澤田 朗(さわだ・あきら)
日本相続士協会理事・相続士・AFP。1971年生まれ、東京都出身。日本相続士協会理事・相続士・AFP。相続対策のための生命保険コンサルティングや相続財産としての土地評価のための現況調査・測量等を通じて、クライアントの遺産分割対策・税対策等のアドバイスを専門家とチームを組んで行う。設計事務所勤務の経験を活かし土地評価のための図面作成も手掛ける。個人・法人顧客のコンサルティングを行うほか、セミナー講師・執筆等も行う実務家FPとして活動中。
相続ではほかの税にはない特例や控除なども存在するため、相続税の計算が複雑になりがちだ。しかし、手順通り確認すればおおよその税額は把握できる。今回は相続税の計算方法や手順、税率の決まり方などについてお伝えする。相続が迫っている方はぜひ参考にしてほしい。
目次
相続税の概要と税率
相続税は、相続または遺贈(死因贈与を含む)により故人(被相続人)の財産を取得した配偶者や子等(相続人等)に課される税金で、税額は取得した財産の価額をもとに定められる。
相続税の目的は「所得税の補完機能」と「富の集中抑制機能」を働かせることだ。「所得税の補完機能」によって、被相続人が生前に受けた税制上の特典や軽減等により、蓄積した財産を相続開始時点で清算する。
また、「富の集中抑制機能」によって、相続により相続人が得た資産の一部を税として徴収することで、相続しなかった者との間で財産保有状況の均衡を図る。
相続税の課税方式は、被相続人の遺産総額に応じて課税する「遺産課税方式」と、個々の相続人が取得した遺産額に応じて課税する「遺産取得課税方式」の2種類だ。
現行の相続税の算出では「法定相続分課税方式」が導入されている。遺産取得課税方式をベースに各相続人が取得した財産の合計を一旦法定相続分で分割したものと仮定する。それにもとづき算出した相続税の総額を財産の取得額に応じて按分する方式だ。
法定相続分で分割した金額に対する税率は10%から55%である。