2018年度の建築家住宅は11,300戸と推計
~建築家住宅供給事業者(7社)による、2018年度新設供給戸数は2,149戸~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は国内の新設建築家住宅を調査し、現況、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。
1.市場概況
2018年度の建築家住宅新設着工戸数は11,300戸で、持家一戸建(以下、注文住宅)の着工数に占める割合は4.0%と推計した。建築家住宅は、2015年度以降、堅調に推移している。この背景にはローコストで画一的な注文住宅ではなく、デザイン性や機能性を求める施主(顧客)層が、建築家を活用した住宅に注目をするようになってきていることがある。また、こうした建築家住宅を求める施主層がアプローチできる、建築家紹介サービス等の仕組みが徐々に整備されてきたことも要因として挙げられる。
2.注目トピック
◆建築家紹介サービス等の浸透によって需要が拡大
一般的に施主(顧客)が建築家とともに注文住宅を設計・建築するには、「①建築設計事務所に直接依頼する」、「②建築家紹介サービス等を介して建築家に依頼する」の2つが主な方法として挙げられる。
これまでは、①のように直接建築家への依頼が主流であり、且つ施主も一部の富裕層もしくは友人・知人等からの紹介に限られていた。近年、②を行うサービス事業者の取組みによって、これらの建築家紹介サービスが浸透するとともに、建築家住宅の認知度が高まり、建築家住宅の新設着工戸数が増加していると推察する。
◆2018年度の建築家住宅新設供給戸数はハイアス・アンド・カンパニー株式会社が62.5%でトップシェア
建築家住宅の主な供給事業者7社の供給する2018年度の建築家住宅は2,149戸となり、建築家住宅新設着工戸数全体の19.0%を占めている。これ以外の8割超は、主に建築設計事務所が手掛けている。
2018年度の建築家住宅新設供給戸数における主要供給事業者7社のうち、最も多い実績を有しているのは、ハイアス・アンド・カンパニー株式会社で供給数は1,342戸、企業別シェアは62.5%であった。
3.将来展望
建築家住宅の主な供給事業者7社の供給する2019年度の建築家住宅新設供給戸数を2,340戸と予測する。
今後、建築家紹介サービスや建築家を活用するプラットフォームの活用拡大等により、”建築家住宅” の認知度が向上し、建築家がより身近な存在になることで、こだわりのあるデザインや機能を求める施主(顧客)層にとっては、建築家住宅が一つの選択肢として徐々に確立されていくものと考える。