矢野経済研究所
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2019年度のペット関連総市場規模は前年度比1.7%増の1兆5,700億円の見込、高付加価値商品の展開で拡大

~ペットフードでは無添加やグレインフリーなど安心安全、健康を意識した商品展開が活発化~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のペットビジネス市場を調査し、セグメント別の動向、参入企業別動向、将来展望を明らかにした。

ペット関連総市場規模推移と予測

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1.市場概況

2018年度のペット関連総市場規模は、小売金額(末端金額)ベースで前年度比101.6%の1兆5,442億円と推計した。

一般社団法人ペットフード協会によると、犬の飼育頭数は引き続き減少傾向にあるが、猫の飼育頭数は横ばいで推移している。このように飼育頭数が伸び悩む一方で、ペットを家族の一員やパートナー(コンパニオンアニマル)として捉える飼育者が増えており、快適な飼育環境を実現する健康管理やマナー・エチケット関連の製品・サービスに対する需要は高まっている。結果として、プレミアムフードやペット保険などのカテゴリーが引き続き市場を拡大させていると考える。

2.注目トピック

ペット用おむつ市場~マナー目的の使用が拡大

2018年度のペット用おむつの市場規模をメーカー出荷金額ベースで65億円(前年度比115.2%)と推計する。

近年、ペットの高齢化の進行を背景とする失禁ケアのニーズの高まりに加え、屋内でのマーキングの防止やペット同伴の外出時のマナー・エチケットの観点から、ペット用おむつに対するニーズが高まってきている。今後も、ペット同伴可の施設などへの外出機会が増える事で、マナー目的での使用は拡大していく見込みである。 参入企業各社は、フィット感や機能性など商品の改良を進めるとともに、固体特有のサイズに対応した品揃えの強化など、細分化・多様化するニーズに対応する商品展開を進めている。シェア上位メーカーでは小型犬用サイズから大型犬用サイズまで、大容量タイプの動きが良いことから、広く固定ユーザーの獲得が進んでいると見られる。

ペット用おむつ市場でも、他のペット用品同様にPB商品の台頭によるNB商品への侵食が懸念され、特に近年は安価な中国製のPB商品が広く出回っている。但し、吸収力など技術面では国内メーカーのNB商品の方が優れており、中国製のPB商品から国内のNB商品に切り替える飼育者も存在する。おむつは、ペット用品のなかで伸長カテゴリに位置付けられ、今後さらに新規参入や商品展開の広がりが見られるものと考える。

3.将来展望

2019年度のペット関連総市場規模は小売金額(末端金額)ベースで前年度比101.7%の1兆5,700億円の見込、2020年度には1兆5,978億円(同101.8%)と微増推移を予測する。

飼育頭数が伸び悩む一方で、ペットを家族の一員として捉える飼育者が増えていることで、快適な飼育環境を実現するためにペット一頭あたりへの支出は増加傾向にある。プレミアムフードやペット保険などのカテゴリーは、引き続き市場を拡大させる見通しである。ペットフードでは、特に2018年以降「腸内フローラ」や「グルテンフリー」、「グレインフリー」などの機能を訴求した商品への注力がみられている。ペット用品でも健康管理やマナー・エチケット関連の製品に対する需要は引き続き高まっていく見通しである。