相続サポートセンター
(画像=相続サポートセンター)

相続とはよく聞く言葉です。

また、実際に相続の手続きをしなければと思っている方もいると思います。

ですが、知っているようで知らないのが相続の仕組みです。

この記事では、相続の仕組みを解説します。

相続とは何か?その中身と仕組み

相続とは、法律によって定められた制度や手続きの方法のことをいいます。

では、その正しい内容とはどのようなものでしょうか。

相続とは

そもそも相続とは、どのようなもののことをいうのでしょうか。

相続とは、ある人が亡くなったときに、その亡くなった人の財産的な地位を、その亡くなった人と一定の身分関係にある人が受け継ぐことをいいます。

そして、この亡くなった人のことを被相続人といい、受け継ぐ人のことを相続人といいます。

まとめますと、相続とは、亡くなった被相続人の遺産を、相続人が受け継ぐことをいうのです。

相続の効力開始時期は

相続は、いつ開始するのでしょうか。

実は、これも法律で定められていて、相続は、被相続人が死亡したときに開始することになっています。

そして、相続人は、被相続人が死亡したときから、被相続人の財産に属した一切の権利義務を引き継ぐことになります。

ただし、この権利義務のうち、被相続人の一身に専属したものは除かれます。

相続には、遺産分割協議書の作成や不動産登記の変更など、実際にはさまざまな手続きが伴うものですが、この手続きが完了したから相続の効力が発生するわけではありません。

相続は、被相続人が死亡したときにその効力が発生するというものになります。

もろもろの手続きは事後に行う必要がありますが、相続は被相続人の死亡したときに成立しているものなのです。

相続が開始したらまずすべきこと

ある人が亡くなった場合、親族は、死亡の事実を知った日から7日以内に死亡届を提出する義務があります。

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この届出の義務がある親族には以下の順序があります。

1番目は同居の親族、2番目は同居の親族以外の同居者、3番目は家主・地主・家屋管理人または土地管理人

また、届出の義務があるわけではありませんが、同居の親族以外の親族なども届出を提出することができます。

また、届出の義務には順序がありますが、先の順位者がある場合でも後の順位者が届出をすることもできます。

相続できる財産は

相続では、被相続人の財産に属した一切の権利義務を引き継ぐことになっているのですが、被相続人の一身に専属したものは引き継ぐことができません。

一身に専属したものとは、一身専属権といい、その人に帰属させなければ意味のない権利や、あるいはその人でなければ行使できない権利のことをいいます。

たとえば、何かの資格を持っていても、その資格が相続されることはありませんし、あるいは親権なども相続されることはありません。

これらのような一身専属権は相続の対象とはなりませんが、逆に言うと、これら一身専属権以外がすべて相続の対象となります。

所有している財産はもちろん相続の対象となります。

土地や建物などの不動産、自動車などの所有物もそうですし、預金や株式、債券なども対象となります。

また、プラスの財産だけでなく借金などのマイナスの財産も相続の対象となります。

このほか、権利や地位に関しても相続の対象となります。

たとえば、借地や借家の権利といったものや、とある財産の売主や買主としての地位も相続の対象となるのです。

法定相続人と法定相続分

相続は、法律によって相続できる者や、それぞれの相続分が決められています。

以下に解説します。

法定相続人とは

民法では、被相続人が亡くなったときに、誰が相続人となるのか、そしてその相続人が相続できる割合がすべて決められています。

この民法で決められている相続人のことを法定相続人といい、その法定相続人が相続できる割合のことを法定相続分といいます。

ただし、もしも被相続人が遺言書を作成していた場合で、法定相続人と違う人や、あるいは法定相続分と違う取り決めをしていた場合は、被相続人の意思を尊重し、その遺言内容に従う必要があります。

法定相続人になれる者は

法定相続人には、なれる順番というものがあります。

まず、被相続人の配偶者は、常に相続人となります。

配偶者とは妻または夫のことです。

次に被相続人の子どもが相続人となります

もしも、その子どもが、被相続人が亡くなる前に死亡していた場合は、さらにその子どもの子ども(孫のこと)が相続人となります。

これを代襲相続といいます。

そして、さらにその子ども(孫の子ども)も相続人となることができ、これを再代襲といいます。

配偶者と子どもに相続があった場合は他の者は、相続人となることができません。

もしも被相続人に子どもがおらず、代襲相続や再代襲もできない場合、次の者が相続人となります。

① 被相続人の直系尊属
② 被相続人の兄弟姉妹

直系尊属とは、被相続人の親や祖父母のことになります。

また、①の相続人がいる場合は、②の相続人は相続人となることはできません

このように法定相続人には順位があり、前の順位の者がいるときは後ろの順位の者は相続人となることができません。

ただし、配偶者は、常に相続人となりますし、また順位が下の者が相続人となった場合でも同順位となります。

まとめますと、

第一順位 配偶者と子ども
第二順位 配偶者と直系尊属
第三順位 配偶者と兄弟姉妹

となります。

法定相続分は

法定相続人にはどのぐらいの遺産の割合が相続できるかという法定相続分が決まっています。

相続人が、第一順位の配偶者と子どもだった場合、法定相続分は、それぞれ2分の1ずつになります

この場合に子どもが二人いた場合は、それぞれの子どもに2分の1の2分の1になりますので、子どもは4分の1となります。

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相続人が第二順位の配偶者と直系尊属だった場合、法定相続分は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1となります

また、相続人が第三順位の配偶者と兄弟姉妹だった場合、法定相続分は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります

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直系尊属や兄弟姉妹が複数いた場合も、それぞれの相続分は人数分で平等に割ることになります。

ただし、相続人が兄弟姉妹の場合は、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1となる決まりがあります。

また、兄弟姉妹が死亡していた場合は、その子どもが代襲相続することになります。

ただし、兄弟姉妹の場合、再代襲はありません。

相続人になれないとき、相続人になりたくないとき

相続は、法律によって相続できる者が決められていますが、必ず相続しなければならないのでしょうか。

また、相続人になれない場合がありますが、これはどのようなときでしょうか。

相続人になれない者は

相続では、相続人になることができない者がいます。

これには2つあり、相続欠格と相続人の廃除があります。

相続欠格があった場合、相続人となることはできないのですが、どのような人が相続欠格となるのでしょうか。

次に掲げます。

《相続欠格》

①故意に被相続人、あるいは相続について先順位や同順位にある者を死亡するに至らせた場合や至らせようとしたために、刑に処せられた者
②被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者
③詐欺あるいは強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、または変更することを妨げた者
④詐欺あるいは強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、または変更させた者
⑤相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿した者

これらに該当する者は相続欠格者となり、相続人になることはできません。

次に、相続の廃除とは、被相続人が家庭裁判所に申し立てるか、あるいは遺言書で、ある者に対して相続をさせないとする方法のことです。

被相続人は、死亡前に、もしも自分が死亡して相続が開始された場合に、その相続人となることが予想できる者(これを推定相続人といいます)が、次のような行為をした場合に廃除の申し立てを行うことができます。

《相続の廃除》

①被相続人に対して虐待をしたとき
②被相続人に対して重大な侮辱を加えたとき
③推定相続人にその他の著しい非行があったとき

これらの廃除事由が認められるとその相続人の相続権はなくなり、相続することができません。

相続の承認と放棄

被相続人が死亡して、相続人となった者は、自分のための相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に、その相続について承認か放棄をしなければならないとされています

相続の承認とは、相続することを認めるというもので、相続の放棄とは、相続をしないという意思表示になります

たとえば、多額の借金があった場合など、相続をすることによって相続人が不利な状況になってしまう場合など、相続放棄をすることで、相続をしなくてもよくなります。

相続放棄は、相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。

また、3ヵ月以内に相続放棄の申し立てをしなかった場合、相続人はその相続を承認したものとみなされます。

このほか、以下のような行為を行った場合、相続人はその相続を承認したものとみなされます。

①相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき
②相続人が相続の開始があったとことを知ったときから3ヵ月以内に限定承認または相続の放棄をしなかったとき
③相続人が、限定承認または相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部または一部を隠匿して、勝手にこれを消費した、あるいは悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき

単純承認と限定承認

相続の承認には、単純承認と限定承認があります。

単純承認とは、被相続人の相続財産についての一切の権利義務を承継することになります。

相続財産の中には、プラスの財産もあれば、マイナスの財産もあります。

それらをひっくるめて一切合切相続するということになります。

また相続放棄や限定承認をしなかった場合は、この単純承認となり、すべて相続することになります。

これに対し、被相続人の財産をみたときに、資産が多いのか借金の方が多いのかが単純にわからない場合があります。

そのようなときに、家庭裁判所に限定承認の申し立てを行い、もしも資産から借金を差し引いたときに、資産が残った場合のみ、その資産を相続するというものになります。

また相続人が複数いる場合は、限定承認は、共同相続人の全員が共同して行う必要があります

このように被相続人に多額の借金がある場合は、相続放棄することで、相続しなくてよく、あるいはどれぐらいの財産や借金があるかわからないなどの場合は、限定承認を利用することでマイナスの場合は、相続しなくてよくなります。

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まとめ

相続とは、被相続人の遺産を相続人が受け継ぐことをいいます。

相続の開始は、被相続人の死亡したときに開始され、そのときに効力が発生します。

相続は被相続人の財産に属した一切の権利義務を引き継ぐことになるのですが、被相続人の一身専属権は引き継ぐことができません。

一身専属権とは、資格や親権などのその人に帰属しなければ意味がない、あるいはその人でなければ行使できない権利のことです。

この一身専属権以外の財産が相続の対象となり、地位や権利も相続の対象となります。

相続は、法律により相続人や相続分が決められていて、これを法定相続人、法定相続分といいます。

法定相続人には、順位があり、またその順位によって、法定相続分の割合が決められていて、第一順位配偶者と子ども1/2ずつ、第二順位配偶者2/3と直系尊属1/3、第三順位配偶者3/4と兄弟姉妹1/4となります。

また、相続人となることができない者がいて、それは相続欠格者と相続の廃除をされた者になります。

相続は、承認と放棄があり、相続が開始したことを知ったときから3ヵ月以内に相続の放棄や限定承認をしなかった場合、相続を承認したこととみなされます。

相続の承認には単純承認と限定承認があり、被相続人の財産のうち資産が多いのか借金が多いのかわからないようなときに、家庭裁判所に限定承認の申し立てをすることで、資産から借金を差し引き、もしも資産の方が多かった場合のみ相続するというものになります。

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