相続税の申告は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内に、被相続人の住所地にある所轄の税務署に相続人が申告します。
相続税が発生する場合は、相続税の納付期限も申告期限と同じ10ヵ月となっています。
相続財産が多く、相続財産のうち現金や預金などの金銭が少ない場合の相続においては、多額の相続税が発生した場合、相続税を金銭で納付できないケースもあります。
これらの場合は、一定の要件を満たせば最長で20年の延納が認められています。
相続税と他の税金の納付方法の違い
所得税や消費税などの税金は、振替納税やダイレクト納付などの口座引き落としで納付できますが、相続税の場合はそれらの納付方法は認められておらず、相続税の申告書を提出した税務署か金融機関の窓口にて現金で納付しなければいけません。
納付する際は、納付書を作成し納付しますが、金融機関で納付する場合は納付書が置いていないことが多いです。
そのため、事前に税務署に取りにいっておくか、被相続人が相続財産を多く所有していることを税務署が把握しているのであれば、相続税の申告書と併せて相続税の納付書も郵送してきます。
税務署に納付書を取りにいくのが面倒な場合は、所轄の税務署に連絡し、納付書を郵送してもらうこともできます。
必要書類 | 領収済通知書(納付書) |
納税場所 | 被相続人の住所地の所轄税務署 または金融機関窓口 |
納期限 | 被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内 |
納税義務者 | 被相続人から下記の財産を取得した者 ・相続または遺贈による財産 ・相続時精算課税制度の適用を受けた生前贈与による財産 |
相続税の原則的な納付方法
相続税の納付期限は、冒頭で述べたように被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内となっています。
例えば、平成30年1月10日が被相続人の死亡日だとすれば、納付期限は平成30年11月5日となります。
この日が土日祝日や年末年始などの休日などの場合は、これらの次の日が納付期限となります。
納付方法は、原則としては現金による一括納付となっています。
また、申告期限までに相続財産の分割が決まっていない場合は、未分割の状態で申告することになります。
この場合における相続割合は、法定相続分とされています。
相続税を金銭で納付できない場合(延納)
相続税が多額となってしまい、相続税が現金で一括納付できない場合には、一定の要件を満たせば延納や物納という納税方法が認められることもあります。
延納する場合の注意事項として、下記に該当する場合は担保も必要な場合があります。
・相続税の金額が10万円を超えること
・一時的に金銭納付が困難なことが証明できること
・延納税額が100万円以上で延納期間が3年以上
手続きとしては、相続税の申告期限までに所轄の税務署へ延納申請書を提出することが必要であり、延納を選択した場合は利子税が発生します。
相続税を金銭で納付できない場合(物納)
延納ではなく物納に変更する場合には、申告期限から10年以内で一定の要件を満たす必要があります。
物納は、延納によっても金銭で納付することが困難な場合にしか認められておらず、変更する場合は、相続税の申告期限までに所轄の税務署へ物納申請書を提出することが必要です。
物納申請書を提出する際には、登記事項証明書や、測量図などの書類を添付しなければならない場合もあります。
また、物納財産についてはいくつかの条件もあり、物納財産は、日本国内にある財産に限られることや、物納することができない財産もあります。
担保権がある不動産や、境界線が明らかになっていないため権利の帰属が定かではない土地などは物納することはできません。
物納できる財産には順位があります。
そのため、好きな物件だけを物納することはできません。
第1順位は、上場株式や船舶、不動産などがあり、第2順位は非上場株式などがあります。
そして第3順位に、動産となっています。
物納財産の収納額は、原則として相続税の申告における評価額となっており、物納もいわゆる譲渡の一種になるのですが、個人に対しての譲渡所得税などは課税されないようになっています。
まとめ
相続税は、時には非常に多額になるケースもあります。
土地や建物、株など、すぐに現金に換価できない相続財産が多い場合もあります。
しかし、そのような場合に相続税が多く発生すれば、現金での一括納付はできません。
延納をすればこの問題は解決しますが、延納をすれば利子税が発生してしまいます。
相続税額によって変動しますが、利子税だけでも多額となるケースもあります。
延納以外に、金融機関での借入なども選択肢の1つですので、利子率などを比較し、どの方法が自分にとって一番有利になるのかを判断する必要があります。
(提供:相続サポートセンター)