自由学園は、11月から独自の教育プログラム「飛び級社会人」を開始する。このプログラムは、高等科2年生の80名が4ヵ月間にわたり、様々な「社会」に飛び出して本格的なインターンをする必修プログラム。正式に学校の単位として認定し、卒業後の進路における選択肢の幅を広げることを狙いとしている。同プログラムの開始に先立ち、10月25日には、派遣される生徒80名とインターン先企業・団体による「飛び級社会人」出発式が行われた。
「自由学園は、通常の勉学だけではなく、社会の一員として、よりよい社会をつくることはどのようなことなのかを考えることも大切な学びのテーマとしている。その一環として、中等科、高等科の6年間を通じて『共生学』という独自のカリキュラムを実施し、社会のあり方について多くのことを学んでいる」と、自由学園の景山和憲常任理事が挨拶。「しかし、本物の社会は学校の外にあり、知識だけでは実際の社会活動を経験することはできない。そこで今回、高等科2年生の早い段階で社会に飛び出し、現場で直接感じ、学んでもらう機会を提供するべく『飛び級社会人』を開始する」と、新たに「飛び級社会人」プログラムを実施する狙いを述べた。
「これから生徒たちが向かう企業や団体では、新しい商品・サービスを開発する、住みやすい世の中をつくるなど、テーマは違っても、そこには大人の本気があふれている。生徒たちは、“お客さん”ではなく、プロジェクトの一員となって、大人の本気を感じてほしい。このプログラムをきっかけに、生徒たちが自分事として新たな視点を発見すると共に、将来を考える貴重な経験になると考えている」と、大人の本気と向き合い本物の社会活動を体験できるプログラムなのだと強調する。「一方で、プログラムに参加した企業や団体には、自由学園で学んだ生徒たちの新鮮な感覚が、それぞれの活動に新しい響きを与えられればと思っている。今回のプログラムが、学校と社会をつなげて学びのフィールドが広がっていく、よいケーススタディになることに期待している」と、生徒たちの学びがインターン先の企業・団体にも良い影響を与えることを願っていた。
続いて、東久留米市の荒島久人副市長が挨拶した。「『飛び級社会人』プログラムでは、生徒たちが様々な企業や団体に派遣されることになるが、そこでいろいろな体験や経験を積み重ね、大人の本気を間近で味わってほしい。そして、これを一つの糧にして、今後の自分のキャリアプランを考えてもらいたいと思っている。また、将来、社会に出るため心構えを現場で学び、この経験を生かして社会で活躍する人になってほしい」と、一足早く社会に飛び出し、インターンを体験する生徒たちにエールを送った。
ここで、自由学園の卒業生である博報堂デザインの柿崎裕生氏が登壇し、「飛び級社会人」のキービジュアルについて紹介した。「高校生が世の中に飛び出すのは、少し勇気がいるかもしれない。そこで、10代にしかない『思い切りの良さ』をキービジュアルに込め、自由学園の卒業生として背中を押したいと考えた。デザインを担当したイラストレーターの一乗ひかるさんには、それを120%表現してもらい、ロゴも同様に軽快に飛び出す学生をイメージしてもらった」と、キービジュアルのコンセプトを語る。
「これから、様々な企業や団体で社会活動を体験することになるが、ぜひ派遣先で自分のアイデアをぶつけ、年齢や性別に関係なく『アイデアの前では皆平等』だということを体感して自信をつけてほしい。また、尊敬できる人と出会うことで、自分の考え方も変わってくるので、このプログラムを通じて、ぜひ尊敬できる人を見つけてほしい」と、卒業生の目線で生徒たちにアドバイスしてくれた。
各生徒のインターン先企業・団体が発表された後、インターン生を代表して、女子部高等科2年の金丸実由さんが抱負を述べた。「私は今回の『飛び級社会人』を通して社交性や積極的なところを伸ばしていきたい。社会に出て、この機会でたくさんの人と関わり、これまでにない視点から新しいことを学んでいきたいと思っている。企画や提案をしていく中で何度も修正を重ね、困難なこともあるかと思う。そんな時も結果だけを大切にするのではなく、その過程も充実した学びになるよう取り組んでいきたい。インターン先では自分から進んで行動することを心に刻み、私たちにできることを全うできるよう励んでいく。初めてのことで緊張しつつもとても楽しみにしているので、インターン先の方々には暖かく見守ってもらえるとうれしい」と、「飛び級社会人」という新たな挑戦に向けて意欲を見せていた。