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相続財産の中に預貯金が含まれているケースは多いと思いますが、預貯金の相続にはどのような書類が必要なのでしょうか。

実は預貯金の相続には、残高証明書などさまざまな書類が必要です。

人によっては複数の金融機関と取引があるため、すべての書類を余さず用意するのはなかなか骨が折れます。

預貯金の相続に関する必要書類のチェックリストを見ながら、不足のないように準備しましょう。

また、書類を集める際には注意するべき点もあります。

要注意ポイントをそれぞれの書類ごとに詳しく解説します。

預貯金の相続に関する必要書類チェックリスト

預貯金を相続したときには、次のような書類が必要です。


書類名取得できる場所取得できる人費用備考
故人の通帳または取引履歴・故人の自宅や貸金庫など。
・通帳がない場合や見つからない場合は取引履歴を用意する。
・相続人
・遺言執行者など
・通帳の場合は0円。
・取引履歴の発行手数料は金融機関ごとに異なる。
相続開始日前後に記帳しておくと便利。
残高証明書金融機関・相続人
・遺言執行者など
発行手数料は金融機関ごとに異なる。相続開始日の残高証明書を依頼する。
故人の家族名義の通帳(生前贈与などがある場合)・各家族の自宅や貸金庫など。・口座の名義人・通帳の場合は0円。
・取引履歴の発行を依頼する場合は手数料が必要。
故人から生前贈与を受けていた家族がいる場合は、相続財産に関わるため、当該相続人の通帳を確認する必要がある。
定期預金証書・故人の自宅や貸金庫など。
・通帳式の定期預金であれば不要。
・相続人
・遺言執行者など
発行手数料は金融機関ごとに異なる。定期預金には通帳式と証書式の2種類があり、証書式の場合は定期預金証書が必要。
利息計算書金融機関・相続人
・遺言執行者など
発行手数料は金融機関ごとに異なる。定期預金がある場合に必要
・普通預金のみの場合は不要。

これだけの書類を集めるのは大変ですが、正確な遺産分割や相続税の計算には欠かせない書類ばかりです。

相続人同士で協力して、できるだけ迅速に集めましょう。

預貯金の相続に関する必要書類 注意ポイント

相続に必要とはいえ、たくさんの書類を集めるのはなかなか骨が折れます。

銀行に発行を依頼しなくてはならないもあるため、なにも知らずに挑むとなにから手を付けていいのかわからなくなりそうです。

しかし注意するべきポイントさえおさえれば、スムーズに書類を集めることができます。

書類事に、要注意ポイントをみていきましょう。

故人の通帳または取引履歴

故人の通帳または取引履歴を集めるには、まずはどの金融機関と取引していたのかを調べなくてはいけません。

故人の自宅を隅々まで探しましょう。

通帳の保管場所として多いのは、仏壇の引き出しや自室の机の中、自宅の金庫や銀行の貸金庫などです。

しかし通帳の保管場所は人によってさまざまで、冷蔵庫の中や車の中など、思いもよらないところにしまっている人もいます。

故人の性格や生活スタイルを思い起こしながら保管していそうな場所を探すと、見つけやすいかもしれません。

金融機関名が入ったタオルなど、ノベルティを手掛かりにするのもよい手です。

カレンダーや食器など金融機関のノベルティらしきものが見つかった場合は、その金融機関に問い合わせてみましょう。

どの金融機関に口座を持っているのかは、実はとても調べにくいものです。

できるだけ、生前にどの銀行と取引があるのかを教えてもらっておくのが理想です。

故人の入出金記録

故人の通帳や取引履歴は、ほかの財産や借金などを調べる大切な手がかりです。

税務署も入出金記録は細かく調べるため、過去6年分ほどは遡って入手しておきましょう。

入出金記録を確認するときは、まず相続開始日に赤線などを引き、いつまでが生前でいつからが死後の取引なのかを明確にするのがおすすめです。

相続開始日より後の入出金は考慮する必要はありません。

あくまでも相続開始日時点の残高と生前のお金の出入りの2点が大切なのです。

ネット銀行

最近はインターネットバンクに口座を持っている人も多くいます。

店舗を構えている銀行でも、ペーパーレスの流れにのってウェブ通帳を利用し、紙の通帳を発行しない場合もあります。

ネット銀行に口座がないかも必ず調べておきましょう。

ネット銀行に口座があるかどうかは、故人のパソコンやスマートフォンなどを見れば調べることができます。

金融機関のホームページがお気に入り登録されていないか、金融機関のアプリが入っていないかを確認しましょう。

ネット銀行の各種連絡はメールで行われるため、メールの受信履歴も手がかりになります。

IDやパスワードがわからない場合は、相続人が金融機関に問い合わせると対応してもらえます。

残高証明書

残高証明書とは口座の残高がいくらあるのかを証明する書類です。

故人が取引していた金融機関に依頼して、発行してもらう必要があります。

残高証明書は相続財産がいくらかを確定させるために必要なため、相続開始日のものを発行してもらいましょう。

ときどき窓口に行った日のものを発行してもらう人がいますが、間違えないように注意してください。

外貨預金の場合は日本円に換算しなくてはいけないため、対顧客直物電信買相場(TTB)を記載してもらいましょう。

発行依頼に必要な書類は金融機関ごとに異なりますが、たいていは相続人の身分証明書や戸籍謄本、故人の死亡証明書などが必要です。

残高証明書の発行には日数がかかることが多いため、できるだけ取引していた支店に依頼し、少しでも日数を短縮しましょう。

残高証明書の依頼方法や必要書類、費用やかかる日数は金融機関ごとに異なります。

あらかじめ問い合わせておくとスムーズです。

故人の家族名義の通帳

生前贈与も相続財産に含まれる場合があります。

生前贈与を受けた家族がいる場合は、生前贈与の時期や金額を確定させるためにその人の通帳も必要です。

通帳を出し渋る相続人もいますが、故意に相続財産を隠すと過少申告とみなされ、なんらかのペナルティーを受けるおそれがあります。

生前贈与を受けた本人のためにも、通帳を用意するよう説得しましょう。

故人が保管していた家族名義の通帳にも注意が必要です。

たとえば孫が生まれたときに、おばあちゃんが孫の名義で通帳を作って毎月1万円ずつ積み立て続けていたとします。

おばあちゃんの気持ちとしては孫に残してあげたお金だと思いますが、相続税としてはおばあちゃんの財産になります。

お金の出所がおばあちゃんである以上、通帳の名義がどうであれおばあちゃんの相続財産であり、課税対象になってしまうのです。

相続税では、あくまでもお金の出所で所有者を判断します。

名義にとらわれるのではなく、だれがこのお金を出したのかを確認して相続財産かどうかを判断しましょう。

定期預金、定期預金証書、利息計算書

定期預金や定期貯金は、故人の死亡日に解約したとみなされ、その時点での利息を含めて計算しなくてはいけません。

そのため、定期預金がある場合は必ず利息計算書を発行してもらう必要があります。

相続人全員で手続きが必要?

残高証明書の発行や口座確認などは、相続人のだれか1人だけで手続きすることができます。

相続人全員で窓口に行く必要はありませんし、同意や委任状なども不要です。

まとめ

預貯金の相続では、残高証明書や通帳などの書類が必要です。

金融機関に発行を依頼しなければならない書類もあるため、すべての書類を揃えるのに時間がかかります。

できるだけ早めにとりかかりましょう。

まずは故人が取引していた金融機関を調査し、通帳や取引履歴を入手します。

生前の入出金記録を確認し、ほかの相続財産や債務を探りましょう。

定期預金がある場合には、利息計算書や場合によっては定期預金証書の発行を依頼します。

これらの発行手続きは相続人1人で行うことができます。

生前贈与を受けた人がいるならその人の通帳も用意し、相続の対象になる預貯金の額を正確に把握しましょう。
(提供:相続サポートセンター