図面のデジタル化で桁違いに便利に 顧客対応力強化のため社内業務のICT環境構築を急ぐ サンエイ(群馬県)

目次

  1. 小ロット生産対応で膨大になった図面をすべてデジタル化してデータベースに保存 必要なものを即取り出せ、桁違いに便利になった
  2. 図面が更新された時は、古い図面を必ず削除する等のデジタルデータの保管ルールも作成
  3. 工場にWi-Fiを設置して図面データにアクセスできるように準備を進める一方で、Web会議を現場でも推進
  4. 従業員がどのような業務に就いているかを把握して、効率的に仕事を進められるようスケジュール管理システムの導入を検討
  5. 生産管理システムの導入も検討しており、在庫状況や発注のタイミングを明確化して製造現場の負担を減らす
  6. 会社ロゴと同じブルーのイメージで統一したデザイン性の高いホームページ 環境への取り組みやコンシューマー向け商品の開発を紹介して認知を高める
中小企業応援サイト 編集部
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群馬県太田市から南へと向かった位置にある邑楽郡大泉町で、保冷材や断熱材、防音材の加工・製造を行っている会社が株式会社サンエイだ。兵庫県尼崎市で1975年に創業し、取引先の工場があることから1980年に群馬工場を設立。2007年に群馬を本社とした現在の事業体制となった。(TOP画像は断熱材など様々な製品を加工・製造している株式会社サンエイの工場)

「創業当初は、冷蔵庫の中に入れる断熱材を製造していたと聞いています」と話すのは、株式会社サンエイ代表取締役の中西聡之氏。断熱材は今も事業の大きな柱となっていて、わかりやすいところでは、スーパーマーケットやコンビニエンスストアに置かれる冷蔵・冷凍ショーケース向けなども製造している。「コロナワクチンを冷凍して保管しておく超低温フリーザー向けの断熱材も手がけました」(中西社長)

緩衝材や梱包材も手がけており、「大きなものから数ミリメートルといったサイズのものまで多彩な製品を加工しています」(中西社長)。顧客の要望に細かく対応できるよう、小ロットからの製造も行える体制を整えている。得意な商材を持ちながら多様な顧客ニーズに応えるという。中小企業ならではの経営戦略を着実に遂行していることが、群馬県に本拠を置きながら全国から仕事が入る背景にありそうだ。

小ロット生産対応で膨大になった図面をすべてデジタル化してデータベースに保存 必要なものを即取り出せ、桁違いに便利になった

図面のデジタル化で桁違いに便利に 顧客対応力強化のため社内業務のICT環境構築を急ぐ サンエイ(群馬県)
複合機を活用してスピーディーに図面をデジタル化してデータベースに登録、欲しいものを検索して取り出せるようにした

取扱品目が多いため、製造時に必要な図面も多くなる。顧客から発注があって、図面を参照しようとした時に、サッと出てこないこともあった。そこで同社では、何万枚という図面をデジタル化して保管し、必要な時に必要な図面を検索して取り出せるようにするデータベースの構築に取り組んだ。

空き時間を見つけて順次行っていてはいつ終わるかわからないため、いつまでに終えるといった期限を決めて実行した。スキャナーをパソコンに接続して取り込んでいくのではなく、「複合機を使って、図面をスピーディーにPDF化していきました」(中西社長)。これによってスピーディーに作業を行えた。結果、「もうケタ違いに便利になりました。欲しい図面を検索して実行すれば、すぐに出てきてくれるようになりました」(中西社長)。

図面が更新された時は、古い図面を必ず削除する等のデジタルデータの保管ルールも作成

図面のデジタル化で桁違いに便利に 顧客対応力強化のため社内業務のICT環境構築を急ぐ サンエイ(群馬県)
祖父が創業した株式会社サンエイで2代目の父親の後を継いで社長となった中西聡之氏

製造現場では、製品の改良に合わせて図面の方も改訂されていく。前の図面を間違えて引っ張り出してしまって、間違った製品を製造してしまうミスが起こる可能性がある。「電子化にあたって、図面が更新された時は、古い図面を必ず削除するというルールを決めました。古い図面が出てくることはなくなって、間違った処理を行うようなミスがなくなりました」(中西社長)。新しい技術の導入に合わせ、新しいルール作りを行う大切さを表している事例だ。

現在は、こうして構築したデータベースから必要な図面を取り出して、プリントアウトしたものをラミネート加工し、工場の製造現場へと持って行っている。将来はこれを、「工場からパソコン端末やタブレットでデータベースにアクセスして、デジタルの状態で図面を参照できるようにしたいと考えています」(中西社長)。

工場にWi-Fiを設置して図面データにアクセスできるように準備を進める一方で、Web会議を現場でも推進

図面のデジタル化で桁違いに便利に 顧客対応力強化のため社内業務のICT環境構築を急ぐ サンエイ(群馬県)
現在はラミネート加工された図面を置いて作業に当たっているがパソコンやタブレットで見られるようにする

扱う商材が多岐にわたるため、工場に置かれるラミネート加工された図面も枚数が多くなる。整頓しておいても探す手間はかかってしまう。端末から見られるようにすれば、そうした手間も解消される。こうした仕組みを作るため、工場にWi-Fiを設置して、ネットにアクセスできる環境を先に整えた。

現在は、このWi-Fiを使って、バックオフィスと現場の製造部との間で資料をやりとりすることを行っている。本社と工場が同じ場所にあっても、行き来にはやはり時間がかかる。そうした手間を減らし、コミュニケーションを密にすることで、スムーズに仕事が進むようにしている。

「Wi-Fi環境を整えたことで、Web会議も活発に行われるようになりました」(中西社長)。コロナ禍で取引先に関連する企業の代表者が集まって、全体会議を行うことがなくなった。そこで増えたのがWeb会議。中西社長が代表して参加していた。コロナが収束して以前のように人が行き来できるようになっても、Web会議の活用は収まるどころか逆に膨らみ、今では現場の担当者も取引先と会議を行うようになった。

従業員がどのような業務に就いているかを把握して、効率的に仕事を進められるようスケジュール管理システムの導入を検討

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パソコンに向かう中西聡之社長。大学卒業後にしばらく勤務したカー用品販売会社で学んだパソコンを使った業務管理の方法をサンエイに持ち込んだ

Wi-Fi環境があれば工場にいてもWeb会議に参加できる。ここで課題があるとしたら、いつ、誰がどのような会議に参加するかを個人がそれぞれに把握しておかなくてはならないこと。「一括してスケジュールを管理できる仕組みがあれば、そうした課題も解消できるのではと考えて、導入を模索しています」(中西社長)

社長自身は、どの端末からでもスケジュールを見られるようにしているが、これが全体で使えるようになれば、従業員がそれぞれに自分のスケジュールを確認できるだけでなく、他からも把握できるようになって、効率的に仕事を割り振れるようになる。「来客の予定も入れておけば、前もって段取りも行えます」(中西社長)。働き方改革がどの企業にとっても必須課題となっている現在、導入が求められる仕組みだ。

業務効率化に役立つ施策については、他にもいろいろと導入を検討していく。例えば出退勤管理。現在はタイムカードの打刻時に記録されたものを手作業によって集計しているという。「これを自動的に行えるようになれば、担当者の作業も大きく軽減されると思います」(中西社長)。

生産管理システムの導入も検討しており、在庫状況や発注のタイミングを明確化して製造現場の負担を減らす

図面のデジタル化で桁違いに便利に 顧客対応力強化のため社内業務のICT環境構築を急ぐ サンエイ(群馬県)
大小様々な機械が動いて素材を加工しているサンエイの工場。多岐にわたる製品を在庫も含めて管理していく必要性を感じている

生産管理についてもシステム化を進めたい意向。「原材料の発注など、担当者が日々の業務の中で勘を働かせて行っていたところがあります」(中西社長)。これをシステム化し、生産数から必要とされる原材料の量を割り出し、在庫と照らし合わせて足りなければアラートが出るような仕組みができれば、発注漏れのようなミスも起こらなくなる。「今は工場の従業員が4、5人くらいで毎月棚卸しを行っています。それでも半日はかかります」(中西社長)。生産管理システムが整えば、こうした手間も減らすことができる。

「製造現場の従業員には、他のことにあまり気を回さず、製造のことだけに集中してもらいたいと考えています」(中西社長)。図面の電子化による検索性の向上も、Web会議の活性化も、将来的な生産管理システムの構築も、働きやすさから来る生産効率の向上を目指したものだ。無駄をそぎ落として収益力を追求する必要が高い中小企業にとって必要な施策を、これからも着々と進めていく。

会社ロゴと同じブルーのイメージで統一したデザイン性の高いホームページ 環境への取り組みやコンシューマー向け商品の開発を紹介して認知を高める

図面のデジタル化で桁違いに便利に 顧客対応力強化のため社内業務のICT環境構築を急ぐ サンエイ(群馬県)
自動でトップ画像が切り替わっていくサンエイのホームページには環境に対する考え方なども書かれていて会社のポリシーに触れられる

外に向かっては、会社のアピールにつながるような施策を展開していく。その一つがホームページの構築。コロナ禍に前後して立ち上げた今のホームページは、トップページの画像が切り替わって、同社の事業を紹介していくスタイリッシュなものとなっている。「会社のロゴの色に合わせて、青を基調にしました」(中西社長)。そこでは、断熱材や保冷材といった、無駄なエネルギー消費を抑えて環境に貢献する商材を扱っていることをアピールしている。

ホームページを通して、これまで手がけてこなかったコンシューマー向け商品を紹介することも行った。コロナ禍の時に飛沫を防ぐフェイスシールドやアクリルパーティションの需要が増大した。こうした製品を同社でも製造し、ホームページ上に載せて発信したところ、全国から問い合わせがあったという。「BtoBの商材しか取り扱ってこなかったので、BtoCの商材を今後取り扱う際の経験を積むことができました」(中西社長)

一方で、リアルで開催される展示会に出展して、技術力や製造物を実際に見てもらう機会を増やしている。「そこでコンタクトを取った方に、ホームページを見てより詳しく会社のことを知ってもらい、仕事につながるような流れを作っていければと考えています」(中西社長)

これからの目標としては、時代の潮流に沿って、環境に優しい商材を取り扱っている企業という点を訴えていくという。「冷凍冷蔵ショーケースやコロナワクチンのフリーザーといった、身の回りの生活に密着したものに使われている仕事ということを知ってもらって、そうした場所でもっと活躍できる会社になっていきたいですね」(中西社長)。祖父から父親を経て社長を継いだ中西社長の代で、さらなる再ブランディングが進みそうだ。

企業概要

会社名株式会社サンエイ
住所群馬県邑楽郡大泉町大字古海736-2
HPhttps://www.sanei-oizumi.com/
電話0276-63-3611
設立2007年10月(創業1975年4月)
従業員数26人
事業内容シール材・保温・保冷・断熱材・吸音材・遮音材・合成樹脂などの各種素材の加工および販売