青色申告
(画像=PIXTA)
内山 瑛
内山 瑛(うちやま・あきら)
公認会計士。名古屋大学法学部在学中に、公認会計士試験に合格。新日本有限責任監査法人に入所し、会計監査・コンサルティング業務を中心に研鑽を積む。2014年に同法人を退所し、独立。「お客様の成長のよきパートナーとなる」ことをモットーに、記帳代行・税務申告にとどまらず、お客様に総合的なサービスを提供している。近年は、銀行評価を向上させる財務コンサルティングや内部統制構築支援、内部監査の導入支援にも力を入れている。

確定申告では、「青色申告」と「白色申告」という言葉が登場する。青色申告は単に税金が安くなるお得な制度だと理解している人も多いに違いない。本記事では、青色申告についての概要をはじめ、白色申告と比較した際のメリットやデメリット、特典などについて確認していく。

目次

  1. 青色申告とは
  2. 青色申告と白色申告の違い
  3. 青色申告のメリット
    1. メリット1. 青色申告特別控除
    2. メリット2. 青色専従者給与
    3. メリット3. 純損失の繰越しと繰戻し
    4. メリット4. 貸倒引当金の計上
  4. 青色申告で必要な帳簿
  5. 青色申告の適用を受けるには
  6. 青色申告特別控除の見直し
    1.  条件1:電磁的記録の備付けおよび保存をしている
    2.  条件2:e-Taxで電子申告をしている

青色申告とは

青色申告制度は、戦後のシャウプ勧告にもとづく税制改革のなかで誕生した。それまで正確に記帳できていなかった零細事業主にも適切な帳簿付けを推奨し、課税漏れを回避することで公平さを実現しようとした。

確定申告では、毎年1月1日から12月31日までの所得金額に対する所得税額を確定し、過不足分を納付または還付する。

確定申告には、青色申告と白色申告の2つの申告方法がある。青色申告は事前申請やルールに従った帳簿作成が求められる一方、税制面でさまざまなメリットがあり魅力的だ。

青色申告を適用するには1年間の所得金額を正しく計算しなければならない。収入金額や必要経費に関する日々の取引状況を帳簿に記録(記帳)して取引書類を保存する。

青色申告では、白色申告とは異なる用紙を用い、複式簿記にもとづく詳細な申告書を提出する。なお、青色申告の決算書は全4枚だ。具体的な構成を下記の表にまとめる。

【青色申告で用いる決算書の項目】

ページ内容記載項目
1枚目損益計算書事業者情報、1年間の事業収入、原価や経費、収入から経費を引いた差引金額、青色申告特別控除、1年間の事業所得
2枚目損益計算書の内訳月別売上(収入)金額及び仕入金額、貸倒引当金繰入額の計算、給料賃金の内訳、専従者給与の内訳、青色申告特別控除額の計算
3枚目損益計算書の内訳減価償却費の計算、利子割引料の内訳、税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳、地代家賃の内訳、本年中における特殊事情
4枚目貸借対照表貸借対照表、製造原価の計算

ソフトで入力するケースは問題ないが、手書きで記入する場合は書類が抜けることがある。抜け落ちがないことを確認してから申告したい。

青色申告と白色申告の違い