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(画像=相続サポートセンター)

故人のタンスやカメラといった物品を「家庭用財産」といいます。

家庭用財産も相続財産であり、遺産分割協議や相続税申告の際には価格を算定して計上しなくてはいけません。

また、生命保険や損害保険などの保険証券も相続の対象です。

家庭用財産や保険証券相続の必要書類チェックリストを見ながら、漏れのないように手続きしましょう。

チェックリストとあわせて、それぞれの確認ポイントも詳しく解説します。

家庭用財産とは

家庭用財産とは、簡単にいうと故人の持ち物のことです。

故人が自宅で使っていたタンスなどの家財道具、冷蔵庫や電子レンジといった家電製品、ゴルフクラブやカメラなどの趣味の道具、好きで集めていた絵画や食器など、故人の持ち物の多くが家庭用財産に含まれます。

家庭用財産の相続に関する必要書類のチェックリスト

家庭用財産の相続に関しては、次の書類が必要です。

書類名取得できる場所取得または作成する人費用備考
財産のリスト
(5万円以下のものと5万円を超えるものと分けて作る)
・故人の自宅や金庫の中などを確認して、財産のリストを作ります。・相続人
・遺言執行者
・弁護士
・遺品整理人など
・自作する場合は0円
・弁護士や遺品整理の専門家などに依頼する場合は、依頼費用がかかります。
・1つまたは1組で5万円を超える財産は、ひとつずつ判定します。
・購入時の領収書などを参考にします。
・購入日時や購入金額がわかる書類を保管しておきましょう。
自動車検査証(車検証)・故人の自宅
・故人の車の中
など
・相続人
・遺言執行者
など
0円・車種や初年度登録年月日、型式を確認するために使用します。
・車のダッシュボードに保管している人が多いです。
美術品やブランド品が入っていた箱や保証書など・故人の自宅や金庫の中
など
・相続人
・遺言執行者
など
0円・美術品は落款(印)が箱に押されている場合が多く、箱を見れば真贋を確認できます。
・ブランド品の保証書にはイリアルナンバーなどが記載されている場合があり、偽ブランド品ではないことを証明できます。
美術品相続評価書・画商
・骨董商
・美術倶楽部
・鑑定機関
など
・相続人
・遺言執行者
など
・評価依頼料は依頼先によって異なります。・画商などの専門家に美術品の評価を依頼し、正確な価格を知ることができます。
・写真などで鑑定してくれる場合もあります。
船舶検査証書購入時の契約書や領収書など・故人の自宅や金庫の中
など
・相続人
・遺言執行者
など
0円・船種や船名、登録番号などを確認するために使用します。
・船が相続財産にある場合は必ず用意しましょう。

5万円を超える家庭用財産については、これらの書類をひとつずつ揃えなくてはいけません。

かなりの手間ですが、家庭用財産の価格を把握しないことには相続財産の総額を算出することができません。

遺産分割協議や相続税の申告に欠かせない作業のため、みんなで協力して書類を揃えましょう。

家庭用財産の相続に関する確認ポイント

家庭用財産の書類を準備するときには、いくつか確認すべきポイントがあります。

基準は5万円

家庭用財産の基準価格は5万円です。

5万円以下の財産は世帯ごとにまとめて評価してかまいませんが、5万円を超えるものは個別の評価が必要です。

5万円を超えそうなものを見落とさないように注意しましょう。

たとえば1万円のプリンターと2万円の外付けハードディスクは、そのほかの家庭用財産とまとめて〇円と大まかに評価してかまいません。

しかし、15万円のパソコンはそうはいきません。

5万円の超える価格の家庭用財産は単独で評価し、相続財産に計上する必要があります。

素人目には安そうにみえても、実は高価なものがたくさんあります。

一見ただの茶碗にみえるのに、実は由緒正しく高価な茶碗だったいうケースもあります。

故人が生前はまっていた趣味や性格なども考慮しながら、5万円を超えるものはないかをチェックしましょう。

趣味の道具や美術品は特に要確認!

カメラやゴルフ、ワインや茶道などのいわゆるお金のかかる趣味を故人が持っていた場合、特に気を付けて確認する必要があります。

趣味の道具には5万円を超えるものも珍しくないため、同じ趣味を持っている人などに聞いてみるのがおすすめです。

故人が骨董品や美術品に通じていた場合も注意が必要です。

作者を確認し、インターネットや美術年鑑で検索してみましょう。

有名作家の作品の場合は高値の可能性が高いため、専門機関に鑑定を依頼すると安心です。

入出金記録を確認しよう

故人の通帳の入出金記録を確認するのも、高額な家庭用財産を洗い出すのにおすすめの方法です。

用途の分からない出金や振込があった場合、なにか高額なものを購入している可能性があります。

価格は「時価」

家庭用財産の評価額は「時価」です。

あくまでも相続開始時点での価格が相続での評価額になります。

たとえ故人が10万円で購入していたとしても、相続開始時の時価が1,000円なら相続上は1,000円の価値しかありません。

一般的に、物の価値というのは年を経るごとに下がっていきます。

10万円で買った冷蔵庫も半年も経てば型落ちですし、一度誰かに使用された物は価値が下がります。

そのため、普通の家庭において時価5万円を超える家庭用財産はあまりないでしょう。

保険証券相続に関する確認書類のチェックリスト

生命保険や損害保険も場合によっては相続の対象になります。

保険証券の相続では次の書類が必要です。

書類名取得できる場所取得できる人費用備考
保険証券の写し・故人の自宅
・故人の財布や金庫の中
など
・相続人
・遺言執行者
など
0円契約者と被保険者、受取人の本人確認のために使用します。
・保険金の支払い明細
・支払通知書
・支払計算書
・支払手続き完了のお知らせ
など
契約している保険会社・相続人
・遺言執行者
など
0円・保険金を請求した後、保険会社から保険金支払いの前に郵送されます。
・保険金の支払日や金額、送金先などを確認するのに使用します。
・故人が被保険者だった場合
に必要です。
・解約返戻金相当額等証明書
・生命保険権利評価額証明書など
契約している保険会社・相続人
・遺言執行者
など
0円・故人が契約者の場合で、保険金が支払われないケースで必要です。
建物更生共済の解約返戻金証明書共済契約を結んでいる農協など共済組合・相続人
・遺言執行者
など
0円解約返戻金がある場合に必要です。
受取人の通帳・受取人の自宅や金庫の中など・受取人0円保険料の支払いと受け取りを確認するために使用します。
保険料負担者の通帳・保険料を負担している人の自宅や金庫の中など・保険料を負担している人0円保険料支払いの事実を確認するために使用します。

保険証券の相続に関する確認ポイント

保険証券に関する書類を集める際にもいくつかポイントがありますが、まずは保険の用語を確認しておきましょう。

契約者契約して保険料を支払う人
被保険者保険の対象になっている人
受取人保険金を受け取る人
保険料契約者が保険会社に支払うお金
保険金受取人が受け取るお金
保険証券保険に加入したときにもらえる証券

保険証券は保険の請求に必要であり、これが見つからないことには相続人には保険契約の有無がわかりません。

保険証券は財布の中や金庫に保管している人が多いですが、見つからない場合は所得税の確定申告書や給与所得の源泉徴収票を確認してみましょう。

添付や記載がされている場合があり、手がかりになります。

また、故人の通帳を確認するのもおすすめです。

保険料は銀行引き落としの場合が多いため、入出金記録を確認すれば保険料の支払いの有無を知ることができます。

解約返戻金相当額等証明書

相続で保険金が支払われない場合でも、解約返戻金は相続税の対象になります。

解約返戻金とは保険を解約した際に保険会社から払い戻されるお金のことです。

貯蓄性の高い保険には解約返戻金が設定されていることが多くあります。

解約返戻金の有無は保険証券で確認できます。

解約返戻金の金額は、解約返戻金相当額等証明書の発行を依頼すると証明することができます。

解約返戻金相当額等証明書の発行を受け付けていない保険会社もありますが、口頭や簡単な書面で応じてもらえる場合もあります。

保険会社の窓口で確認してみてください。

契約者と保険料支払い者が違う場合

保険は、基本的には契約者が保険料を負担するものです。

しかし、家族が契約している保険を代わりに支払うケースも珍しくありません。

このような形態を名義保険といい、実際に保険料を負担していた人によって税務上の取り扱いが判断されます。

父親の相続時に課される税金を保険の契約形態ごとに表にまとめておくので、確認しておきましょう。

死亡保険金

契約者
(保険金を負担している者)
被保険者受取人受取人に課される税金
父親父親子ども相続税
子ども父親子ども所得税・住民税
子ども(父親)父親子ども相続税
母親父親子ども贈与税

生命保険契約に関する権利

書類名契約者
(保険金を負担している者)
被保険者受取人受取人に課される税金
契約者父親母親父親相続税
被保険者子ども(父親)子ども子どもの子相続税

サラリーマンの場合

会社で団体保険に加入し、給与から天引きで保険料を支払っているケースがあります。

勤務先に確認してみましょう。

損害保険が相続税の対象になるケース

故人が建物更生共済に加入していた場合、解約返戻金が相続税の対象になります。

また、火災保険や自動車保険など掛け捨てで解約返戻金がない損害保険も、生前に保険料を一括払いしていた場合には前納保険料が相続税の対象になります。

まとめ

故人のゴルフ道具やカメラなどの家庭用財産も相続の対象です。

時価5万円を超える家庭用財産は、単独で評価し、必要な書類を揃える必要があります。

5万円以下のものは世帯ごとにまとめて計上してかまいません。

生命保険や損害保険なども、条件によっては相続の対象になります。

保険証券のコピーなどを揃えて相続税の申告をしましょう。
(提供:相続サポートセンター