食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

〈引続き副産物など安価なアイテムが中心、ムネは凍結玉確保の動き〉
2月の鶏肉需給は年末年始を経て需要が一服したことで、相場も下げ傾向となった。ただ、当初は早々に下落するものとみられていたが、モモ正肉は第1週目から3週目までの週平均で680円台(日経加重平均)を維持し、4週目に入ってようやく670円台に下げるなど、実際は小幅な下げにとどまった。ムネは370円台で推移していたものの、モモに引っ張られる格好で4週目以降は概ね360円台を付けた。2月は一部の地域で寒波がみられたが、全国的に暖冬だった影響で、例年よりも鍋物需要が落ち着くタイミングが早く、月間を通してモモの荷動きは芳しくなかった。一方、これまで余剰感があった凍結品在庫については、各社決算期を控えていることもあり、徐々に整理が進んだようだ。

この結果、2月の月間平均は日経加重平均でモモが682円(前月701円)、ムネが369円(377円)、正肉合計で1,051円(1,078円)となった。前年同月にはモモが800円台、ムネで400円台と高病原性鳥インフルエンザによる供給不安感からモモ、ムネともに高値推移していた反動で、前年比ではモモ118円安、ムネ45円安と引続き前年価格を大きく下回っている。

〈供給見通し〉
日本食鳥協会がまとめたブロイラー生産・処理動向調査によると、3月の生体処理羽数は前年同月比0.3%減、処理重量が1.6%減とともにマイナスに転じると予想している。地区別にみると、北海道・東北地区は羽数0.3%増、重量0.7%減、南九州地区が羽数0.8%減、重量2.3%減と重量はいずれも減少する見込みだ。ただ、4月は全体で羽数3.9%増、重量1.6%増と再びプラスに回復することが予想されている。

一方、農畜産業振興機構の鶏肉需給予測によると、3月の鶏肉輸入量は前年同月比10.7%増の5.3万tと予測している。ブラジルの輸入回復に伴い、2月には6万tを超える入荷が予想されるなか、3月は5万t台前半の水準に落ち着くものとみられる。1月末時点の輸入品在庫は12.6万tまで増加したものの、紅海・スエズ運河の迂回による影響などで入船遅れがみられるなか、決して多い水準とはいえないようだ。ただこの先、輸入フローズン豚肉などを含め、入船が遅れた分が通関されることで、庫腹のひっ迫を懸念する声も聞かれる。

〈需要見通し〉
3月は引続き需要の端境期となることに加え、春休みで学校給食がストップすることもあり、基本的には落ち着いた需要環境が予想される。モモはここから不需要期に入るパターンとなるが、前述の通り、決算期を前にしてフレッシュで売り切る動きが強いようだ。ムネは需要が本格化する夏場を前に、相場が下落傾向にあるいま、凍結玉を確保しようとする動きがみられる。また、量販店の特売用にムネを並べるケースも多く、今後も底堅い需要が継続するものとみられる。一方で、手羽元やササミといった副産物の引合いは強く、引続き安価なアイテムの需要が高まっている。

輸入品は外食需要が回復するなかで、他畜種と比べて価格優位性があることからも、一定の出回りに支えられるものとみられる。今後は、輸入量に対して実需がどこまで追いついてくるか注視されるところ。

〈価格見通し〉
1日の相場は日経加重平均でモモ673円、ムネ370円でスタートした。それ以降は下げに転じているが、それでも小幅な下げにとどまっている。3月の末端需要は前述の通り、副産物など安価なアイテムが中心とみられるなか、モモ、ムネの相場は下げパターンが予想される。実需からみれば、モモは月後半には650円台まで下げてくる可能性もあり、これらを勘案すると、月間平均ではモモが660円前後(農水省市況670円前後)、ムネが360円前後(370円前後)と予想する。

〈畜産日報2024年3月9日付〉