本社から離れた場所での管理業務をNASで円滑に 太陽光発電設備の設置工事を通じて脱炭素化に貢献する 西川興業(香川県)

目次

  1. 太陽光発電設備の設置事業を主力事業として育てる
  2. ICTやデジタル機器を活用することで事務作業を効率化したい
  3. 以前は、本社の事務担当者に、図面や資料のデータを送ってもらっていたが、NASを導入後は、いつでもどこからでも会社の資料にアクセスできるようになった
  4. 情報の共有を進めることで仕事の属人化を解消したい
  5. NASを活用して情報をバックアップ
  6. 複合機のスキャン機能を活用してペーパーレス化を推進
  7. デジタル化への対応を進める一方、アナログ式の仕事の進め方も大事に
中小企業応援サイト 編集部
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香川県坂出市に本社を置く有限会社西川興業は、脱炭素化の流れを受けて需要が拡大している太陽光発電設備の設置工事を主力事業として育てている。県外のメガソーラー発電所向けの仕事が近年増加する中、本社から離れた場所で仕事をすることが多い若い経営幹部が円滑に管理業務をこなす上で、ICTが心強い戦力になっている。(TOP写真:社外から送られてきた写真を編集する様子。タイトルの「NAS」は、ネットワーク型接続ハードディスクの事)

太陽光発電設備の設置事業を主力事業として育てる

本社から離れた場所での管理業務をNASで円滑に 太陽光発電設備の設置工事を通じて脱炭素化に貢献する 西川興業(香川県)
西川興業の本社前に掲げている看板

1988年設立の有限会社西川興業は、かつては土木、金属加工、造園が事業の中心だったが、10年ほど前から全国的なメガソーラー発電所の拡大を見越して太陽光発電設備を設置する事業に経営資源を注力している。メガソーラー発電所の建設に携わる元請け企業の指示に従って、金属製の架台と太陽光パネルを設置する作業でノウハウを蓄積。太陽光発電設備の設置事業は売上高の50%を占めるまでに成長している。

「正確で迅速な作業を心掛けています。太陽光発電分野の情報を幅広く集め、技術を蓄積することで脱炭素化社会の実現に貢献していきたい」。西川興業の創業者を父親に持つ西川雅統専務取締役はこれからの取り組みへの抱負を語った。西川専務は現在、29歳。西川興業の入社時から幹部として活躍している。

ICTやデジタル機器を活用することで事務作業を効率化したい

本社から離れた場所での管理業務をNASで円滑に 太陽光発電設備の設置工事を通じて脱炭素化に貢献する 西川興業(香川県)
西川興業の西川雅統専務取締役

社内はデジタル機器の扱いに慣れていない40代以上の従業員が大半を占めている。物心ついた時からパソコンや携帯電話といったデジタル機器に囲まれて育ち、それらの扱いに慣れている自らが、社内業務のデジタル化を牽引(けんいん)していかなければならないという思いは強い。専務としての仕事の大半は管理業務と営業。契約書の作成、請求、支払、工事の工程管理、人員の配置、勤怠管理など取り組まなければならない仕事は多い。「事務作業は効率化するに越したことはありません。ICTやデジタル機器を活用することで、営業活動や将来を見据えた経営戦略の策定など付加価値を生み出す仕事に時間を使えるようにしていきたいと考えています」と西川専務は話した。

以前は、本社の事務担当者に、図面や資料のデータを送ってもらっていたが、NASを導入後は、いつでもどこからでも会社の資料にアクセスできるようになった

継続的に取引している元請け企業が受注するメガソーラー発電所の建設は、関西や中部など香川県外で実施されることが多い。メガソーラー発電所の建設は半年から1年はかかるため、県外に長期にわたって従業員を派遣している。普段は本社で管理業務や営業活動にあたっている西川専務も、元請け企業との打ち合わせなどで県外に赴くことが多い。

「社外から直接、本社に保存している図面や資料にアクセスできる手段はないだろうか」。そのような考えから2023年9月に導入したのがインターネットで外部と接続する機能を備えたネットワーク型接続ハードディスク(NAS)だ。「NASを導入したことで、必要な図面や資料を社外からいつでも確認することができるようになりました。年間勤務時間のざっと半分以上は社外で仕事をしているので非常に助かっています」と西川専務は話す。

社外での打ち合わせの最中、手元にない図面や書類が必要になることがある。NASを導入する前は、本社に勤務している事務担当者に電話をかけて図面や資料のデータをメールで送ってもらっていた。だが、必要な図面や書類を探してもらうのにどうしても一定の時間待たなければならなかった。西川専務も事務担当者の仕事の手を止めてしまうことに負い目を感じていたという。NASを導入することでこの問題は一気に解消した。「電話をかける手間がなくなるだけで社外での仕事がこれほど効率化するとは思いませんでした」と西川専務は微笑んだ。

情報の共有を進めることで仕事の属人化を解消したい

本社から離れた場所での管理業務をNASで円滑に 太陽光発電設備の設置工事を通じて脱炭素化に貢献する 西川興業(香川県)
西川興業のオフィスの様子

現場で撮影した写真をネットワーク型接続ハードディスク(NAS)に送り、現場のリーダーら複数の従業員で共有することもできるようになった。メールで送信できるデータの容量は小さかったが、NASを導入したことで一度に大量のデータを送信できるようになった。文書や写真の共有が容易になったことで西川専務が一人で抱えていた仕事も分担しやすくなったという。「情報の共有を進めることで仕事の属人化の解消につなげていきたい」と西川専務は話す。

NASを活用して情報をバックアップ

データの保管でもNASは大きな効果を発揮している。以前はパソコンに図面や工事写真、請求書、工程表など会社のあらゆる情報を保存していたので、パソコンが破損した時にデータが失われてしまうリスクがあったが、NASを導入したことでバックアップが可能になった。情報の保護については様々なセキュリティ機能を集約したUTM(統合脅威管理)を導入し、定期的にバージョンアップを図っているという。

「ICTやデジタル機器は、効率的に管理業務をこなす上で心強い存在です。好むと好まざるとにかかわらず社会のデジタル化は進んでいきます。取引先が業務のデジタル化を進める際はしっかりと対応していかなければなりません。変化が激しいこれから先の時代に柔軟に対応する心構えをしっかり持っていきたい」と西川専務は話した。

複合機のスキャン機能を活用してペーパーレス化を推進

本社から離れた場所での管理業務をNASで円滑に 太陽光発電設備の設置工事を通じて脱炭素化に貢献する 西川興業(香川県)
複合機のスキャン機能を活用して紙文書のデジタル化を進めている

複合機のスキャン機能も活用している。「紙文書をデジタル化する上で非常に便利です。取引先には文書を郵送やFAXよりもメールを使ってデータで送るケースが増えているので、スキャン機能を使用する頻度は増えています。これまで紙で保存している資料のペーパーレス化も検討していきたい」(西川専務)

デジタル化への対応を進める一方、アナログ式の仕事の進め方も大事に

本社から離れた場所での管理業務をNASで円滑に 太陽光発電設備の設置工事を通じて脱炭素化に貢献する 西川興業(香川県)
西川興業の本社の外観

西川専務はデジタル化への対応を進める一方で、人と人との対面コミュニケーションを軸としたアナログ式の仕事の進め方も大事にしていきたいと考えている。「一気にデジタル化を進めることで現場が負担を感じるのであれば本末転倒です。しばらくは昔から慣れている仕事の進め方とのハイブリッドで取り組んでいきたいと考えています」と西川専務は話した。

デジタル化が加速するだけでなく、予測することがますます難しくなるこれからの時代に向けて、柔軟に対応していこうとしている西川興業。長期的な視野で事業に取り組む若い後継者の存在が大きな強みになっている。

企業概要

会社名有限会社西川興業
本社香川県坂出市西庄町248
電話0877-45-7373
設立1988年6月
従業員数15人
事業内容太陽光発電設備設置、土木、建築、鋼構造物設計・施工