矢野経済研究所
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低温物流市場規模は前年度比3.6%増の1兆7,724億円

~物量の回復に加えて物流費の増加が市場規模を押し上げ~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の低温物流市場を調査し、市場規模、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。

低温物流市場規模推移・予測

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1.市場概況

2022年度の低温物流市場規模は、日系低温物流事業者の国内における販売高ベースで、前年度比3.6%増の1兆7,724億円となった。2019年度の同市場規模1兆7,109億円と比較すると3.6%増となり、コロナ禍が本格化する以前の水準を上回る結果となっている。

2022年度は前年度に続き多くの産業で事業活動が再開され低温食品の需要も回復傾向がみられたほか、人件費や電気代、燃料費等の上昇を反映した物流費の増加が市場規模を押し上げた。

2.注目トピック

低温物流市場規模の変動に寄与した物流動向について

低温物流市場規模拡大の一要因として、冷蔵倉庫(冷凍含む)の所管容積の増加に伴う収容能力の拡大が挙げられる。需要が高まっている冷凍食品は畜産物の約2.5倍程度の容積が必要となると同時に、冷凍すると長期保存が可能なため倉庫保管期間が長期に及ぶケースが多く、冷凍食品の増加は倉庫容積圧迫要因の一つとなる。冷凍食品の需要増加に対応すべく、低温物流事業者各社で冷蔵倉庫の建て替え(増築)や新設を行い、所管容積は拡大傾向となっている。また、消費地に近いエリアにて食品流通に適した機能を備える流通型の冷蔵倉庫や多機能な冷蔵倉庫のニーズが高まっている。これらの倉庫では頻繁に入出庫が行われると同時に、食品の流通加工等が行われるケースも多い。これらは低温物流事業の拡大につながり、市場規模拡大に寄与していくと考える。

3.将来展望

2023年度の低温物流市場規模は、日系低温物流事業者の国内における販売高ベースで、前年度比1.2%増の1兆7,937億円と予測する。

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行されたことで主要荷主となる小売業態においてさらなる事業拡大が見込まれるものの、物価高騰による消費低迷の影響や外食産業の回復の鈍さ、インバウンド需要が回復途上であり最盛期には及ばないこと等を加味し、物量(取扱量)としては回復に向かうものの横ばいから微増傾向で緩やかに推移するものとみる。一方で、物流の2024年問題を間近に控え、ドライバー確保に伴う人件費上昇の動きが加速するとみられるため、引き続き市場規模の拡大が見込まれる。

調査要綱

1.調査期間: 2023年9月~11月
2.調査対象: 低温物流に関わる物流事業者・卸売事業者・メーカー、管轄省庁等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、一部書面および電話によるヒアリング、ならびに文献調査併用
<低温物流市場とは>
低温物流とは、5℃~18℃の定温度帯、10℃~-18℃の冷蔵温度帯、-18℃以下の冷凍温度帯といった設定温度帯で、主に食品などの温度管理が必要な商品を生産地から消費地まで連続して輸配送する物流の仕組みである。
本調査における低温物流市場は、日系低温物流事業者(大手低温物流事業者、冷蔵倉庫事業者、低温系路線便事業者及び宅配便事業者、地域の有力低温物流事業者など)の販売高ベース(主に国内における運賃、保管料、荷役料、関連サービス料等を含む)にて算出している。なお、大手商社や生鮮専門卸、大手食品卸、業務用卸売事業者などの販売高及び、主に輸送を受託(庸車)する中小低温物流事業者・個人事業主は除外する。
<市場に含まれる商品・サービス>
主に食料品に関わる低温物流(一部、化学品も含む)

出典資料について

資料名2023年版 低温物流市場の現状と将来展望
発刊日2023年11月30日
体裁A4 341ページ
価格(税込)198,000円 (本体価格 180,000円)

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