出光興産、富士石油を持分法適用会社化

出光興産株式会社(5019)と富士石油株式会社(5017)は、このたび燃料油事業における協業深化と将来の脱炭素化に向けた取り組みを推進していくことを目的として資本業務提携に関する合意書を締結した。

資本業務提携の一環として、出光興産は、2024年4月16日付で、株式会社JERA(東京都中央区)が保有する富士石油の株式の全てである 6,839,920 株(発行済株式総数の 8.75%)を市場外で取得する契約を締結した。これにより、出光興産は、現在保有する富士石油の株式 10,195,600 株(発行済み株式総数の 13.04%)と合わせ、17,035,520 株(発行済み株式総数の 21.79%)を保有し、富士石油を持分法適用会社とする予定である。

出光興産は、燃料油、基礎化学品、高機能材、電力・再生可能エネルギー、資源のセグメントで事業を展開している。
富士石油は、原油の輸入、石油の精製ならびに石油製品および石油化学基礎製品の製造、加工、貯蔵、輸出入および売買等を行う。

資本業務提携の背景及び理由

出光興産は千葉県市原市に製油所と石油化学工場が一体となった千葉事業所を有し、効率的で一貫した生産体制を構築している。製油所は、1963年に操業を開始し、現在も基幹事業所として最先端の装置やシステムを多数導入することで、首都圏を中心に旺盛な需要に対応。また石油化学工場は、1975年に操業を開始し、エチレン、ポリプロピレンなどの樹脂を生産している。

富士石油も出光興産と同じ京葉臨海コンビナートに袖ケ浦製油所を保有している。袖ケ浦製油所は、隣接する住友化学の千葉工場とパイプラインで繋がっており、出光興産千葉事業所、富士石油袖ケ浦製油所、住友化学千葉工場の三社で効率的な生産体制を構築している。

京葉臨海コンビナートは首都圏の一大消費地に向けた石油製品・石油化学製品の迅速な供給ルートを保持するのみならず、海外に向けた石油製品・石油化学製品の輸入・輸出ルートを確保している。これらの立地の優位性から国内外の需要動向に柔軟に対応できる体制となっている。

石油製品、及び石油化学製品の国内需要は長期的な人口減少や省エネルギー、省資源・資源循環の動向に呼応し漸減していくことが予想される。一方、海外においては経済発展を続ける東南アジアを中心に今後も旺盛な需要が見込まれる。

以上のような環境下において、出光興産千葉事業所と富士石油袖ケ浦製油所の協業を軸とする既存燃料油事業のシナジー創出、並びに両社協働での将来の京葉地区での燃料油供給及びカーボンニュートラル燃料の受入れ、製造及び供給拠点の構築を目的として、本合意書の締結に至った。

資本業務提携の内容

出光興産と富士石油は、両製油所を起点とした更なる両社の協業深化による石油製品の製造・供給の効率化・競争力強化、次世代カーボンニュートラル燃料の旗艦供給拠点としての機能発揮に向けて、以下に取り組んでいく。

(1) 原油及びナフサの調達・配船業務の共同化
(2) 定期修理工事(SDM)の共同管理化(SDM 時期の最適化、SDM 期間の人員融通等)
(3) その他両社の利益最大化に資するシナジーの検討
(4) 次世代カーボンニュートラル燃料の供給拠点化に向けた投資検討
(5) 出光興産から富士石油に対する非常勤取締役候補者2名の指名

買集め行為に該当する株式取得の概要

(1) 証券コード:5017
(2) 対象銘柄名:富士石油株式会社
(3) 取得株式数:6,839,920 株
(4) 取得価格:2,462 百万円
(5) 議決権の数に対する割合:8.87%
(6) 取得予定日:未定

日程

(1) 本合意書及び本株式譲渡契約締結日:2024年4月16日
(2) 本株式譲渡契約に基づく株式振替手続完了予定日:未定

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(提供:日本M&Aセンター

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