ネットショップの売り上げを伸ばすには、「EC売上高の方程式」を活用し、お店のどこに問題があるのかを把握した上で、改善策のPDCAサイクルを回すのがセオリーです。今回はその方程式の使い方と、ネットショップの売上アップにつながる13の施策を解説します。
「ネットショップが売れない・売り上げが伸び悩んでいる」
「EC担当者になったので、ネットショップの売り上げを伸ばすノウハウを知りたい」
「自社ショップの弱点を把握し、店舗の改善につなげたい」
こうした課題を感じている方は、本稿で紹介する施策例を店舗運営の参考にしてください。
目次
日本国内におけるEC市場の規模について
日本国内におけるEC市場の規模について紹介していきます。
下のグラフは、2021年までの国内のEC市場規模の推移です。
全体の市場規模を見ると、2019年まで右肩上がりで進み、2020年に初めて横ばいになっていますが、2021年以降は再び市場が拡大していることがわかります。
特に物販系においては安定的に市場規模が伸びている状況です。
今後もECサイトを通じて売上アップを目指せる市場にあるため、売上アップに繋がるマーケティング施策を理解して実践していくことが非常に重要となります。
出典:経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」P7
弊メディアでは、ECサイトで売上を伸ばしている企業様にEC成功事例インタビューを行っておりますのでそちらもぜひ参考にしてみてください。
また、ECの市場環境に関してより深く知りたい方向けに「日本のEコマース調査」というお役立ち資料を配布しております。
国内ECモールの売上高高TOP5
国内ECモールの売上高TOP5は以下の表のとおりです。
順位 | ECモール名 | 売上高 |
1位 | 楽天 | 5兆118億円 |
2位 | Amazonジャパン | 2兆5,378億円 |
3位 | Yahoo!ショッピング | 1兆6,900億円 |
4位 | ZOZOTOWN | 3,955億円 |
5位 | au PAYマーケット | 推定 2,317億円 |
トップは、日本におけるEC販売の先駆けとなった「楽天市場」です。売上高は5兆118億円であり「楽天カード」や「楽天トラベル」「楽天モバイル」など、グループ内の各サービスと連携しているのが特徴です。幅広い分野でサービスを展開しており、組み合わせて使うとお得になるシステムのため、顧客の囲い込みに成功しています。
2位は世界中で大きなシェアを占める「Amazon」であり、売上高は2兆5,378億円です。Amazonでは「Primeサービス」を提供しており、月額600円で「お急ぎ便が無料になる」「Prime VideoやAmazon Musicといったサービスが利用できる」などの特典があります。
3位は「Yahoo!ショッピング」であり、売上高は1兆6,900億円です。スマホ決済サービス「PayPay」と連携し、ポイントをためられる仕組みを作り、ユーザーの囲い込みを目指しています。
4位は、アパレルに特化したECモール「ZOZOTOWN」であり、売上高は3,955億円となっています。2019年秋にヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)に買収されており、その流れでPayPayモールにZOZOTOWNが出店しています。
5位は、KDDI株式会社が運営している「au PAYマーケット」です。売上高は推定2,317億円であり、日用品やコスメ、ファッション、家電などに強みがあります。au PAY カード会員のポイント還元率が高く、auユーザーをメインターゲットにしているECモールです。
国内ECサイトの売上高高TOP5
国内ECサイトの売上高TOP5は以下の表のとおりです。
順位 | ECサイト名 | 売上高 |
1位 | amazon.co.jp | 2兆5,378億円 |
2位 | ヨドバシ.com | 2,221億4,300万円 |
3位 | ビックカメラ.com | 1,487億円 |
4位 | ZOZOTOWN | 1,474億200万円 |
5位 | ユニクロオンラインストア | 1,076億円 |
参考:ネットショップ担当者フォーラム「【2021年版】EC売上ランキング1位はアマゾン。2位はヨドバシカメラ、3位はビックカメラ、4位はZOZO、5位はユニクロ」
アマゾンジャパンが運営する「amazon.co.jp」はマーケットプレイス型のため、ECサイトにも該当します。国内のメーカーと共に開発した「PB商品」に注力し、品ぞろえを強化しています。
続いて2位は、ヨドバシカメラが運営する「ヨドバシ.com」です。「配達料無料」や「日時指定無料」さらには土日祝日も対応しており、物流基盤の強さを活かしたサービスを提供しています。
3位はビックカメラが運営する「ビックカメラ.com」です。店舗で「ECのレビュー件数・評価」が確認できるようになるなど、店頭の電子棚札とECの連携を推進しています。
4位は「ZOZOTOWN」であり「amazon.co.jp」と同様にマーケットプレイス型のため、ECサイトのランキングにも登場しています。「ゾゾコスメ」開始時のテレビCMが新規顧客の開拓に効果的でした。
5位は、ファーストリテイリングが運営する「ユニクロオンラインストア」です。アプリ会員限定の特別価格での販売を実施し、新規顧客数が大幅に増加した結果が売上高にも反映されています。
ECサイトの売上を上げるために重要なポイント
ネットショップの売上高は「集客数」「コンバージョン率(購入率)」「購入単価」という3つの要素の掛け算で決まります。この方程式は、ネットショップの売上アップをめざす上で必ず押さえておくべきもの。以下の公式を覚えておいてください。
<<ネットショップ(ECサイト)の売上高を表す方程式>>
売上高 = 集客数 × コンバージョン率(購入率) × 購入単価
「集客数」「コンバージョン率(購入率)」「購入単価」をそれぞれ改善すれば、ネットショップの売上高は必ず増えます。数値を改善すると売上高にどの程度のインパクトがあるのか、仮にそれぞれの数値が10%改善した場合の売上高の変化をシミュレーションしてみましょう。
●月間の集客数:10万UU(改善前) → 11万UU(改善後)
●コンバージョン率(購入率):1%(改善前) → 1.1%(改善後)
●購入単価:5,000円(改善前) → 5,500円(改善後)
【改善前】
100,000 × 0.01 × 5,000 = 5,000,000 円
【改善後】
110,000 × 0.011 × 5,500 = 6,655,000 円(改善前の133%に増加)
各要素の数値がそれぞれ10%改善した結果、月間売上高は500万円から665万5000円(133%)に増えました。あくまでシミュレーションの数値ではありますが、「集客数」「コンバージョン率(購入率)」「購入単価」を改善すると、ネットショップの売上高に大きなインパクトがあることを実感していただけるのではないでしょうか。
なお、「集客数」「コンバージョン率(購入率)」「購入単価」の適正水準は業界(商品カテゴリ)や企業の営業戦略によって異なります。数値の改善に取り組む際は、業界平均や自社の前年実績を基準にすると良いでしょう。
それでは次章で「集客数」「コンバージョン率(購入率)」「購入単価」を改善する施策を具体的に解説します。
ネットショップの集客アップに効く5つの施策
ネットショップの集客数を増やす代表的な施策は「SEO」「SNS集客」「WEB広告」「インフルエンサーマーケティング」「メールマガジン」です。
SEO(検索エンジン最適化)
SEO(Search Engine Optimization)とは、GoogleやYahoo!といった代表的な検索エンジンにおいて、見込み客が検索で使いそうなキーワード(検索クエリ)の検索結果上位にネットショップを表示させる取り組みです。
独自ドメインのECサイト(自社ECサイト)にとって、検索エンジンからの流入は重要な集客導線。現在のEC市場では必須の施策であり、実際に多くのネットショップがSEOに取り組み、アクセス数アップを実現しています。
SEOの具体的な方法の1つは、上位表示させたいキーワードを選定し、そのキーワードを各ページ(トップページ・カテゴリページ・特集ページ・商品ページなど)のtitleやdescriptionに設定すること。その際にポイントとなるのは、検索ボリュームが多いビッグワードだけを狙うのではなく、複数のキーワードを組み合わせたロングテールワードも対策することです。
ロングテールワードは検索ボリュームこそ少ないものの、SEOの競合サイトが少なければ上位表示の難易度は下がります。また、ロングテールワードは検索意図が具体的であるため、ECサイトにランディングした後、コンバージョンにつながりやすいこともメリットです。
【ビッグワードとロングテールワードの例】
アパレル
●ビッグワード:「Tシャツ」
●ロングテールワード:「Tシャツ」「メンズ」「無地」
ギフト
●ビッグワード:「お中元」
●ロングテールワード:「お中元」「60代」「5000円以下」
最近はブログ記事や動画などのコンテンツをフックに検索エンジンからの流入アップを図る「コンテンツSEO」を実施している企業も増えています。自社ECサイトと同じドメインにWordPressなどのCMSをインストールし、独自性や信頼性が高い良質なコンテンツを発信し続けることで、ドメインパワーが強まってネットショップが検索結果の上位に表示されやすくなるとされています。
ただし、コンテンツSEOの効果は早くても3ヵ月程度、通常は1年以上をかけて徐々に集客効果が現れます。重要なのは、短期的に効果が見られなくても、あきらめずコツコツとコンテンツを作り続けること。過去に制作したコンテンツの情報更新や加筆も行うなど、地道な努力が実を結ぶのがコンテンツSEOの成功の鍵です。
コンテンツSEOは成果が出るまで時間がかかるものの、ひとたび特定のキーワードの検索上位にネットショップが表示されるようになれば、広告費をかけなくても検索エンジンからのアクセス流入が期待できます。成功すれば大きな果実が得られるのがSEOの特徴です。
▶︎SEOの施策や事例を解説したセミナーレポート記事も公開中!
SNSからの集客
SNSからの集客も、ネットショップの売上アップを目指す上で欠かせない施策です。ブランドや企業のSNSアカウント(公式アカウント)を開設し、フォロワーや顧客とコミュニケーションを行いながら、新商品情報やキャンペーン情報などを発信して自社ECサイトの集客につなげていきます。
SNSはコミュニケーションツールとしての役割にとどまらず、情報収集や買い物などさまざまな用途に使われています。代表的なものとしてInstagramやFacebook、Twitterなどがありますが、中でもInstagramはネットショップとの相性が良いのが特徴です。
Instagramは写真メインのSNSなので商品の魅力を視覚的に訴えかけることができます。アパレルや食品、インテリア、ジュエリーといったカテゴリとの相性が良いでしょう。また、#(ハッシュタグ)と呼ばれるタグを投稿写真に付けると、タグ検索を行ったユーザーがコンテンツを見つけやすくなり、ネットショップや商品の認知拡大につながります。
Instagramのフィード投稿からECサイトの商品ページへリンクを貼ることができる「Instagramショッピング機能」も、自社ECサイトの集客において重要な機能です。投稿写真に付けられた商品タグをユーザーがタップすると、InstagramからECサイトの商品ページに直接遷移します。
ユーザーは「これが欲しい!」と思ったとき(=購買意欲が高い状態)、検索エンジンを経由せずに商品ページへと移動できるため、何度も画面を遷移することによるストレスがありません。
ネットショップの構築に使われるASPサービスの中には、Instagramショッピング機能に連携しているものと、そうでないものがあります。Instagramを活用して集客を行うのであれば、Instagramショッピング機能に連携済みのECプラットフォームを選ぶと良いでしょう。なお、「futureshop」はInstagramショッピング機能に連携済みで、1200店舗以上にご利用いただいています。
▶︎SNS集客のノウハウや成功事例を解説したバックナンバーはこちら
WEB広告
ネットショップの集客にWEB広告もよく利用されます。例えば、Google検索の結果に表示されるキーワード連動型の広告(リスティング広告)は、情報を探しているユーザーに関連商品の広告を表示するため、効率的に顧客を獲得できる広告として広く活用されています。
近年は「Googleショッピング広告」の利用も広がっています。検索キーワードに関連する広告が表示される点はリスティング広告と同じですが、「Googleショッピング広告」は商品の写真や価格、色、サイズといった詳細情報が広告枠に表示されるため、非常にインパクトが強いのが特長です。
しかし、WEB広告を使う際の注意点もあります。iPhoneに搭載されているOSの「iOS14」以降は、ITP(Intelligent Tracking Prevention)機能を始めとしたプライバシー保護機能が強化され、ユーザーの行動データを広告に活用しにくくなっています。個人のプライバシーが守られる一方、広告の効果測定やターゲティングが難しくなってきているのです。
そのため、例えばFacebookやInstagramに広告を出稿する際は「コンバージョンAPI」を利用することが推奨されています。「コンバージョンAPI」を利用すると、ブラウザの読み込みエラーや広告をブロックする機能の影響を受けにくくなり、広告の効果測定やパフォーマンスを向上させることが可能です。
なお、ECプラットフォームによって「コンバージョンAPI」を使用できる場合とできない場合がありますので注意してください。
▶︎WEB広告の施策や活用事例を解説した記事はこちら
インフルエンサーマーケティングの追加
インフルエンサーマーケティングとは、InstagramやTwitter・YouTubeなどのSNSでフォロワー数の多い方に依頼をしてプロモーションを行う取り組みです。
自社のSNSアカウントのフォロワーが少ない場合にでも取り組めるため、近年非常に人気のマーケティング施策になっています。
インフルエンサーマーケティングを実施する際には、最初にPRする商品とそのターゲットを決めていきます。
商品やターゲットによってどのようなインフルエンサーに依頼すべきか異なってきますので、しっかりと決めておくことが重要です。
次に、ターゲット層がフォロワーに多いインフルエンサーをリストアップしていきます。Instagramで探していく場合には、ハッシュタグなどを活用すると効率的に探すことができるためおすすめです。また、インフルエンサーのマッチングサービスを活用することでも効率的に施策を行うことができます。
そして最後にDMにてPRの依頼を行っていきます。実際に文章を送る際には、商品の概要・商品のPRポイント・会社概要・報酬などの条件を記載した上で、やみくもに送るのではなく1通ごとに丁寧にご依頼を行うことで返信率が高まるため重要です。
実際にInstagramでECの集客に成功した方へのインタビューも行っておりますのでこちらの記事も合わせてお読みください。
ECで売れるInstagram活用法!集客施策やインフルエンサーマーケティングを徹底解説【セミナーレポート】
メールマガジンの活用を追加
リピーターを増やす施策としてメールマガジンの活用もよく行われます。例えば、新商品を紹介するメールマガジンや今月の人気商品を紹介するメールマガジンは広く活用されています。
メールマガジンの特徴は、1度ECサイトで購入または会員登録を行った方へ再訪問を促す施策という点です。
週に3回や可能であれば毎日配信を行うことでユーザーとの接点を多く持つことができ、リピートしてくれる可能性が高まるため、集客力アップの施策として非常に重要です。
リピーターを増やす方法について、ECサイトでリピーターを増やすには?訪問しやすいサイト構築の方法で詳しく紹介していますので合わせてご確認ください。
よりECサイトのマーケティングについて知りたい方は、契約者の方向けに弊社が行っている自社ECの売上をアップするための講座(futureshopアカデミー)にご参加いただければと思います。
集客だけではなく戦略やセキュリティ対策など自社ECを成功させるために必要な講座を多数ご用意しております。
コンバージョン率アップに効く7つの施策例
ネットショップのコンバージョン率(購入率)を高める施策を紹介します。「導線設計・デザイン」「買い物ガイドの充実」「WEB接客」「決済方法の拡充」「在庫切れ対応」「カゴ落ち対策」「リターゲティング広告」の7つです。
導線設計・デザイン
ネットショップのコンバージョン率(購入率)を上げるには、ECサイトにアクセスしたユーザーが目的の商品を見つけやすい導線と、決済をスムーズに終えられる入力フォームを作ることが重要です。
ECサイトの導線を設計する際は、まずはECサイトのログ(ユーザーの行動履歴のデータ)を分析します。ユーザーがECサイトにアクセスしてから購入を完了(またはサイトから離脱)するまでの間に、どのように行動しているかを把握します。そして、コンバージョンのボトルネックになっているページを特定し、購入につながるコンテンツを追加したり、ナビゲーションや回遊バナーなどを改善したりしてコンバージョン率アップにつなげます。
具体的には、Google Analyticsなどの測定ツールを導入し、ページごとのPV数や直帰率、滞在時間、コンバージョン率などを確認します。1カ月ほどデータを蓄積するとページごとの傾向が見えてくるでしょう。「PV数は多いが購入には結びつきにくいページ」や「離脱率が高いページ」といったコンバージョン率低下の要因になっているページを特定してください。
ページ改善の施策を実施したら、Google Analyticsを使ってページごとの離脱率の変化を確認するなど、施策の効果を検証し、改善と実行を繰り返してください。
▶︎ネットショップのデザインや導線改善のポイントを解説した記事はこちら
買い物ガイドの充実
ネットショッピングに慣れている人でも、初めて使うネットショップで買い物をする際は送料や返品などのルールが気になるものです。ましてやECに不慣れなユーザーは、購入前にさまざまな不安を感じるでしょう。
購入前の不安を取り除くには、例えば商品ページのカゴ周りに「お買い物ガイド」のリンクを掲載するなど、初めてでも安心して買い物を続けられる工夫が必要です。
それ以外の情報では、特定商取引法は言わずもがな、「返品」「送料」「決済」「会員登録」「ポイントのルール」「会社概要・私たちについて」「お客さまから選ばれる理由」「個人情報の取り扱い」など、お客さまが知りたい情報を充実させ、かつ見つけやすい導線を設計しましょう。お客さまが疑問に思ったときにすぐに質問できる「お問い合わせフォーム」の設置も効果的です。
こうした工夫を凝らすことがお店の安心感や信頼感につながります。そしてそれは、ECモールや競合ショップとの差別化にも直結する重要な要素です。コロナ禍でEC利用者の裾野が広がり、シニア層を含めてEC初心者がネットショップを利用する機会が増えていることも踏まえ、丁寧で親切な説明を心がけてください。
Web接客
近年、ネットショップにチャットを導入して問い合わせ対応や接客を行う動きが活発化しています。チャットがあれば、ユーザーは買い物の際のちょっとした疑問や不安を気軽に質問できます。特に若い世代は電話やメールよりもチャットを使いやすいと感じる人も多いようです。また、どの商品を選べば良いか迷っている顧客に対して、オペレーターが相談を受けながら商品を提案するなど、接客にチャットを活用することも効果的です。
なお、よくある質問はチャットボットで返信を自動化するなど、メリハリの効いた運用を行うとチャット対応を効率化できるでしょう。
▶︎チャット接客の成功ポイントを解説した記事はこちら
決済方法の拡充
決済方法を拡充することもコンバージョン率の改善につながります。ECサイトで使いたい決済方法は、顧客ごとに異なります。
ECサイトの決済方法は、クレジットカード、代引き、コンビニ払い、後払い、ID決済、キャリア決済などがあります。選択肢が多いほど購入途中での離脱を防ぐことができるでしょう。また、学生はクレジットカード所有率が低いため、若年層向けのECサイトはコンビニ払いやキャリア決済を導入するなど、年齢層に合わせて決済手段を導入することも重要です。
最近はネットショップでもキャッシュレス化が進んでおり、クレジットカード以外にもQR決済の利用が増加しています。QR決済はサービス運用元がポイント還元率アップキャンペーンを開催することも多く、キャンペーン期間中はポイントを貯めてお得に買い物をしたい消費者を取り込むことができます。
また、ID決済を導入すると新規顧客の獲得に効果的な場合もあります。たとえば、Amazon PayはAmazon.co.jpに保存しているクレジットカード情報と配送先住所を自社ECでも呼び出すことができます。初めて使う自社ECサイトであっても、クレカ情報や配送先の入力の手間が省けます。その結果、フォーム画面での離脱を防ぎ、コンバージョン率アップにつながります。
決済方法の選択肢は多いに越したことはありませんが、すべての決済方法をECサイトに導入することは費用的にも管理的にも難しいでしょう。ネットショップの会員の年齢層などを踏まえ、優先順位をつけて導入してください。
▶︎ID決済・スマホ決済の特徴やメリットを解説した記事はこちら
在庫切れへの対応
商品の欠品を防げばコンバージョン率アップにつながるのは言うまでもありません。しかし、人気商品の在庫を常に確保しつづけることはなかなか難しいものです。そこで、万が一在庫が切れた際には、アイテム再入荷時にメールにてお知らせ通知できる「入荷お知らせメール」を登録するよう顧客に案内しましょう。商品の入荷を待っていただくことで販売につなげられます。楽天のようなモールでも活用されています。
カゴ落ち対策ツールの導入
ネットショップで商品をカートに入れた後、決済せずにサイトから離脱することを「カゴ落ち」と言います。カゴ落ちしたユーザーにリマインドメール(カゴ落ちメール)を送り、ネットショップに戻ってきてもらうことでコンバージョン率を高めることができます。具体的には、離脱24時間後や3日後といった任意のタイミングで、離脱直前にカートに入れた商品の画像付きでメールを送ります。
カゴ落ちしたユーザーは一度商品を検討しているため、ニーズが顕在化しています。そのためカゴ落ちメールは通常のメルマガよりも高い反応率が得られることも少なくありません。カゴ落ちユーザーにメールを自動的に送信するシナリオを組めば、効率的で効果の高いメールマーケティングが実現します。
リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、サイトを訪れた事がある人にターゲットを絞って配信する広告のこと。サイトを過去に訪問したユーザーリターゲティング広告を配信することで、ユーザーの再訪問を促し、購入のきっかけを作り出すことができます。「リターゲティング(リマーケティング)広告」は集客アップとコンバージョン率アップの両方に有効です。
購入単価アップに効く3つの施策例
最後にネットショップの購入単価を上げる3つの施策を解説します。「クロスセル・アップセル」「まとめ買い割引」「購入最低金額を設定したクーポン」です。
クロスセル・アップセルを狙う
「クロスセル」とは、顧客が購入しようとしている商品とは別の商品を提案し、一緒に購入してもらうことで単価アップを図ること。例えば、ハンバーガーショップでハンバーガー単品を注文した顧客に、ポテトとドリンクを案内するのがクロスセルです。ネットショップであればレコメンデーション機能を使って「このような商品が一緒に購入されています」と関連商品を提案する方法があります。
「アップセル」は顧客が購入しようとしている商品よりも価格帯が上の商品を提案し、購入単価の引き上げを図ることを意味します。 例えば、200万円の自動車の購入を検討している顧客に対し、ワンランク上のモデルで250万円の車を提案するのがアップセルです。ネットショップだと、そのままでも購入できるけれども、オプションをつけて自分好みにカスタマイズできるなどといった取り組みもそのひとつです。
なお、クロスセルやアップセルを実施する際は、押し売りにならないように、あくまでも商品の価値をご納得いただいた形で実現する必要があります。顧客の好みや興味関心に沿った商品を適切なタイミングで提案することが重要です。
まとめ買い割引
「まとめ買いで合計金額から10%引き」や「この中から3つ選ぶことで500円オフ」など、まとめ買いで値引きを行うことも単価アップを促進できます。お得感や限定感を演出し、イベント性を高めることで、顧客が楽しみながら商品を選んだ結果として単価アップにつながるのが理想です。
最低利用金額を定めたクーポン
利用時の購入金額に下限を定めたクーポンを発行すると、顧客がクーポンを使うために目当ての商品とは別のアイテムを試したり、ワンランク上の商品を選択したりするきっかけを作ることができます。
単価アップ施策の事例は、クーポンを利用できる最低購入金額を「ショップの平均購入単価」よりも少し高い金額に設定すること。そうすることで顧客は新しい商品やワンランク上のアイテムを試してみるきっかけにもなり、ネットショップの良さを感じる機会を作れます。この施策を実施する場合、値引き後の購入単価がショップの平均購入単価を下回らないように、最低購入金額と割引額を調整しましょう。
施策の優先順位を決める
今回紹介した施策はどれも重要なものですが、人員や資金などのリソースによってはすべてを同時に実行することが難しい場合もあるでしょう。
施策を打つ際は、まずは社内リソースで行うことができるものから着手しましょう。ネットショップの運営を外部に依頼することも可能ですが、売上高が伸びるまでは費用負担が厳しいでしょうし、外部委託では社内にノウハウが蓄積されません。そういったことを踏まえると、まずは自分たちで出来ることからやってみるというスタンスがベターです。
また、施策を打つ際は最初からホームランを狙うのではなく、施策を複数打ってみて効果があるものは継続し、そうでない施策は止めるなど、PDCAサイクルを回して自社のネットショップに合う施策を見つけてください。
それでもネットショップで売れない…売上アップの打ち手がないと感じたら?
自分たちで施策を実行していると、成果の頭打ちや行き詰まりを感じることがあるかもしれません。そういったときは、外部の勉強会やセミナーに参加してみるのも良いのではないでしょうか。最近は無料のセミナーや勉強会も増えていますので、自分たちが直面している課題の解決につながりそうなテーマを選んで参加してみると良いでしょう。
また、ECプラットフォームやWeb接客ツールなどの提供元(システムベンダー)が開催している無料勉強会やセミナーに参加してみるのも効果的です。システムベンダーはクライアント(EC事業者)の成功事例を蓄積していますので、システムベンダーの担当者に悩みを相談し、売上アップのヒントをもらうのも一つの方法です。
まとめ
本稿で解説した13の施策を実行する際、利用しているシステムの仕様や機能がネックになることがあります。システムの制限が売上アップのボトルネックになっている場合には、新しいシステムへの乗り換えを検討するタイミングかもしれません。
弊社が提供しているECサイト構築プラットフォーム「futureshop」は、売上アップにつながる多彩な機能をそなえ、今回紹介した施策を実施することが可能です。また、店舗オープンまでを支援するオンボーディング、開店から受注して売り上げを上げていくための無料コンサルティングも提供しています。ネットショップの売上をさらに一段階伸ばしたい企業さまは、ぜひお問い合わせください。
ECサイトの具体的な運用にまつわる課題と解決方法については、こちらの記事をご覧ください。
自社EC最初の難関!最初の1商品を売るには? 商品が売れない原因と、回避方法を把握しよう。