福利厚生
(画像=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

福利厚生は、従業員にとって働きやすい・働きがいのある職場づくりのために必要な要素だ。働きやすい・働きがいのある職場は、企業にとってもプラスの効果を持つ。従業員の意欲が高まり、従業員が定着し、最終的には企業業績を上昇させることにつながるからだ。さらに福利厚生が充実した企業は、採用候補者にとっても魅力的であり、採用にも効果が見込める。今回は、福利厚生をテーマに、企業経営に生かすための3つのポイントを近年の現状を踏まえて解説する。

目次

  1. 福利厚生は大切だが費用がかかる
    1. 「福利厚生」は人材マネジメントのひとつ
    2. 福利厚生は新人採用で会社が選ばれる理由のひとつ
    3. 福利厚生には費用がかかる
  2. 人材確保のために必要な2つの福利厚生
    1. 法定福利
    2. 法定外福利
  3. ポイント1:福利厚生の充実で「優秀な人材」を確保
  4. ポイント2:「ヘルスケアサポート」で従業員の健康経営を推進
    1. 従業員の平均年齢が上昇している
    2. 健康経営とは?
    3. 健康経営優良法人とは?
    4. 安全衛生優良企業公表制度とは?
  5. ポイント3:従業員に選んでもらう福利厚生で従業員満足度を上げる
    1. 日本企業に徐々に浸透しつつあるカフェテリアプラン
    2. カフェテリアプラン導入企業の従業員1人当たりの費用は?
    3. カフェテリアプランで使われている福利厚生の項目は?
  6. 従業員の視点に立った福利厚生は企業の業績と生産性を向上させる

福利厚生は大切だが費用がかかる

企業経営において、福利厚生は重要な要素のひとつである。人手不足が深刻化する環境の中で、採用や既存従業員の定着を進め、人材を確保するためには「魅力ある職場づくり」が必要だ。

「福利厚生」は人材マネジメントのひとつ

厚生労働省は、雇用と労働を主題とする人材確保対策の中で、魅力ある職場づくりのための「雇用管理改善支援」を行っている。人材確保のためには、魅力ある職場づくりを進めながら、採用と既存従業員の定着を進めることが重要だ。なぜなら、従業員が働く職場に魅力がなければ、求職者は企業を選ばず、採用はうまくいかないだろうし、既存の労働者もより魅力のある職場を求め、転職してしまうからである。

雇用管理改善支援では、企業が人材確保のために行う雇用管理改善(人材マネジメント)として次の4つの項目を挙げている。

人材確保のために行う雇用管理改善(人材マネジメント)
評価・処遇・配置
人材育成
業務管理・組織管理・人間関係管理
福利厚生・安全管理・精神衛生

今回のテーマである、「福利厚生」も企業が人材確保のために行う雇用管理改善(人材マネジメント)として明記されているのが分かる。福利厚生は、企業の人材確保のベースになる“魅力ある職場づくり”の重要な要素のひとつなのだ。

福利厚生は新人採用で会社が選ばれる理由のひとつ

福利厚生が新人採用において重要であることが分かる興味深いデータがあるので、こちらも紹介しておこう。

東京商工会議所の「2019年度中堅・中小企業の新入社員意識調査」によると、入社した会社を選んだ理由は、「仕事の内容がおもしろそう(42.6%)」、「職場の雰囲気が良かった(39.8%)」、「自分の能力・個性が活かせる(35.5%)」、「待遇(給与・福利厚生等)が良い(25.3%)」となっている。新人採用の対策としても、福利厚生は重要な要素であることが分かるだろう。

福利厚生には費用がかかる

福利厚生は企業経営において重要な要素のひとつである一方で、費用がかかることも企業経営者は忘れてはならない。費用対効果をチェックする必要があるのだ。

日本経済団体連合会の「第63回福利厚生費調査結果報告」によると、2018年度の企業の福利厚生費は、全産業平均で従業員1人1ヵ月当たり11万3,556円にも上る。そして、福利厚生費は年々上昇傾向にある。

企業経営者は、福利厚生を企業経営に生かすために魅力的な施策を検討しながら、費用を抑制するというかじ取りを実行していかなければならない。そのためには、まず福利厚生の基本的な種類を再確認しよう。

人材確保のために必要な2つの福利厚生