食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

2023年の盆休み期間中の鶏肉需給は、台風などの影響で臨時休業を余儀なくされる店舗もみられ、地方によってマチマチな結果となった。

月間を通じて、依然としてモモの荷動きは鈍く、相場もジリ下げで推移し、月後半には日経加重平均で650円台まで下落した。季節柄、ムネの動きは堅調だったものの、相場はモモの下落に引っ張られ、前月から一段安の380円前後で推移した。

この結果、8月の月間平均相場は、日経加重平均でモモが673円(前月707円)、ムネが383円(397円)、正肉合計で1,056円(1,104円)となった。モモ、ムネともに前月から下げたものの、2022年比ではモモが24円高、ムネで29円高と引続き前年価格を上回っている。

一方、輸入品では、盆休み期間中はそれなりに人出があったことで外食向けを中心に堅調な荷動きとなった。ただ、ブラジルでの鳥インフルエンザ発生に伴う輸入停止措置の影響で、相場は急騰し、ブラジルの代替からタイへの引合いも強まった。こうしたなか、輸入停止措置が講じられていたブラジルのエスピリトサント州、サンタカタリーナ州ともに輸入停止が解除されたことで、相場も急騰から一転、落ち着きをみせている。

〈供給見通し〉
日本食鳥協会がまとめているブロイラー生産・処理動向調査によると、9月の生体処理羽数は前年同月比2.6%増、処理重量が2.8%増とともに2%台の増加を見込んでいる。産地別にみると、北海道・東北地区は羽数0.8%増、重量1.5%増、南九州地区は羽数、重量ともに2.9%増と、いずれも前年を上回る見通しとなっている。ただ、この猛暑続きで一部では熱死や増体の良くない産地もあるようで、9月も厳しい暑さが続けば、増体率の悪化などが懸念される。

農畜産業振興機構の鶏肉需給予測では、9月の鶏肉輸入量は前年同月比7.5%減の4万3,300tと予測している。ブラジルのサンタカタリーナ州からの輸入停止の影響で同国からの輸入量が減少することなどから、全体でも4万t台前半にとどまるものとみられる。

しかし、前述の通り、8月18日付で同州からの輸入停止措置が解除されことに伴い、ブラジルの輸入量は減っても、あくまで瞬間的なものとみられ、その先は回復に向かうことが予想される。また、この解除によって一時高騰していた輸入品価格は現在、下振れしている状況だ。

〈需要見通し〉
例年、消費者の財布の紐が固くなる盆休み明けは、豚肉や鶏肉に需要がシフトする流れとなるが、ことしは盆休みが明けて以降もモモ、ムネともに荷動きはイマイチ。9月は学校給食の再開に伴って徐々に動きが出てくるとみられるが、これといって需要が大きく上向く要因は見当たらない。量販店では徐々に秋冬に向けた棚替えがはじまる時期となるが、ことしは残暑が厳しく、鍋物需要などは先延ばしとなる可能性も。

荷受け筋ではモモの在庫を抱えるなか、一部の生産地では荷動きの弱さを反映して生産調整をする動きもあるようだ。このようにモモ、ムネの正肉の動きが芳しくない一方、比較的単価の安いササミや手羽元などの副産物関係に引合いが集まっている。

〈価格見通し〉
9月1日の相場は日経加重平均でモモ653円、ムネ380円、9月2日はモモ650円、ムネ375円とわずかに下げた。9月は前述の通り、需要好転への期待は薄く、相場も月前半は下げ基調で推移することが予想される。ただ、モモは例年、8月を底値に年末にかけて上昇するパターンとなるため、月後半からは徐々に上げに転じてくるとみられる。このため、月間平均では日経加重平均でモモ660~670円、ムネ380~390円、農水省市況でモモ680円前後、ムネ400円前後と予想する。

〈畜産日報2023年9月7日付〉