矢野経済研究所
(画像=PIXTA)

インバウンド需要継続と機能性の高い商品の投入により、全カテゴリーで市場拡大

~2018年度の国内化粧品市場は前年度比4.1%増の2兆6,490億円~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は2018年度の国内化粧品市場を調査し、製品カテゴリー別や流通経路別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

国内の化粧品市場規模推移と予測

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1.市場概況

2018年度の国内化粧品市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比104.1%の2兆6,490億円となった。2018年度も、スキンケア、メイクアップ、ヘアケア以下全カテゴリーで前年度実績を上回る結果となった。その要因としては、インバウンド(訪日外国人客)需要の取り込みが引き続き続いていること、「シワ改善」や「敏感肌」、「ボタニカル」などに対応した高い機能性のある商品が周知され、化粧品メーカーによる拡販が進んだことから市場は拡大した。

2018年度の化粧品市場をカテゴリー別にみると、スキンケア市場が構成比47.3%(1兆2,540億円)と最も高く、メイクアップ市場が同22.4%(5,921億円)、ヘアケア市場同17.1%(4,540億円)、男性用化粧品市場同4.7%(1,239億円)、フレグランス化粧品市場1.2%(318億円)と続いた。前年度からの伸び率もスキンケア市場が最も高く、スキンケア市場が主要マーケットとして市場をけん引したと考える。

2.注目トピック

インバウンド消費が首都圏と関西圏以外の地域にも拡大

2014年より開始された外国人旅行者向け消費税免税制度が拡充され、小売・卸・メーカーが一体となって、訪日外国人客を意識した売場作りや多言語に対応したカウンセリング、ギフトセットの販売等、化粧品販売を強化したことで、首都圏と関西圏の百貨店やドラッグストアを中心に、引き続きインバウンド需要の取り込みが進んでいる。

現在は首都圏と関西圏だけでなく、名古屋、福岡、沖縄、北海道をはじめとした地方都市でのインバウンド需要も拡大しており、対応店舗の出店に取組むなど、卸売企業は全国ネットワークを活かした地方でのインバウンド対応の店舗・売場政策にも対応していくなど、第二段階のインバウンド対策が進んでいる。

3.将来展望

2019度以降の国内化粧品市場は微増傾向で推移する見通しで、2019度の国内化粧品市場規模(メーカー出荷金額ベース)を前年度比102.7%の2兆7,200億円と予測する。

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を控え、何度も訪日する外国人も増えており、化粧品市場においてはインバウンド需要の継続的な獲得が進む見込みである。今後は、日本で化粧品を購入した外国人に対する越境ECや輸出など、どうアウトバウンドに結び付けていくかが成長を持続するための課題である。