近年、EC業界や小売業界で「リテールメディア」という言葉をよく聞くようになりました。なぜ今、リテールメディアに注目が集まっているのでしょうか。リテールメディアの意味や、自社ECサイトの集客に活用するメリットなどを分かりやすく解説します。
目次
リテールメディアとは?
リテールメディアとは、リテール(小売)とメディア(媒体)を組み合わせた造語であり、小売企業が運営している広告媒体という意味で使われます。一般的には、小売企業が保有するデータを活用し、ECサイトやアプリ、店頭のデジタルサイネージなどで広告を配信する仕組みを指します。
代表的なリテールメディアは、Amazonや楽天市場といったECモール内の広告です。EC事業者さまにとって、なじみの深い広告でしょう。それに加え近年は、家電量販店などに設置されたデジタルサイネージや、実店舗の買い物でポイントが貯まるアプリなどに広告を表示する事例も増えています。
メーカーがリテールメディアの広告枠を購入し、商品を宣伝します。その際、小売企業が持つ会員ID情報や行動データ、購買履歴などを活用してターゲティング配信を行います。
メーカーは自社商品の露出を増やすことができますし、小売企業は広告枠を販売して収益を得ることが可能です。そして、消費者は自分の興味・関心に合った商品を知ることができます。このように、メーカー・小売企業・消費者の三者にメリットがあるのがリテールメディアの特徴です。
リテールメディアそのものはECモール内広告のように以前から存在していましたが、実店舗を持つ小売企業が広告事業に参入してきたことで市場が活性化し、あらためてリテールメディアに注目が集まっています。
リテールメディアの市場規模
日本のリテールメディア市場は急速に拡大していると言われています。株式会社CARTA HOLDINGSが実施した調査によると、日本国内のリテールメディア市場は2023年時点で3625億円でした。2027年には9332億円に拡大する見通しです。
出典:株式会社CARTA HOLDINGS 2023年12月25日 CARTA HOLDINGS、リテールメディア広告市場調査を実施
リテールメディアの事例
リテールメディアの代表例はAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング、ZOZOTOWNといったECモール内の広告です。そして近年は、実店舗を持つ小売企業もリテールメディア(広告事業)に続々と参入しています。
例えば、ヤマダデンキは2021年4月に「ヤマダデジタルAds」を開始し、アプリやデジタルサイネージなど自社媒体を活用して広告事業を展開しています。セブン-イレブン・ジャパンは2022年8月に「リテールメディア推進部」を新設し、自社アプリなどの広告枠をメーカーに販売しています。総合スーパーのイオンやドラッグストアのマツモトキヨシも広告事業を強化しているようです。
画像出典:株式会社ヤマダ電機 2021年4月1日 プレスリリース 「ヤマダデンキとサイバーエージェント、販促 DX において業務提携を締結し広告事業参⼊へ オンライ ン広告から棚前サイネージ、アプリ連携と購買データまで⼀貫した販促データ基盤を共同開発、公式広告メニュー「ヤマダデジタル Ads(ヤマダデジタルアズ)」をリリース」
参考:株式会社セブン-イレブン・ジャパン 2022年8月15日 株式会社セブン-イレブン・ジャパン 2022年8月15日 組織変更および人事異動に関するお知らせ
参考:ITmedia 2022年12月22日 「オンラインだけではAmazonに勝てない」 セブンがアプリで広告を配信する狙い
リテールメディアのメリットと活用法
広告主にとってリテールメディアを活用するメリットは、主に次の2点です。
●精度が高いターゲティングを行える
●Cookie規制の影響を受けにくい
精度が高いターゲティングを行える
リテールメディアは小売企業が保有している各種データを活用し、精度の高いターゲティングを行うことが可能です。会員IDごとの登録情報や購買履歴、ECサイトの閲覧履歴、アプリの利用履歴などに加え、小売企業が持つPOSデータやECサイトの購買データなども活用します。それらのデータにもとづいて、例えば「商品Aを1ヶ月以内に購入した20〜40歳の女性会員に対して、アプリを開いた瞬間に商品Bのクーポン広告を表示する」といった施策を行えます。
Cookie規制の影響を受けにくい
リテールメディアはターゲティングや効果測定にファースト・パーティ・データを使用します。そのため、サード・パーティ・Cookieに対する規制の影響を受けにくいことがメリットです。近年、個人情報保護の観点からCookieに対する規制が強まり、ターゲティングや効果測定にサード・パーティCookieを活用しにくくなっています。デジタル広告を取り巻く環境が変化する中で、Cookieに依存しないリテールメディアへの期待が高まっています。
自社ECサイトの集客に活用する方法
自社ECサイトを運営しているEC事業者さまがリテールメディアを活用する方法について解説します。
もっともシンプルな方法は、広告のリンク先を自社ECサイト(メーカーの独自ドメインサイト)に設定すること。例えば、Amazonが提供している広告「AmazonDSP」は広告のリンク先を自社ECサイトに設定することが可能です。現時点では、リンク先を自社ECサイトに設定できるリテールメディアは限られています。しかし、リテールメディア市場の拡大とともに広告メニューが増えていけば、将来的には自社ECサイトに誘導できる広告媒体が増えていくでしょう。
店頭のデジタルサイネージなどを使って商品の認知拡大を図り、検索エンジンやSNSでの指名検索を増やして自社ECサイトのアクセスにつなげるといった手法も考えられます。デジタルサイネージで広告を打つと、検索エンジンやSNSで商品について調べるユーザーが増える可能性があります。広告を出稿する前に自社ECサイトのSEOやコンテンツマーケティング、SNS対策などを行い、指名検索を行ったユーザーの受け皿を整えておきましょう。
まとめ:futureshopならSEOや接客に強いECサイトを構築可能
自社ECサイトの集客にリテールメディアを活用する場合、サイトに流入したユーザーを購入につなげる施策も重要です。
株式会社フューチャーショップが提供しているSaaS型のECサイト構築プラットフォーム「futureshop」は、レコメンド機能やポイント機能、カートリカバリー(カゴ落ちメール)など、ECサイトのコンバージョン率を高めるさまざまな機能を備えています。また、自社ECサイトのメタタグの「description」や「keyword」を設定できるほか、ブログをECサイトのドメイン配下で運用できるなど、SEOに役立つ機能も豊富です。
自社ECサイトの売上を伸ばしたい担当者さまや、ECプラットフォームのリプレイスを検討している事業者さまは、お気軽にお問い合わせください。
SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」の詳細は公式サイトをご覧ください!