ICT活用で高所作業車の修理・点検に迅速に対応するビジネスモデルを強化 日本の造船業を縁の下で支える技術を磨き続ける トムス(香川県)

目次

  1. 瀬戸大橋の四国側の玄関口に本社を構え、沿岸の造船業を支援する
  2. 高所作業車の徹底した修理、保守点検を実践 1990年設立以来無事故
  3. 整備技術者は機械を治療する医師 素早い対応で出張対応 大掛かりな修理、点検、オーバーホールは本社工場で実施する
  4. ICTやデジタル機器を導入して整備技術の向上や現場での作業に優先的に時間を活用 文書のデジタル化でペーパーレス化が自然な流れで進んだ
  5. 従業員にスマートフォンを支給して本社と現場の情報共有を円滑に
  6. 先を見据えて新しいデジタル技術を導入していきたい
中小企業応援サイト 編集部
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配電線、信号機、街灯の整備・保守といった高所での作業に必要不可欠な特殊車両、高所作業車。瀬戸内海に面した香川県坂出市に本社を構える株式会社トムスは、主に造船所向けに自走式高所作業車やフォークリフトのリース・レンタルを営むグループ会社と連携して、これらの機械の修理・保守点検に取り組んでいる。高所作業車は種類が多く、それぞれに特徴があるため、その修理・保守点検には高い専門技術が求められる。

トムスはICTやデジタル機器を活用することでバックオフィスの業務を効率化し、生み出した時間を専門技術の更なる向上や全国の造船所での作業に振り向けている。(TOP画像:トムスのグループ会社が所有する自走式高所作業車が並ぶ様子)

瀬戸大橋の四国側の玄関口に本社を構え、沿岸の造船業を支援する

古来より海上交通の大動脈としての役割を担う瀬戸内海は、国内の造船所が集積する海事産業の中心エリアだ。トムスは、瀬戸内海をまたいで本州と四国を結ぶ瀬戸大橋の四国側の玄関口となる香川県坂出市内に本社を構えている。幹線道路沿いに立地する本社と隣接するグループ会社の敷地内には、クレーンのようなブームとその先に作業の足場となるバスケットを備えた自走式高所作業車がズラリと並ぶ。

高所作業車の徹底した修理、保守点検を実践 1990年設立以来無事故

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トムスの真鍋泰三代表取締役

「日本の産業にとって大事な造船業を縁の下で支えているという思いが、仕事のやりがいにつながっています。高所作業車を使った作業は、地上数メートルから数十メートルでの作業になるため、機械のほんの小さな不具合や故障が大きな事故につながりかねません。高所作業車を使う人たちの命を預かっていることを肝に銘じて整備・点検を徹底することを何よりも大事にしています」。トムスの真鍋泰三代表取締役は、仕事に取り組む思いをこのように表現した。中小企業ならではの機動力を生かした素早くきめ細かな対応にも自信を持っているという。

トムスは、高所作業車を使う作業者の安心と安全を確保するため、車体、ブームの制御機構、安全装置、コントロール基盤、エンジンルームといった高所作業車を構成する全てのパーツの構造を熟知した上での徹底した修理、保守点検を実践している。1990年の設立以来、携わった現場での事故発生ゼロを継続している。

整備技術者は機械を治療する医師 素早い対応で出張対応 大掛かりな修理、点検、オーバーホールは本社工場で実施する

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トムスの本社の敷地内にある工場の外観

2015年10月にトムスの3代目社長として就任した真鍋社長は、1998年にトムスに入社してから25年以上にわたって高所作業車の修理、保守点検に携わってきた。「整備技術者は、人のために働く機械を治療する医師としての役割を果たさなければならないと考えています。子どもの頃から自動車やオートバイといった機械が大好きだったので今の仕事は天職と思っています」と真鍋社長は朗らかな表情で話した。

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トムスの工場内の様子
ICT活用で高所作業車の修理・点検に迅速に対応するビジネスモデルを強化 日本の造船業を縁の下で支える技術を磨き続ける トムス(香川県)
工場内では塗装作業も行い、新品同様に仕上げる

高所作業車やフォークリフト、車両系建設機械の点検資格を持ったトムスの従業員は、造船会社から法令で義務付けられている特定自主検査や定期検査、修理の依頼が入り次第、現地に出張して作業に従事する。大掛かりな修理、点検、オーバーホールは本社の敷地に設けた工場に依頼先から高所作業車を移送した上で実施する。

徹底した整備や部品の交換、再塗装を行うので仕上がりは新品同様になるという。「定期的な保守点検やオーバーホールは、車両の経年劣化を防ぎます。不具合箇所の早期発見は、高所での作業者の安全を確実なものにするだけでなく車両の寿命を延ばすことにもつながります。高所作業車のスペシャリストとしてこれからも安心と安全をお客様に提供していきたい」と真鍋社長。

ICTやデジタル機器を導入して整備技術の向上や現場での作業に優先的に時間を活用 文書のデジタル化でペーパーレス化が自然な流れで進んだ

ICT活用で高所作業車の修理・点検に迅速に対応するビジネスモデルを強化 日本の造船業を縁の下で支える技術を磨き続ける トムス(香川県)
文書管理システムを使って写真を確認する様子

真鍋社長は、社長就任以来、高所作業車についての最新技術の収集や整備技術の向上、現場での作業に優先的に時間を活用できるようにICTやデジタル機器を活用した業務効率化に力を入れてきた。

最初に取り組んだのが、オフィスの複合機に1日あたり20枚以上送信されてくる取引先からの依頼・見積・相談などのFAX文書のデジタル化だった。複合機と連動した文書管理システムを導入することで課題の解決を図った。文書管理システムは、FAXに送られてきた紙文書を自動的にデジタル化する機能のほか、デジタル化した文書をこれまで慣れ親しんだ紙文書と同じように直感的に扱える機能を備えている。「編集機能を使って取引先への報告書の作成も時間をかけずにできるようになりました」と真鍋社長は話した。

「システム導入後は、パソコンでデジタル化したFAX文書を確認できるようになったので、複合機まで紙のFAX文書を取りに行く必要がなくなりました。事務処理が効率化しただけでなく、紙書類であふれていたデスクもすっきりさせることができました」と真鍋社長。自然な流れで業務のペーパーレス化が進み、本社のオフィスは機能的にまとまっている。

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新しく導入した複合機を使って紙文書をスキャンする様子

複合機のスキャン機能を活用して、過去の図面や帳票類など様々な紙文書のデジタル化も進めており、2023年4月には二色刷りの印刷機能を追加した新しい機種を導入した。「機能的なオフィスは生産性の向上につながります。これからもスマートで働きやすい職場環境を作っていきたいと考えています」と真鍋社長は明るい表情で話した。

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トムス本社のオフィスの様子

従業員にスマートフォンを支給して本社と現場の情報共有を円滑に

本社と現場との情報共有には、スマートフォンを活用している。従業員は、出張先の造船工場から本社に指示を仰ぐ際、会社から支給されたスマートフォンで撮影した高所作業車の写真を身近なコミュニケーションアプリを使って送信している。真鍋社長や工場の責任者が写真から機械の状態を的確に判断して即座に指示できるので、スマートフォンの支給前と比べて迅速に作業が進むようになったという。

取引先からの相談への対応もWeb会議システムを使って行うことが増えている。現場に足を運ばなくても機械の状態を映像や音で確認することで、修理に必要な部品の調達をはじめとする準備がしやすくなったので、結果的に出張の回数を減らすことにつながっているという。

先を見据えて新しいデジタル技術を導入していきたい

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トムスの本社の外観

「デジタル技術は常に進化しています。油断すると現在のデジタル化の取り組みも陳腐化してしまうので、新しい手法を導入していきたい。デジタル機器やICTの情報を集めて費用対効果を見極めながら適材適所で導入していきたいと考えています」と真鍋社長。

現場で撮影した写真の送信・保管・分類を効率化するために写真管理システムの活用も考えている。写真管理システムに備わった報告書作成機能を使うことで担当者の負担を軽減し、生み出した時間を現場の作業など他の業務に振り向けたいという。出張先の従業員も含め、会社全体で写真や動画などの様々な情報を共有化できるようにクラウドストレージの導入も検討している。

「造船業界を支えていくために人材の採用と育成に力を入れていきたい」と真鍋社長は先を見据える。これから新しい人材を会社に迎え入れていく上で、機械を整備した経験が浅い従業員でも効率的に技術を習得できる仕組みを作っていきたいという。グループ企業と連携して海外に拠点を設けることも計画中だ。「自走式高所作業車のメンテナンスではどこにも負けない技術を、これからも従業員一同しっかりと磨き続けていきます」と真鍋社長は力強く語った。

企業概要

会社名株式会社トムス
本社香川県坂出市沖の浜1番38号
HPhttps://www.toms-corp.co.jp
電話0877-45-8676
設立1990年8月
従業員数7人
事業内容 高所作業車、フォークリフトなど建設機械の修理、点検、各種オーバーホール、新車・中古販売