矢野経済研究所
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2018年度の国内主要企業の臨床検査薬・機器事業規模は前年度比4.8%増の1兆737億円

~海外向け事業の伸長が優位ながら、国内向け事業も微増推移を継続~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の主要な臨床検査薬・機器事業展開企業35社の事業規模調査を実施し、関連市場、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

臨床検査薬・機器事業規模推移と予測

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1.市場概況

2018年度の国内主要企業における臨床検査薬・機器事業規模(臨床検査薬・機器事業を展開する国内主要35社の事業者売上高ベース)を前年度比4.8%増の1兆737億円と推計した。
当該事業を国内向けと海外向け別にみると、国内向け事業は前年度比2.0%増の5,471億円、海外向け事業は同7.8%増の5,266億円であった。とくに海外向けは臨床検査薬のOEM販売が堅調であり、また海外の特定企業への臨床検査機器供給など一過性の需要も認められた。

2.注目トピック

微増推移継続の国内向け臨床検査薬・機器事業

国内向け臨床検査薬機器・事業規模は、高齢者人口の増加や、予防医療への国の重点施策の継続に加え、各種感染症の流行などもあり微増推移を継続しており、2018年度は前年度比2.0%の増加となった。

検査項目別では、心不全の診断・病態把握のNT-proBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント)、血栓症診断のDダイマーなどのほか、骨粗しょう症関連の検査薬が引き続き、堅調に推移している。また、糖尿病の診断・管理指標となるHbA1c(ヘモグロビンA1c)は診療所などでの検査数が増加、とくにPOCT(point of care testing:臨床現場即時検査)領域としての臨床検査機器・キットなどの販売は引き続き伸長している。

3.将来展望

2019年度の国内主要企業における臨床検査薬・機器事業規模(臨床検査薬・機器事業を展開する国内主要35社の事業者売上高ベース)は、国内向けが前年度比2.0%増、海外向けは同4.1%増、あわせて同3.0%増の1兆1,060億円になると予測する。

臨床検査薬・機器ともに海外企業向けのOEM供給などが安定的に行われており、2019年度も海外向け事業は、国内向け事業の伸びを上回る見通しである。とくに中国向けの製品販売を強化する日系企業は多く、中国では自国産製品が優遇されるため、現地企業との合弁・アライアンスなどに伴う売上増加が続いている。
国内向け事業については、がん、生活習慣病系のほか、高齢女性などで患者数の多い骨粗しょう症関連の検査需要が引き続き高まる傾向にある。また、感染症系ではインフルエンザをはじめとし、結核、風疹などに対する周辺検査なども増え、国内主要企業における臨床検査薬・機器事業の微増基調は当面続くものと考える。