身近な相談相手がいない社長は、強い孤独を感じることがある。孤独感をそのままにしておくと、心身の健康を損ねたり、思わぬ経営リスクにつながったりするかもしれない。事業に集中できる環境を整えるためにも、孤独感の原因と対策を社長視点で考えてみよう。

目次

  1. 4割以上の中小経営者には身近な相談相手がいない
  2. 経営者にはなぜ孤独感があるのか? 特殊な人間関係が原因に
    1. 原因1.従業員や部下に相談できないことが多い
    2. 原因2.学生時代とは友人関係が変化する
    3. 原因3.家族の理解を得られないケースもある
  3. 孤独感は深刻な経営リスクにつながることも
  4. 経営者の孤独感を軽減する5つの方法
    1. 1.イベントやSNSで経営者仲間を作る
    2. 2.自身のメンターやコーチを探す
    3. 3.ワークライフバランスを充実させて心身の健康を目指す
    4. 4.経営やメンタルの専門家に相談をする
    5. 5.自立型人材を育成する
  5. 自立型人材の育成・獲得には下準備が必要
    1. チャレンジを評価・振り返るための機会を設ける
    2. 自立型人材が活躍しやすい組織づくり
  6. 自立型人材を育てる「環境づくり・組織づくり」にも取り組んでみよう
経営者を襲う孤独感、どうすればいい? 3つの原因と5つの対策
(画像=JormSangsorn/stock.adobe.com)

4割以上の中小経営者には身近な相談相手がいない

税理士や従業員、家族など、社長にはさまざまな相談相手がいると考えられる。しかし、実際のアンケート調査を見てみると、4割以上の中小経営者には身近な相談相手がいないようだ。

以下のデータは、Management Mastersによる「経営の相談に関する実態調査(※)」の一部をまとめたものである。

(※)右腕や番頭、No.2人材のいない中小経営者が調査対象。

経営者を襲う孤独感、どうすればいい? 3つの原因と5つの対策
(出典元:Management Masters

身近な相談相手がいたとしても、社長の悩みが解決するとは限らない。以下のアンケートは、上記の質問に「はい」と回答した経営者に対して実施されたものである。

経営者を襲う孤独感、どうすればいい? 3つの原因と5つの対策
(出典元:Management Masters

経営の悩みはデリケートなものが多いため、素直に相談できない社長が多いようだ。また、ビジネスに詳しくない友人や家族などに相談をすると、期待している答えが返ってこないこともある。

経営者にはなぜ孤独感があるのか? 特殊な人間関係が原因に

社長の孤独感は、特殊な人間関係が一因になっている。

例えば、一般的な従業員は意思決定を上層部に任せやすい。一方で、社長は会社の方向性を決める立場であり、従業員とは違った考え方やリーダーシップが求められる。つまり、労働者とは価値観にズレがあるため、悩みを共有できる経営者仲間がいないと孤独を感じてしまう。

具体的にどのようなケースで孤独を感じやすいのか、主な原因を3つ紹介しよう。