愛知国際アリーナは2月8日、来年に開業する愛知県新体育館のネーミングライツ取得企業と新名称を発表した。ネーミングライツ取得企業はオンライン金融サービスのリーディングカンパニーで、ロンドンに本社を構え日本を含む世界19拠点で事業を展開する「IG グループ」(ロンドン証券取引所上場)となる。契約期間は2025年から10年間で、日本およびアジア地域における最大規模のアリーナネーミングライツ契約の1つとなる。ネーミングライツパートナーの決定にともない新しいアリーナ名は「IG アリーナ」に決定した。同日行われた発表会では、アリーナ名を発表した他、愛知県 知事の大村秀章氏からアリーナの果たす意義・今後の構想について、ネーミングライツ取得企業のIG証券 社長CEOの古市知元氏が今回ネーミングライツを取得した背景と期待などについて話した。
まず、大村氏と古市氏が登壇し、愛知県新体育館のネーミングライツ取得企業がIG グループであることを発表。また、新しいアリーナ名は「IG アリーナ」になることを発表した。
大村氏は、「来年の7月1日に『IG アリーナ』が開業する。そして一番最初の興行として、7月15日から大相撲名古屋場所が行われる。大相撲名古屋場所を皮切りに、国内外から多くの人に足を運んでもらえるアリーナを目指していく」と、愛知県名古屋市の名古屋城を臨む名城公園の一角に、国内アリーナ最大級となる「IG アリーナ」がオープンするとアピールする。「2026年にはアジア・アジアパラ競技大会の会場としても利用される」と、国際的なスポーツ競技会の会場にもなるのだと目を細める。「『IG アリーナ』で行われる各種イベントについては、AEGアンシュッツ・エンターテインメント・グループ(以下、AEG)とパートナーシップを結び、国際的なスポーツイベントやコンサートなどを開催していく」と、世界最大のアリーナ運営会社と手を組むことで、ビッグイベントを「IG アリーナ」で開催していくと意気込む。「今年はジブリ・パークの第二期オープンが控えている。そして来年は『IG アリーナ』がオープンと、愛知県がエンターテインメントの中心になるのではないかと思っている。それだけに、IGグループと協力しながら、最先端の技術を駆使したスマートアリーナを目指していく」と、新たなエンターテインメントの拠点として、国内外に「IG アリーナ」の存在を知らしめていくと語っていた。
次に、愛知国際アリーナ 社長の鷺徳次氏が挨拶した。「『IG アリーナ』は、国内外のトップクラスの収容人数とホスピタリティエリア等を誇ることから、IGグループの期待に応えるべくグローバルな展開を推し進めていく」と世界に向けて様々な情報を発信していくとのこと。「さらに、周辺地域の人々と共に発展していくことを目指し、日本初、世界初のリアルを超えた体験を『IG アリーナ』で実現していく」と、地域の人々に愛されるアリーナに育てていくと訴える。「IGグループと共に『IG アリーナ』を日本のアリーナのモデルケースとして価値創造を図っていく」と、「IG アリーナ」を国内外を代表するアリーナへと昇華させるため、広い視点でアピールしていきたい考えを示した。
そして、ネーミングライツ取得企業を代表して、IG証券 社長CEOの古市知元氏が挨拶した。「当グループは、英国に本社をもつグローバル企業で、今年で50周年を迎えた。店頭デリバティブ取引という金融業界でも特殊な取引をメインに扱っており、オンラインプラットフォームにおいては世界No.1であると自負している」と、同社の業務内容について解説。「1万7000銘柄を取り扱っており、世界に投資の機会を求める人にとっては扱いやすいプラットフォームになっている」と、サービス内容について紹介した。「今回のネーミングライツ取得について、アリーナのコンセプトを聞いたとき、心に響くものがあったことから、ぜひ実現したいと思っていた」と、「IG アリーナ」での展開を目指すプロジェクトに大きな期待を寄せているとのこと。「『IG アリーナ』で最高のエンターテインメント環境を創っていきたい」と、新しい価値を「IG アリーナ」で生み出していきたいと話していた。
「IG アリーナ」の運営に関わる愛知国際アリーナ 社長 鷺徳次氏、設計建設時代表の前田建設工業 常務 東山基氏、運営時代表のNTT ドコモ 執行役員 櫻井稚子氏、世界最大のアリーナ運営会社のAEG 副会長兼最高法務・開発責任者 テッド・フィクレ氏、そしてIG証券 社長CEOの古市知元氏によるトークセッションが行われた。東山氏は、「当社は『IG アリーナ』の設計および建設を担っている。アリーナを作って終わりではなく、完成後においても強くコミットしていく。当社は社会インフラの運営に力を入れており、愛知県においては、高速道路の運営を行っている。『IG アリーナ』は、エンターテインメントのインフラを位置づけ、世界に向けての発信拠点にしていくべく、最大の努力と貢献を行っていく」と、「IG アリーナ」との関わりについて説明した。
櫻井氏は、「当社はアリーナ運営だけでなく、IP技術を駆使しながら、興行の分野にもチャレンジしていく」と、「IG アリーナ」の運営という枠を超えた取り組みを行っていくと強調する。「最新の技術を使って、新しいアリーナを創造していくことに挑戦していく」と、これまでにないチャレンジに胸を躍らせていると訴えた。
フィクレ氏は、「愛知県が世界クラスのアリーナを作りたいという想いがなければ実現できなかったプロジェクトであると感じている。音楽とスポーツの力を借りながら、名古屋にエンターテインメントを届けていく」と、「IG アリーナ」でビッグイベントを開催したいと意気込む。「『IG アリーナ』は世界的なランドマークになると確信しているだけに、日本のエンターテインメントを創出していくことで、愛知県および名古屋に大きなインパクトを与え続けていく」と、世界を代表するアリーナにしていきたいとアピールした。
今回のネーミングライツについて、鷺氏は「先進的なビジネスモデルになっており、そのパートナーとしてIGグループに参加してもらった」とのこと。フィクレ氏は「当社が様々な国々で実績を積み上げてきたのが、世界に発信できるブランドビルディング。このブランドビルディングではファンの人々と直接的な関係を築くことができる。また、ユニークなプロモーションやアクティベーションを行うこともできる」と、施設の命名権だけでなく、ブランド構築やプロモーションなど様々な分野で提携していくビジネスモデルになっていると教えてくれた。
古市氏は、「当社は店頭デリバティブ取引の商品を提供しているものの、日本ではNo.1ではないため、さらなるシェアや認知拡大を図る必要があると感じている。特に、外国の証券会社についてよくわからないという人は少なくない。この部分を払拭させるためにも、『IG アリーナ』でこれまでにない体験をしてほしいと思っている。そしてこの体験が外国の証券会社へのポジティブなイメージにつながっていくことに期待している」と、ネーミングライツ取得会社として、「IG アリーナ」に期待する部分を述べてくれた。
「IG アリーナ」で行われるイベントについて鷺氏は、「大相撲名古屋場所の開催およびバスケットボール Bリーグ 名古屋ダイヤモンドドルフィンズが本拠地として利用することが決まっている。その他にも、トップクラスのスポーツと音楽を提供していく」と、多くの人を魅了するイベントを開催するとのこと。櫻井氏は、「ワクワクする体験や感動はとても重要。NTTドコモはエンターテインメントの子会社をつくり、自社での興行を『IG アリーナ』と一緒にできればと思っている」と述べていた。フィクレ氏は、「AEGプレゼンスという部門では、世界にLIVEミュージックを配信している。こうした部門と連携を図りながら、世界のトップアーティストを呼べるようにしたい」と、トップアーティストのワールドツアーの開催場所に「IG アリーナ」が常に入るようにしていきたいと述べていた。今後予定されているイベントに耳を傾けていた古市氏は、「素晴らしいアーティストが『IG アリーナ』で最高のパフォーマンスを披露してくれるのではないかと、今から期待してしまう」と興奮気味に話していた。
「IG アリーナ」の施設面について東山氏は、「外国の利用者の要求はとても高い。そこでハイクオリティな体験が可能なラウンジ付きの個室を用意している他、プレミアムシートも用意している。また演出も多様化しているため、天井高を31mにしている。大空間でのエンターテインメントが提供できる。さらに、外観デザインと内装の一部は隈研吾建築都市設計事務所が手掛けている。木材等をふんだんに使ったアイデアが随所に盛り込まれている」と述べていた。ソフト面について櫻井氏は、「海外では来場前から来場中、来場後まで、来場者に寄り添ったアプリが提供されている。こうしたアプリを『IG アリーナ』でも取り入れていく。また、当社の顧客基盤と『IG アリーナ』の来場者を掛け合わせる施策も打ち出していくことで、地域に根ざした展開も図ることができる」と、「IG アリーナ」内での利便性もさることながら、周辺地域との連携によって、地域を巻き込んだシステム構築を図ることでサービス向上につなげていくとアピールしていた。
最後に、フィクレ氏は、「音楽やスポーツのイベントによって日本のみならず海外から多くの人々に来場してもらうことでブランド価値を高めていきたい」と述べていた。鷺氏は、「愛知県民の人々に支持されるコンテンツを提供するだけでなく、参画してもらえるような仕組みを構築したり、『IG アリーナ』を積極的に利用しやすくするべく、愛知県民と一緒に盛り上げていく」と語っていた。櫻井氏は、「何度も訪れたくなる施設にしていくために、テクノロジーを駆使して感動や誰かに伝えたいという想いを創出していきたい」と話していた。東山氏は、「中部国際空港に隣接する展示会場『Aichi Sky Expo』とのコラボやパーキングネットワークとの連携によるスムーズな移動のサポートなども行いながら、大きなインパクトを与えられればと思っている」と、前田建設工業の運営ノウハウも活かしながら「IG アリーナ」を育てていきたいと訴えた。古市氏は、「すごいコンテンツが『IG アリーナ』で提供されることで、愛知県民の人々に愛される施設になっていくと共に、地域も大きく活性化していくと思う。壮大なプロジェクトであるだけにぜひ成功させたい」と、日本、愛知県、そして新しい「IG アリーナ」とともに成長していくと力強く語っていた。
[基本情報]
ネーミングライツ取得企業:IG グループ
アリーナ名称(ネーミングライツパートナー):IG アリーナ
事業主体:愛知県
管理運営:愛知国際アリーナ
所在地:愛知県名古屋市北区名城1-4-1名城公園内
階数:5階建て
高さ:建物高さ41m、アリーナ内天井30m
建築面積:2万6500m2
延床面積:6万3000m2
最大収容人数:1万7000人(立ち見含む)/1万5000 人(着席)
飲食店舗・ワゴン店舗区画:約30区画
IG グループ=https://www.ig.com/jp/about-ig
愛知県=https://www.pref.aichi.jp/
愛知国際アリーナ=https://aichi-arena.co.jp
前田建設工業=https://www.maeda.co.jp/
NTTドコモ=https://www.docomo.ne.jp/
AEGアンシュッツ・エンターテイメント・グループ=https://www.aegworldwide.com/