続財産とみなされ、相続税の対象となります。
支給額は、会社から受け取る「支払明細書」を確認することになりますが、被相続人が亡くなっているため、所得にはなりません。
つまり、給与所得の源泉所得票の金額は含まれないことになります。
また、被相続人が受け取るべき国民年金、厚生年金も、支給される日が被相続人の亡くなった後だった場合には、相続人が受け取ることになり、これも相続財産となります。
さらに、被相続人の死亡後に、生計を一にしていた遺族が受け取ったものも、相続財産となります。
健康保険
高額療養費や疾病手当金は、被相続人が受け取るべきものですから、相続財産とみなされ、相続税の対象となります。
また、公的健康保険の過誤納金の還付金も、被相続人が受け取るべきものですから、相続財産とみなされます。
なお、高額療養費・疾病手当金・健康保険給付金の「支払決定通知書」、国民健康保険料・介護保険料・後期高齢者医療保険料の「過誤納金還付金通知書」は、加入している健康保険から郵送されます。
ただし、葬祭費、埋葬料(埋葬費)は、葬儀を行った人に支払われるものであり、被相続人に対して支払ったものではありませんから、相続財産とはなりません。
所得税の還付金
亡くなった後に、被相続人の所得を申告しなければなりませんが、これを「準確定申告」と言います。
この「準確定申告」によって、被相続人が生前に支払った所得税の一部が還付される場合がありますが、この還付金は相続財産とみなされ、相続税の対象となります。
還付の手続きには、所得税の確定申告書と付表の控えが必要ですが、税務署に提出したものの控えがあれば、取得できます。
入院給付金など
被相続人が生命保険に加入していた場合で、死亡後、生前の入院、手術に対する入院給付金や手術給付金が支給された時には、本来は被相続人が受け取るべきものですから、相続財産とみなされ、相続税の対象となります。
ただし、注意点が2つあります。
まず1つは、死亡保険金ではないため、相続人が受け取っても、相続税の非課税枠の対象とならないことです。
2つ目は、死亡保険金、つまりみなし相続財産ではないため、相続人で遺産分割協議を行い、受け取る人を決める必要があることです。
なお、生命保険の入院給付金・手術給付金に関する「手続き完了のお知らせ」は、加入している保険会社から郵送されます。
配当期待権など
被相続人が株式を持っていた場合に、死亡後に配当金が支給されることがあります。
この配当金は、その性質上、一定の「基準日」に株主でないと、配当金を受け取れないことになっています。
ですから、被相続人が亡くなる前に配当金を受け取ることが確定していたもので、被相続人の死亡後に相続人が受け取ったものは、相続財産とみなされ、相続税の対象となります。
なお、配当金などを受け取るには、株式の配当期待権や未収配当金に関する「配当支払通知書」、「配当金領収書」などが必要になりますが、基本的には、契約者、つまり被相続人が保管することになっています。
貸付金
被相続人が、生前誰かにお金を貸していて、まだ返済されていない場合、これも相続財産とみなされます。
また、子どもや孫が家、マンションを購入する際に、親や祖父母がお金を貸していたような場合も、相続財産となります。
ただ、確かにお金の貸し借りをしていたという証拠、例えば「金銭消費貸借契約書」などがなければなりません。
もし、契約書などがなく、定期的に返済したような形跡が見られなければ、贈与とみなされることがありますから、注意が必要です。
まとめ
被相続人の預貯金、不動産以外にも、相続財産に該当するものが多くあります。
相続財産に当たるのか不明な時は、弁護士などの専門家に相談しましょう。
(提供:相続サポートセンター)