サントリーは、「良いワインはよいぶどうから」の理念のもと、100年以上にわたって日本の風土と向き合い、栽培・醸造技術を磨き上げ、ぶどうづくり・ワインづくりに取り組んできた。2022年に新たに日本ワインブランド「SUNTORY FROM FARM」を立ち上げ、「水と、土と、人と」をコンセプトに、日本ワインの魅力をさらに多くの消費者に伝えるために活動している。5月14日には日本ワインのさらなる価値向上を目指して、ものづくりに関する取り組みを一層強化し、「世界に肩を並べる『ジャパニーズワイン』を実現する」という目標を実現するべく、日本ワインに関する戦略や登美の丘ワイナリーでの新たな取り組みについて、説明する会見を開催した。
「当社のワイン販売実績は、昨年に続き今年も好調に推移し、ワイン市場をけん引している」と、サントリー 常務執行役員 ワイン本部長 吉雄敬子氏が挨拶。「日本ワインブランド『SUNTORY FROM FARM』を2022年9月に立ち上げ、100年以上続く、祖業のワイン事業について、オリジナリティのある日本ワインで世界に肩を並べる『ジャパニーズワイン』を実現することを目標に掲げている」と、ブランド刷新によって同社が目指すものづくりを消費者にしっかりと届けられていることがワイン販売が好調に推移している要因であると訴える。「また、国際コンクールであるデキャンタ・ワールド・ワイン・アワード2023において、『SUNTORY FROM FARM 登美の丘 甲州 2021』が日本から出品されたワインの中で最高位となるプラチナ賞を受賞するなど、当社の日本ワインが国内外の複数のコンクールで受賞した」と、同社のワインづくりの品質の高さが世界に認められていると胸を張る。「さらに、ワイナリーで消費者との接点を獲得。登美の丘ワイナリーの昨年の来場者は3.6万人と前年比151%に拡大した」と、多くの人に同社のワインづくりの品質の高さを体感してもらえることができたと目を細める。
「今年は、世界へ挑戦するための“ものづくり”と“ワイナリー”の進化を目指す。まず、フラッグシップワインの進化では、日本固有の品種『甲州』を強化する。『甲州』の国内最大の生産者である当社は、世界に肩を並べるぶどう品種に高めていきたいと考えている。そのためには、2030年までに対2023年6倍超に収穫量を拡大し、『甲州』ワインの品質向上と世界的な評価の獲得を目指す」と「甲州」ワインをジャパニーズワインの代表に育てていくと力説する。「そして、フラッグシップワイン『登美』として初めて『SUNTORY FROM FARM 登美 甲州 2022』を新発売する。フラッグシップワイン『登美』にふさわしい、和柑橘を思わせる豊かな香り立ち、果実味溢れる凝縮した味わい、程よい余韻が感じられるワインに仕上がった」と新たなワインを発売すると意気込んだ。
「『登美 赤』については、時代ごとに目指す品質を決め、品種構成を調整し、登美の丘のテロワールを表現してきた。この赤ワインづくりの挑戦の象徴である『プティ・ヴェルド』は、世界品質とテロワール個性の高いレベルでの両立を目指し、登美の丘のテロワールを表現するぶどう品種と位置づけている」と「登美 赤」への想いを語る。「新発売の『SUNTORY FROM FARM 登美 赤 2020』は、果実の完熟を追求し、黒系果実の印象と、なめらかで気品のある味わいが魅力のワインとなっている」と登美の丘ワイナリーのテロワールを表現する赤ワインに仕上がったとアピールした。
「ワイナリーの進化においては、テロワールの個性を最大限に活かすために畑を約50の区画に分けてぶどうの栽培を管理している」とのこと。「さらなる美味品質向上に向けて、40台の小容量タンクを備える新・醸造棟を建設する。小容量タンクを複数設置することで、ぶどうの特徴ごとに細かい原酒のつくり分けが可能になる」と、新醸造棟を建設し来年9月の稼働を目指しているという。「畑区画ごとのぶどうを仕込み、多彩な原酒のつくり分けを行うことで、さらに高品質なワインづくりにつながる」と述べていた。「2022年9月には、サントリー日本ワインサステナビリティ宣言を掲げた。取り組みとしては、気候変動への対応、地域社会との共生・土壌の健全化、取り組み周知・拡大としている。登美の丘ワイナリーでは、現地ならではのツアー・商品・イベントによって消費者にワイナリーの魅力をより深く感じてもらっている」と、同社のサスティナビリティの取り組みを肌で感じてもらえる体験ツアーやイベントなども行っていると話していた。
次に、同 サントリー登美の丘ワイナリー 栽培技師長 大山弘平氏がテロワールの追求に基づいたワインづくりについて紹介した。「『甲州』は、果皮は厚めで病気に強く、綺麗な柑橘香、味わいはクリーンで、欧州系品種に比べ糖度が上がりにくいという特徴がある。そこで、柑橘や桃など完熟果の多層的な香りと、アタックに凝縮感があり、密度が高い、柔らかい味わい、気品を持つワインを目指している」と糖度が上がりにくい「甲州」では、品種が持つ良さを活かしつつ、いかに凝縮感を高めるかが世界の白ワインと肩を並べる鍵とのこと。「自家ぶどう園であることの強みを最大限活かしさまざまな取り組みに挑戦し、世界品質の『甲州』を目指している。まず、適した圃場を選び、適した方法で栽培している。『登美 甲州』においては、必要な味わいのぶどうを目指す2区画を選定。これによって過去4年間で糖度が急激に高まった」とのこと。
「『登美 赤』のぶどう『プティ・ヴェルド』の特徴は、フランス南西部原産の赤ワインぶどうで、主に伝統的なボルドーワインのブレンド用の補助品種として栽培されている。濃い色合いとスパイスのアクセントを与え、少量でブレンドされるのが一般的とされる。元々持つ強い個性が、登美の丘のテロワールによって柔らかさや気品の高さを感じられるワインになる」と「プティ・ヴェルド」が登美の丘のテロワールに育まれ個性豊かな味わいを得ることを見出してきたのだと説明する。「『プティ・ヴェルド』を高品質なものにするためには、フェノール化合物の成熟をしっかり“待つ”ことが鍵になる。そこで、栽培管理を徹底し、ぶどうが病気にかからない環境をつくり上げている」とのこと。「植付位置と系統別特徴では、ぶどうの特徴のわずかな差を捉えて、ワインづくりに反映させていくようにしている。また、設備導入による醸造プロセスの改善を行った。果実を丁寧に扱い醸造することでぶどうのさらなるポテンシャルを引き出している」と、プロセス改善によって味わいへの効果が得られたと強調していた。
最後に吉雄氏は、「2030年10万ケースの販売数量を目指しながら“ものづくり”と“消費者との接点”の質を高めていくことで、日本のワイン文化と需要を創造し、ワイン文化を国内外に伝播させていく」と、次の100年に向けて日本独自のオリジナリティがあるワインを創造し、世界に肩を並べるワインを創出していくと訴えた。
同社のフラッグシップワイン「登美」から、「SUNTORY FROM FARM 登美 甲州 2022」を9月10日に数量限定発売する。ぶどう品種「甲州」を100%使用し、同社の日本ワインの象徴である「登美」の名を冠する商品の発売は初となる。凝縮感と気品の高さを高次元で併せ持つ、まさに「登美」にふさわしい味わいとなっている。
また、同社のフラッグシップワイン「登美」から、「SUNTORY FROM FARM 登美 赤 2020」を9月10日に数量限定発売する。「プティ・ヴェルド」を活かした、登美の丘ワイナリーのテロワールの魅力を表現する赤ワインとなっている。完熟したぶどう由来の力強さと滑らかさ、上品さが感じられる。
[小売価格]
SUNTORY FROM FARM 登美 甲州 2022:1万2000円
SUNTORY FROM FARM 登美 赤 2020:2万円
(すべて税別・カタログ価格)
[発売日]9月10日(火)