敵対的買収のメリット
敵対的買収の主なメリットは、以下の通りです。
自社の経営方針を反映した企業改革をスピーディーに行える
対象企業の経営陣と交渉を行う労力、期間を省略して、対象企業の経営権を獲得します。旧経営陣の考えなどを承継することなく、自社の経営方針に沿った企業改革をスピーディーに進めることができます。
株主に企業のあり方を問うことができる
敵対的買収で行われる株式公開買付けの買い取り価格は、上述のように市場価格よりも高く設定されるのが通常です。したがって株主は、買収を仕掛ける側と対象企業側の経営方針や、株価戦略などを直接比較できます。そのため、敵対的買収を機に、株主はどちらの経営方針がこの会社にとって相応しいかを検討することができる、とも捉えることができます。
買収計画を立てやすい
敵対的買収はTOB(株式公開買付け)によって株式の取得が行われるため、買付け期間や買い取り株数、そして1株あたりの価格を公告します。 公告時には、買収のための期間や必要なコストなどをすべて計算できるため、買収計画が立てやすくなるとも言えます。また市場からすべての株式を購入すると仮定した場合に比べ、株価上昇に伴い買収コストが増加するリスクを低減できます。
敵対的買収のデメリット
敵対的買収の主なデメリットは、以下の通りです。
友好的買収に比べ、買収に失敗する可能性が高い
敵対的買収は一般的に、「乗っ取り」とネガティブなイメージに捉えられ、買収対象会社の経営陣や主要株主から、反発や拒否を招きます。そのため株主の賛同を得るのが難しくなり、50%を超える株式の取得を断念せざるを得なくなります。
また、対象企業が買収防衛策を講じている場合も想定されるため、成功率は友好的買収に比べ高くありません。
ブランドイメージが低下する可能性がある
上述の通り、日本では敵対的買収に対しネガティブなイメージを持たれる傾向にあるため、敵対的買収を仕掛ける企業のブランドイメージや、商品に対する信頼性にマイナスの影響が生じる可能性も考えられます。
買収後にシナジー効果が発揮できない可能性がある
敵対的買収を仕掛ける側と対象企業の経営陣は対立するものの、必ずしも敵対的買収が株主や従業員、取引先などのステークホルダーに負の影響を及ぼすわけではありません。
しかし、買収が成立した後、今までと異なる経営方針や環境下で、従業員や関係者の中には不安を抱き、離職、取引の見直しに至るケースも少なくないことが予測されます。
また、対象会社の従業員や取引先など関係者からの協力が得られないと、買収によるシナジー効果の発揮が難しくなる可能性も考えられます。