矢野経済研究所
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2019年度の国内移動体通信端末の出荷台数は前年度比95.6%の3,619万台、2019年のスマートフォン世界出荷台数は前年比99.7%の14億1,349万台の見込

~市場全体では停滞気味。2020年は5G商用サービスが始まるものの微増の見通し~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、日本を含む世界主要33市場(32カ国1地域)の携帯電話サービス契約数やスマートフォンやフィーチャーフォンの市場を調査し、通信事業者別契約数や各種の出荷台数予測、メーカーシェア、5Gスマートフォン出荷台数などを明らかにした。
ここでは、タブレットやデータ通信端末を含む国内移動体端末出荷台数予測、世界のハンドセット(スマートフォン+フィーチャーフォン)出荷台数予測について、公表する。

国内移動体通信端末出荷台数実績・予測

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1.市場概況

国内市場はサービス契約数が伸び悩む中、「格安スマホ」人気を背景に普及価格帯のスマートフォンが人気が集めており、フィーチャーフォンからの移行が進んでいる。一方で、高価格帯のスマートフォンは販売奨励金削減の影響が大きく、販売が伸び悩んでおりスマートフォン全体では減少傾向となっている。 2018年度の国内移動体通信端末の出荷台数(メーカー出荷台数ベース)は3,786万5,000台だった。2019年度における同出荷台数は、2018年度を168万台下回る3,618万5,000台の見込みである。通信事業者各社は普及価格帯製品へのシフトを進めている影響もあり、高価格帯のスマートフォンの出荷が伸び悩む傾向にある。一方で「格安スマホ」をターゲットに、海外端末メーカーの新規参入が相次いでいる。

世界市場はASEAN市場、インド市場、アフリカ市場向けのスマートフォン出荷台数が増加しているものの、世界の最大市場である中国が市場の飽和、中国経済の伸び悩みによって大幅に減少しており、中国の減少数が新興国の増加分を上回っている。また、先進国市場についても横這い状態が続いており、現在の世界市場では新興国市場が拡大の中心を担っている。 2018年の世界のハンドセット(スマートフォン+フィーチャーフォン)の出荷台数(メーカー出荷台数ベース)は17億2,545万5,000台で、そのうちスマートフォンの出荷台数は14億1,808万5,000台だった。スマートフォンは新興国での需要は拡大傾向にあるものの、先進国では頭打ちとなっている。また中国での需要が急速に落ち込んでおり、横這いの状態が続いている。2019年の世界におけるハンドセットの出荷台数は16億9,782万5,000台(前年比98.4%)で、スマートフォンの出荷台数は14億1,348万5,000台(同99.7%)を見込む。2019年もASEAN市場、インド市場、アフリカ市場では低価格スマートフォンの需要が旺盛なものの、中国市場の落ち込みが大きく補完しきれていない。

2.注目トピック

電気通信事業法改正の影響

2019年10月より電気通信事業法が一部改正された。「端末と契約の分離」が徹底され、携帯電話販売のビジネスモデルが大きく変わったが、通信事業者各社は手頃な値段の普及価格帯スマートフォンのモデルに注力したり、新たな販売モデルを導入するなど工夫を図っている。

3.将来展望

国内市場:2020年度における国内移動体通信端末の出荷台数(メーカー出荷台数ベース)は2019年度を若干上回る3,668万台を予測する。スマートフォンは5G対応製品の導入や普及価格帯の充実などにより持ち直すものの、フィーチャーフォン、タブレットなどは減少が続く見通しである。

世界市場:2020年の世界におけるハンドセット(スマートフォン+フィーチャーフォン)の出荷台数(メーカー出荷台数ベース)は17億2,790万5,000台(前年比101.8%)、そのうちスマートフォンの出荷台数は14億6,241万5,000台(同103.5%)を予測する。フィーチャーフォンはインド等一部の市場で根強い需要があるものの、減少傾向が続く見込みである。スマートフォンは新興国市場をターゲットにした低価格モデルの需要は堅調だが、高価格帯モデルは伸び悩む見通しである。