矢野経済研究所
(画像=PIXTA)

外資大手モールが圧倒的な牽引力を発揮

~2018年の国内インターネット通販市場規模(物販分野)は9兆2,992億円で前年比108.12%と高い伸び(経済産業省データ)~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内インターネット通販(主に消費者向け物販分野)市場の調査を実施し、商品・サービス分野別、参入企業の動向を明らかにした。

1.調査結果概要

2019年5月に経済産業省が発表した電子商取引に関する調査結果によると、2018年の国内の消費者向けインターネット通販(BtoC-EC)市場規模は、前年比108.96%の17兆9,845億円であった。同調査によると、当該市場規模は物販、サービス、デジタルの3分野で構成される。このうち物販分野の市場規模は9兆2,992億円で前年比108.12%と高い伸びを示している。EC化率は、2017年比で0.43ポイントアップの6.22%であった。

インターネット通販参入企業の売上高を比較すると、上位には主に総合的に商品(商材)を取扱う企業が並ぶ。突出した売上高で近年トップのアマゾンジャパンは、2018年の売上高が1.5兆円超となり、伸長率としても2桁成長を継続している。2位以下の企業をみると、総合的な商品(商材)の取扱いと配送サービスで安定性を有する家電量販店、衣料品という単一取扱分野ながら、圧倒的に顧客をつかみ、既存のサービス枠を超えた施策を行うなど話題を提供し続けているアパレルインターネット通販(EC)企業、日用品の取扱いからスタートし、医薬品などを取扱う企業が並ぶ。昨今、トップ企業は不変であるが、好調であるところはより好調さを発揮する一方で、かつてのカタログ通販企業の売上高(インターネット通販売上高)は伸び悩むという状況にある。

2.注目トピック

総合商品(商材)取扱いサイトの躍進

独走するアマゾンジャパンを筆頭に、ヨドバシカメラ、アスクル運営のロハコといった総合的に商品(商材)を取扱うインターネット通販サイトの伸びがつづいている。必要なものを同サイト内で一度にまとめて購入でき、一括で受け取れる点などの利便性の高さで消費者の生活に浸透している。また、衣料品(関連商品含む)という単一取扱分野で運営するZOZOやユニクロはそうした中で消費者からの支持を受け、好調さを維持している。

国内は人口減少傾向にあるなか(総務省統計局データ)、概して消費財関連の市場は長期的な成長の継続は見込めないとしても、消費者向けインターネット通販市場における物販分野については、まだ利用していない消費者層を取り込むことや、注文から短期間で、且つ指定時間どおりに行われる配送体制が構築・維持されることを前提とすると、オフライン(実店舗)からオンライン(インターネット通販)へと購買チャネルを移行・代替する消費者の動きによって、当該市場は当面堅調に推移すると考える。