食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行して、初めての盆休みを迎えた。

食肉については、帰省や旅行などで地方需要の盛り上がりに期待が寄せられたが、蓋をあけると、猛暑や台風7号など天候要因が食肉の末端消費に大きく影響を及ぼす結果となった。

とくに量販店など小売関係の食肉の売上げは、帰省客の増加などで「山の日」を含む盆休み前半こそ計画通り、あるいは前年実績を数%上回った企業が多かったが、後半は天候不順の影響で客数が減少。台風7号が縦断した地域では、店舗を休業するなどして、トータルでは昨対割れになった企業もあった。

また、期間中は豚肉の小間切れや鶏ムネ肉など単価の安い通常品や、ローストビーフなどの肉総菜、レンジアップ商品が好調だった半面、夏場の主力となる焼肉商材は地域を問わず伸び悩んだようだ。

今後も厳しい残暑が続くうえに、地球温暖化で来年以降も猛暑が継続するとみられており、「もはや“夏イコール焼肉&BBQ”という戦略は難しいのでは」(関東の量販店バイヤー)と商品政策を見直す必要性を指摘する向きもある。

本紙・畜産日報では、8月22日から23日にかけて、全国の主要な流通企業の畜産担当者にことしの盆休み期間(8月11日~15日)の販売動向についてヒアリングを行った。

それによると、首都圏を中心に展開する企業では、「前半(8月11日~12日)は焼肉を含めて売行きが良かったが、後半は台風7号が上陸するという当初の予報が外れて、(駆け込み需要など)見込みが外れた。とくに後半は猛暑で焼肉は予想以上に動かず、豚小間、鶏ムネ肉など通常品の方が良かった。前半は計画通りの売行きだったが、そもそも、ことしは昨年以上に地方への人口流出が多いと見込んで、辛めの計画を立てていた」(東京)という。

別の首都圏に本部を置くGMS(総合スーパー)も同様に「8月13日までの前半はほぼ計画通りで、昨対比でトントン。8月14日~15日が大雨の影響でダメ。とくに西日本では休業した店舗もある。前半はBBQ商材も動いたが、鶏ムネ肉やローストビーフなど生食関係の方が好調だった。加工品でも焼豚やハムなどは動かなかった」としている。

これらのコメントにあるように、2023年の盆休み需要は台風7号が大きな要因となった。とくに近畿地方をベースに展開する企業では「8月15日は全店休業した。8月11日~14日は比較的好調だったが、盆休み期間を通してみると休業によるマイナスの影響が響いた。前半は焼肉関係も動いたが、鶏ムネ肉については特売をかけなくてもよく売れた」としている。

しかし、別のGMSによると、「店舗を休業した8月15日の前後は、買いだめ需要で売上げはものすごく伸びた。新幹線の運休などで帰れなく、人口も多かったことも影響したようだ。結果的に、盆休み前半よりも8月14日から16日までの後半が、(台風が直撃しなかった)関東よりも関西の方が良かった」という声もあった。そのGMSも「焼肉関係の売行きは厳しく、小間材、鶏ムネ、ミンチなどのコモディティ、生食や涼味系商材は好調だった」という。

一方で、台風の影響を受けなかった地方は、当初予想通り、帰省客や旅行客の増加の恩恵を受けたようだ。北海道では「地元の付き合いのある焼肉チェーンは前年同期比で120%以上の売上げだったが、当社も106%のプラスとなった。帰省客も増え、羊肉は好調だった。とはいえ、道内でも30℃以上を超える猛暑が続いており、(羊肉よりも単価の高い牛肉の)焼肉関係は厳しかった」という。

関東は群馬でも「8月13日までは好調で、ゲリラ豪雨に見舞われた後半(8月14日~15日)を含めても102%だった。他府県の車のナンバーが多くみられ、着実に帰省客が増えていた。ただ、商品としては従来のような焼肉よりもローストビーフなどの総菜関係が好調だった」という。

気象庁によると、9月から11月にかけての向こう3カ月間も広い範囲で気温が平年より高い傾向が予想されている。一部では、棚替えを2~3週後ろ倒しにする企業もあるようだが、各社概ね9月1~2週目からスライスや団子など秋冬商材への棚替えを行うもようだ。

こうしたなかで、逆に行楽・アウトドアでの焼肉・BBQ需要の盛り上がりを期待する向きもある。前出のGMSは「(節約志向の強まりで)食肉の消費も二極化が進むとみている。当社も焼肉商材については、輸入品のコストが上がっているため、希少部位など和牛を強化することで価値訴求を強めていきたい」とコメントしている。

〈畜産日報2023年8月24日付〉