日本各地でシニア人材のマンション管理員を派遣する事業などを手がけるうぇるねすは12月17日、東京都大田区・東京流通センターイベントホールで、同社の首都圏エリア東京・神奈川・埼玉・千葉の派遣スタッフ代務員(代務員とは管理会社の常勤管理員の休暇、退職などにともない単発、長期で当該マンションの管理員として派遣される代行管理員)が集合し、スキルアップを目指すイベント「首都圏うぇるねすシップ」を開催した。同イベントでは、マンション管理業において特に重要となる清掃・挨拶の研修などを行った。
近年、マンション需要高によって、マンションの管理員の人材不足が深刻な課題となっている。同社では、20年以上にわたり、日本各地でシニア人材をマンション管理員として派遣し、現在、全国で約3000名、平均年齢は約70歳・最高齢90歳のスタッフが活躍している。また、スタッフ全員がスマートフォンを使用し、業務依頼の受託や入退館、業務報告を行っている。登録時、スマホが使えなかったシニアスタッフにもスマホの使い方から教育しているという。
年1回・約1000名のDXシニア人材がスキルアップを目指す「首都圏うぇるねすシップ」では、マンション管理業において特に重要となる清掃・挨拶の研修を、うぇるねす 会長・社長を務める下田雅美氏が指南した。
清掃スキルアップのための研修では、自在箒やモップで履く、拭く業務がきちんと行えているかを審査。清掃中にマンション住民と出会った際には、大きな声で笑顔で挨拶できているかという点についてもチェックされた。
審査の結果、約1000名の中から16名の管理員が清掃スキルが高いと評価され、下田氏から記念品として清掃の際にかぶる帽子が授与された。
日本では、働く高齢者が増加し続け、2022年の高齢就業者数は912万人・19年連続で過去最多を更新している(高齢者の就業率は65~69歳は50.8%、70~74歳は33.5%)(出典:総務省統計局ホームページ 2023年9月17日発表「統計からみた我が国の高齢者『敬老の日』にちなんで」)。長年、同社は、高齢者が尊敬され、元気に誇りをもって働くことができる社会を目指して事業を推進し、成長を遂げてきた。「首都圏うぇるねすシップ」では10年間、派遣スタッフ代務員として勤務した管理員を表彰。下田氏が感謝状を授与した。
下田氏は「首都圏うぇるねすシップ」に参加した管理員に対し、「これまではマンションに常駐する管理人よりもちょっと上の業務を目指すように指示してきたが、管理人に気を使いながらちょっと上の業務を行うというのは、非常に難しい。そこで方向転換し、すべての管理業務を全力で行ってもらうようにしている」と、常駐するマンションの管理人を全力でサポートすることが管理業界にとってもプラスになると考えたのだと説明する。「当社の管理員は、様々なマンションで仕事を行い、多い人は年間何十棟ものマンションで勤務する。それだけに、他のマンションと管理業務を比較できるようになる。こうした点が評価され、常駐する管理人を指導する仕事なども請け負うようになった。今後はこうした業務が増えていくと思っている」と、派遣スタッフ代務員だからこそ得られた知識や経験が業界にとって大きな資産となってきているのだと力説する。「今後は、エリア会の充実を図ると共に、エリア独自の取り組みなども行っていきたい。またエリアリーダーの勉強会やすべての管理員のレベルアップにつながるような仕組みづくりも行いながら、ニーズに合ったサービスの開発に努めていく」と、時代に合わせて柔軟に対応できる体制を整えていきたいと意気込んだ。「さらに管理業務に関する国家資格取得者も増えるよう、バックアップできるような取り組みも行っていく」と、専門知識の習得にチャレンジしたいという管理員を支援していきたいと話していた。
同社では、シニア全員が業務でスマホを活用し、「デジタルシニア人材」として活躍している。スマホが全く使えないシニアも教育し、管理員全員が同社開発WEBアプリ「Dマネ」を駆使して、現場のトラブルなどの情報共有、業務依頼の受託、入退館、業務報告を行い、急な依頼や引き継ぎもスムーズに対応できるようになっている。「首都圏うぇるねすシップ」では、「Dマネ」に追加された写真による報告や連絡方法についても指南。下田氏は、「多くの管理会社に仕事の効率化を図ってもらうべく、『Dマネ』を通じて、スマホによるeラーニングなど業界のDX化も推し進めていく」と、発注の以来から契約までのIT化をさらに加速させて、管理員と会社をWEBアプリでリンク。管理員の持つ現場情報を会社側で即座に共有できるようになっていると強調した。