目次
- 20の法人でグループを構成し、顧客の黒字化率80%、節税提案日本一を目指す
- 売り手、買い手、世間、社員の「四方よし」を経営理念に掲げる
- 部門別会計を重視して経営課題を浮き彫りにする
- アメーバ経営を参考にして20の専門会社 顧客の課題に、より深くきめ細かく対応
- 新たな提案を行う前にまずは自ら実践 経験はすべて財産になる
- デジタル技術の普及とネットワークの進化が、香川県から全国に顧客を拡大する追い風に
- Web会議システムを活用して遠隔コンサルティングのノウハウを蓄積
- 蓄積したノウハウを基に顧客企業にデジタル技術の活用を推奨
- 2019年4月、株式会社みどりデジタルサポートを設立し、顧客企業のDX支援を強化
- 生成AIの使い方を伝授する伴走型の連続講座に大きな反響
- 生成AIは知的分野の産業革命 今後も研修内容のバージョンアップを図る
- グループの従業員は女性が6割。デジタル技術を活用して子育てと両立しやすい職場環境を作る
- 社会のデジタル化が加速する動きを見据え、新たな挑戦を続ける
Web会議システムをはじめとするデジタル技術を活用することによって全国規模で顧客が増えている香川県高松市のみどり合同税理士法人グループが、顧客企業のDX支援に力を入れている。生成AIの活用にも着目し、高度で実践的なサービスを提供することで企業の人材育成や新たなビジネスモデルの創造をサポートしている。(TOP写真:みどり合同税理士法人グループは「経営の見える化」を図る上でデジタル技術の活用を顧客企業に推奨している)
20の法人でグループを構成し、顧客の黒字化率80%、節税提案日本一を目指す
香川県高松市に本社を置く、みどり合同税理士法人グループは、20の法人でグループを形成し、企業活動に欠かせない税務会計をはじめ、財務、補助金申請、事業承継、M&A、DX、医療・介護経営などに関する支援を行っている。グループには税理士、公認会計士、中小企業診断士、M&Aシニアエキスパート、一級FP技能士、マーケティングプランナー、医療経営コンサルタントら約100人の専門家が在籍。顧客の黒字化率80%、節税提案日本一を目指して業務に取り組んでいる。
売り手、買い手、世間、社員の「四方よし」を経営理念に掲げる
売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方よし」に社員よしを加えた「四方よし」を経営理念に掲げる。「会計業務から派生した様々な相談事にワンストップで対応できることが最大の強み。仕事を通じて四方の幸せを実現したいと考えています」。国の特別名勝、栗林公園に近いグループの本社ビルで取材に応じたみどり合同税理士法人グループの三好貴志男代表は、日々大事にしている思いについて話した。
三好代表は、24歳の時に父親が急逝し家業の鋳物工場を引き継ぐことになったが、経営は数年間赤字続きでうまく軌道に乗せることができなかったという。そこで経営の本質を知るために工場の経営を叔父に委ね、公認会計士になることを決意。監査法人の勤務を経て10年後の1987年3月、香川県高松市内に会計事務所を開業した。翌年には法人化し、40年近い歴史の中で、多様化、複雑化する顧客の課題解決に最適なサービスを提供するため、グループを拡大していった。自ら苦労した経験があるだけに中小企業の経営支援にかける思いは人一倍強い。
部門別会計を重視して経営課題を浮き彫りにする
「企業の存続と発展には不断の意識改革が必要です。おごりが生じた時に企業は衰退していきます。お客様には課題を直視してもらわなければなりません。そのためにコンサルティングを行う際は、部門ごと、工事ごと、顧客ごとに損益を細かく分類し、様々な比較をすることで課題を浮き彫りにしています」と三好代表は話した。
アメーバ経営を参考にして20の専門会社 顧客の課題に、より深くきめ細かく対応
みどり合同税理士法人グループは、京セラの故稲盛和夫氏が実践したアメーバ経営を参考に、グループに所属する会社の組織を小集団に分け、その中からリーダーを選んで経営を任せるというプロセスを繰り返してグループを拡大してきた。1社あたり8人を基準に分社化し、それぞれ専門性が高い業務に特化している。顧客の課題に、より深く、きめ細かく親切に対応するためと全員が採算意識を持って仕事を行うためだ。2011年の段階で将来、社会のデジタル化が加速することを見据え、全国に先駆けてインターネット会計の専門会社(現株式会社みどりクラウド会計)を設立し、顧客網を拡大した。
新たな提案を行う前にまずは自ら実践 経験はすべて財産になる
新たな節税スキームやデジタル技術を活用した業務改善案、新規事業案を顧客に提案する際は、事前に持株会社の株式会社みどり合同ホールディングスで実践し、効果や課題を検証した上で最適な案を提案するようにしている。「想定していた成果を生み出せなかったとしても経験はすべて財産になります。新しい取り組みに挑戦することは決して無駄になりません。我々は常にお客様の実証実験室でありたいと考えています」と三好代表は話した。
デジタル技術の普及とネットワークの進化が、香川県から全国に顧客を拡大する追い風に
Web会議システムやクラウドサービスをはじめとするデジタル技術の普及と進化は、香川県に拠点を置くみどり税理士法人グループが、全国で顧客を拡大する上で追い風になっている。一千数百社にのぼるグループの顧客の大半は県外の中小企業だ。また、東京都の拠点で獲得した情報や人脈を地元の活性化に還元することを意識しているという。
Web会議システムを活用して遠隔コンサルティングのノウハウを蓄積
十数年前からインターネット回線を使ったWeb会議システムを導入し、遠隔コンサルティングのノウハウを蓄積してきた。2019年に大型の画面に資料を映したり書き込むことができる電子黒板も導入した。「距離に関係なく同時に複数の専門家が参加できるWeb会議システムは、お客様に効果的なアドバイスを提供できるので非常に重宝しています。我々もお客様もわざわざ移動する必要がないので、お互いに時間も有効活用できます。コロナ禍を通じてWeb会議が当たり前になったことで、これまで以上にお客様を新規に獲得しやすくなりました」と三好代表は話した。
オンラインセミナーの開催にも力を入れている。昔はセミナーを開催する時は、東京都など香川県外から講師を呼んでいたが、今はオンラインでできるので効率的に開催できるようになったという。
蓄積したノウハウを基に顧客企業にデジタル技術の活用を推奨
みどり合同税理士法人グループは、グループで蓄積したノウハウを基に顧客企業にデジタル技術の活用を推奨している。「受注発注の仕組みをデジタル化したり、作業現場でICTを活用することによって生産性は確実に向上します。手作業では多くの時間と手間がかかる部門別の収益分析を短時間で簡単に行え、経営を見える化する上でも大きな効果が見込めます」と三好代表。改正電子帳簿保存法に対応した紙文書のデジタル化を進める上で、手書きや活字などの文字データを画像データとして読み込み、文字テキストに変換するOCR(光学文字認識)の活用も勧めているという。
2019年4月、株式会社みどりデジタルサポートを設立し、顧客企業のDX支援を強化
みどり合同税理士法人グループが、デジタル技術を活用したより高度で実践的なサービスを提供するために2019年4月に設立したのが株式会社みどりデジタルサポートだ。「企業が今後、存続・成長していくには積極的なDXへの取り組みが必要不可欠です。DXに取り組む意欲を持つお客様の頼れるパートナーとして、人材育成や新たなビジネスモデルの創造に貢献したいと思っています」と三好代表は話す。
みどりデジタルサポートが手掛ける支援内容は、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、BI(ビジネスインテリジェンス)ツール、生成AIといったデジタル技術を扱う技能の習得、DXを推進するための通信インフラをはじめとする環境の整備、Webマーケティング、データ分析、サイバーセキュリティ対策、IT導入補助金の申請と多岐にわたっている。
設立から5年を経て活動のフィールドは拡大している。2020年4月には、産学官民が連携してデータを活用した高松市の都市づくりを目指す「スマートシティたかまつ推進協議会」に加入。同年6月にはIT導入支援事業者としての認定を受けた。モール型ECサイトの構築システム、Excelに入力した多くの仕入先の中から適格請求書の発行事業者を簡単に確認できるインボイスチェックシステム、法人番号の自動検索システムといったツールの自社開発にも力を入れている。
生成AIの使い方を伝授する伴走型の連続講座に大きな反響
DX人材を育成する伴走型研修も事業の柱として育ちつつある。これまでに、プログラミングの専門知識がなくても自社の業務内容に合わせたアプリケーションを作成できるシステムの使い方、クラウドストレージを活用した情報共有体制の構築などをテーマに様々な連続講座を開設。生成AIの活用に対する企業の関心が高まっていることを受けて、生成AIの使い方を伝授する連続講座も2023年からラインナップに加えた。初心者向けから一定の使い方を習得した上級者向けまで複数のコースを設けたところ、大きな反響が寄せられているという。効果的なプロンプト(回答を引き出すために生成AIに送る文章)を作成するといった実践的なトレーニング通じて、生成AIの扱いに長けた人材を育てることを目指している。
生成AIは知的分野の産業革命 今後も研修内容のバージョンアップを図る
みどりデジタルサポートの濱谷充信Webマーケティング室長は「生成AIは知的分野の産業革命といえます。活用することでテキストや音声ファイルから議事録を自動で作成したり、プレゼンテーション用の文章と画像のほか、デザイン、商品説明のための漫画といった様々なコンテンツを簡単に作成できるようになります。使いこなせばこなすほど高度な業務が可能になるのでそのポテンシャルは限りなく大きいといえるでしょう。詳しい解説付きの語学や数学の学習用教材も作成できるので、学校教育の現場で活用すれば大きな効果が期待できます。今後も生成AIの進化のスピードに対応しながら、研修内容もバージョンアップしていきたい」と話した。
グループの従業員は女性が6割。デジタル技術を活用して子育てと両立しやすい職場環境を作る
みどり合同税理士法人グループの従業員は女性が6割を占める。グループ従業員の中で20代と30代が占める割合は5割に達している。子育てを重視する姿勢は、自社ビル内で、みどり栗林公園保育園を運営し、グループや周辺の企業に通勤する人たちの子どもを受け入れていることにも表れている。産休や育休の取得を奨励し、子どもが体調を崩した時はテレワークに切り替えてもらうなど柔軟な働きやすい環境づくりに取り組んでいる。配偶者の転勤先で、テレワークの機材を整えて担当業務を継続している従業員もいるという。「従業員が子育てと仕事を両立する上で、デジタル技術は大きく貢献してくれています。デジタル技術を活用することで更に働きやすい環境を整えていきたい」と三好代表。
社会のデジタル化が加速する動きを見据え、新たな挑戦を続ける
電子帳簿保存法やインボイス制度の導入もあり、これまでデジタル技術の導入にそれほど積極的でなかった顧客も意識が変化しているという。「デジタル化の動きはますます加速すると思います。これからも十数年前から蓄積しているデジタル技術の経験値を生かして、お客様のDXをサポートしていきたい。デジタル技術を活用した同業者のネットワーク拡大にも取り組んでいきたいと思っています」と三好代表は意欲を示した。
地域に根差しながら全国規模で高度な企業向けの支援サービスを提供し続けるみどり合同税理士法人グループ。距離の壁を埋めるICTやデジタル技術が、地方に拠点を置く企業のポテンシャルを高める大きな武器になっていることを改めて実感した。
企業概要
法人名 | みどり合同税理士法人グループ |
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本社 | 香川県高松市栗林町1丁目18-30 みどり栗林ビル |
HP | http://www.mgrp.jp |
電話 | 087-834-0081 |
設立 | 1988年9月(創業1987年) |
従業員数 | 100人(事業子会社を含むグループ全体数300人) |
事業内容 | 税務会計、財務、補助金申請、事業承継、M&A、DX、医療・介護経営などに関する支援、保育園運営 |