福利厚生は、従業員にとって働きやすい・働きがいのある職場づくりのために必要な要素だ。働きやすい・働きがいのある職場は、企業にとってもプラスの効果を持つ。従業員の意欲が高まり、従業員が定着し、最終的には企業業績を上昇させることにつながるからだ。さらに福利厚生が充実した企業は、採用候補者にとっても魅力的であり、採用にも効果が見込める。今回は、福利厚生をテーマに、企業経営に生かすための3つのポイントを近年の現状を踏まえて解説する。
目次
福利厚生は大切だが費用がかかる
企業経営において、福利厚生は重要な要素のひとつである。人手不足が深刻化する環境の中で、採用や既存従業員の定着を進め、人材を確保するためには「魅力ある職場づくり」が必要だ。
「福利厚生」は人材マネジメントのひとつ
厚生労働省は、雇用と労働を主題とする人材確保対策の中で、魅力ある職場づくりのための「雇用管理改善支援」を行っている。人材確保のためには、魅力ある職場づくりを進めながら、採用と既存従業員の定着を進めることが重要だ。なぜなら、従業員が働く職場に魅力がなければ、求職者は企業を選ばず、採用はうまくいかないだろうし、既存の労働者もより魅力のある職場を求め、転職してしまうからである。
雇用管理改善支援では、企業が人材確保のために行う雇用管理改善(人材マネジメント)として次の4つの項目を挙げている。
人材確保のために行う雇用管理改善(人材マネジメント) |
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評価・処遇・配置 |
人材育成 |
業務管理・組織管理・人間関係管理 |
福利厚生・安全管理・精神衛生 |
今回のテーマである、「福利厚生」も企業が人材確保のために行う雇用管理改善(人材マネジメント)として明記されているのが分かる。福利厚生は、企業の人材確保のベースになる“魅力ある職場づくり”の重要な要素のひとつなのだ。
福利厚生は新人採用で会社が選ばれる理由のひとつ
福利厚生が新人採用において重要であることが分かる興味深いデータがあるので、こちらも紹介しておこう。
東京商工会議所の「2019年度中堅・中小企業の新入社員意識調査」によると、入社した会社を選んだ理由は、「仕事の内容がおもしろそう(42.6%)」、「職場の雰囲気が良かった(39.8%)」、「自分の能力・個性が活かせる(35.5%)」、「待遇(給与・福利厚生等)が良い(25.3%)」となっている。新人採用の対策としても、福利厚生は重要な要素であることが分かるだろう。
福利厚生には費用がかかる
福利厚生は企業経営において重要な要素のひとつである一方で、費用がかかることも企業経営者は忘れてはならない。費用対効果をチェックする必要があるのだ。
日本経済団体連合会の「第63回福利厚生費調査結果報告」によると、2018年度の企業の福利厚生費は、全産業平均で従業員1人1ヵ月当たり11万3,556円にも上る。そして、福利厚生費は年々上昇傾向にある。
企業経営者は、福利厚生を企業経営に生かすために魅力的な施策を検討しながら、費用を抑制するというかじ取りを実行していかなければならない。そのためには、まず福利厚生の基本的な種類を再確認しよう。