思考力は2つの口癖で身に付く ビジネスシーンでも使える思考技術
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(本記事は、高松 智史氏の著書『「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術』=実業之日本社、2022年12月8日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

「示唆」とは何者か?―ファクトを言うポンコツ、脱ポンコツ

「示唆」とは、ファクトから言えることです。

英語が達者な人であれば、インプリケーション。

BCG的にいえば、So-What(ソーワット)。

僕が好きな言い方でいえば、メッセージ。

これらはすべて「示唆」と同じ意味で使える言葉です。

ビジネス書なのでそれっぽい言葉にしてみましたが、誰もが日々「示唆」と過ごしています。

  • 仲のいい友達が「髪の毛をばっさり切って、女子会に登場」した時、「イメチェン?何かあった?失恋!?」

このようにひと盛り上がりするシーンがありますよね。

ここにも「ファクトから言えること」=示唆が含まれていますがわかりますか?

それはもちろん、ファクト=「髪の毛をばっさり切った」で、示唆=「失恋!?(失恋したに違いない)」です。

  • めったにインスタグラムにアップしない友達のA子が「イタリアンのお店で食事をしている+ピントは向かいの皿に合っている」写真をアップした時に、コメントに「彼氏できた?」

この何気ないやりとりにも「ファクトから言えること」=示唆が含まれています。

仕事上での何気ないやりとりも示唆だらけです。

  • いつもは「タカマツさん」と呼んでくる上司が「タカマっちゃん」と呼ぶ時、これは「何か、ちょっと面倒なお願いをしてくるんだろうな」と察し、聞こえないふりをする。

  • 店舗ごとの売上が記載された表を見ながら、「渋谷店は売上がガクッと落ちているから、何かが起きているかもしれない」とか、「原宿店は急激に売上がアップしている。店長に連絡して、どんな施策を打ったのか聞いてみよう」と動き出す。

これらはまさに「ファクト」から「示唆」を汲み取った上で何かしらの行動をしており、示唆によって突き動かされた具体的なシーンと言えるでしょう。

また、よく言われる「オンナの勘」はまさに示唆で溢れています。

  • デートの時、携帯を裏返しに置く男は浮気しているに違いない。

  • いつもは誰と行くとか言わないのに、金曜日のある飲み会の時だけ「先輩の〇〇さんと飲んでくる」と言う男は浮気しているに違いない。

これらも「ファクト」とファクトから言えること=「示唆」で構成された発言です。

しかしながら、これらの発言のほとんどは、自分の過去の経験、もしくは誰かから教えてもらったこと=他の人の経験からの発言です。

つまり自らが経験したこと、過去にあったことからしか示唆を言えないポンコツということになってしまいます。

この本のテーマに添った表現をすれば、「答えのあるゲーム」でしか使えないということになります。

本書の目的は「答えのないゲーム」において勝利することです。

ですから、この章では皆さんに「答えのないゲーム」における「示唆」の使い方をお伝えします。

経験したことのない「ファクト」に対峙しても「示唆」を感じ取り、それを言葉にできるようになれば、答えのないゲームを有利に進めることができます。

ようこそ、示唆の世界へ。
さようなら、ファクトだけの世界。

本書を深く理解するために/「答えのないゲーム」とは
私たちは「答えのあるゲーム」の戦い方が体に染みついます。これまで義務教育や部活、受験、就職活動と、あらゆる「答えのあるゲーム」で試されてきたからです。
「答えのあるゲーム」は答えが当たればそれでいい。ですが、「答えのないゲーム」には明確な正解ありません。
新規事業の立案や、コロナなどの緊急事態に対しての対策などの「答えのないゲーム」つまり、「答え」を出したところでその答えが「正しい」かどうか判断できない、ということです。
「示唆」を活用することで、「答えのないゲーム」を」戦うことができます。事実(ファクト)だけでなく、それから導き出される示唆に基づいて行動する重要性を述べています。
「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術
高松 智史
一橋大学商学部卒。
NTTデータ、BCG (ボストン・コンサルティング・グループ)を経て「考えるエンジン講座」を提供するKANATA 設立。
本講座は法人でも人気を博しており、これまでアクセンチュア、ミスミ等での研修実績がある。
BCGでは、主に「中期経営計画」「新規事業立案」「組織・文化変革」などのコンサルティング業務に従事。
YouTube「考えるエンジンちゃんねる」の運営者でもある。
著書に『変える技術、考える技術』(小社刊)、『フェルミ推定の技術』『「フェルミ推定」から始まる問題解決の技術』(以上、ソシム)がある。

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