役員変更登記を自分で行う方法|登記の流れと必要書類について解説
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

会社の役員には任期があり、引き続き同じ人が役員を務めるにしても登記が必要です。

つまり、会社を続けている限り、任期が切れるごとに役員の変更登記が必要になるということです。

今回は、役員の変更登記を自分で行う方法についてご紹介します。

役員の変更登記とは

株式会社などの役員が変わったときには、登記が必要です。

役員の種類は代表取締役、取締役や監査役、合同会社であれば職務執行者など、呼び方は様々でしょう。

登記が必要とされるのは、役員が就任したとき、退任したとき、辞任したとき、重任したときのほか、死亡や解任、欠格事由にあたることがあったときなどです。

株式会社の役員の任期は、最長で10年。

したがって、株式会社の場合は役員のメンバーが変わらなくても、10年に1度は必ず役員の変更登記が必要になります。

登記の流れ

登記の流れについてご説明します。

株主総会を招集

まず株主総会を招集します。

株主総会の種類について、任期満了で重任あるいは退任、新しい人が就任したときなどは定時株主総会になります。

任期満了以外のタイミングで、役員が死亡したり辞任したり、解任されたといったことがあれば、臨時株主総会になります。

ケースバイケースで、株主総会の種類を決めてください。

承認決議

次に、株主総会で承認決議をします。

例えば、任期を満了したものの引き続き同じ役員が継続して務める(重任)場合や、新しい役員を入れる(就任)、任期満了につき退任した場合などは、決議をする必要があります。

役員の登記

承認決議後は、2週間以内に必要書類を添付して変更登記申請を行います。

登記完了

変更登記申請を行ってから1週間くらいで登記が完了します。

役員の変更登記に必要なもの

変更登記申請書

役員の変更登記申請書は、法務局で用意できます。

法務局のホームページにも書式が用意されていますので、必要な分を印刷して使ってください。

書き方の見本もついているので、記入しやすいでしょう。

参考:法務局ホームページ「商業・法人登記の申請書様式

添付書類

添付書類ついては、役員がどのように変動するのかによって種類が違異なります。

また、役印に就任する人の本人確認処理が必要になります。

本人確認書類として認められるものは、住民票記載事項証明書や、戸籍の附票、運転免許証のコピーなどです。

住基ネットカード、運転免許証等、マイナンバーカード等のコピーの場合は、「原本と相違がない」と記載して本人が記名押印しなければなりません。

役員が就任する場合

役員が就任する場合は、役員選任機関(株主総会)の議事録、就任承諾書及び誓約書、議長及び議事録署名人の印鑑証明書・定款が必要です。

役員が重任する場合

役員が重任する場合については、株主総会議事録、議長及び議事録署名人の印鑑証明書・定款が必要です。

就任する場合と違い、就任承諾書及び誓約書は不要です。

役員が辞任するとき

役員が自らの意思で辞めることを「辞任」と呼びます。

役員が辞任するときは、辞任届が必要で、株主総会の決議は不要です。

役員が解任されたとき

役員が解任された場合は、株主総会議事録と定款が必要です。

役員が退任したとき

任期満了などの理由で役員が退任したときは、株主総会議事録、議長及び議事録署名人の印鑑証明書・定款が必要です。

役員の氏名や住所の変更

役員の氏名や住所などに変更があった場合、株主総会議事録は不要です。

役員の死亡

役員が死亡した場合、その役員の死亡診断書または戸籍謄本等を添付します。

費用(登録免許税)

登録免許税は、会社の資本金によって異なります。

資本金の額が1億円以下の場合、役員変更登記の登録免許税は1万円です。

資本金の額が1億円を超える場合は3万円になります。

資本金の額が変動する会社の場合は、役員変更の効力発生時の資本金の額を基準として考えます。

また、一気に数人分の役員の変更登記をする場合についても、登記申請一件について登録免許税が計算されますので、1回の登記申請で済ませることができれば1万円または3万円です。

役員変更登記以外の登記を併せて行う場合は、別途登録免許税がかかります。

役員変更登記を忘れた場合の罰則

忙しくてつい役員変更登記を忘れてしまったという場合などはどうなるのでしょうか。

役員変更登記は、その効力が生じたときから2週間以内に登記をしなければなりません。

通常、株主総会で決議されてから2週間以内に登記をすると考えれば良いでしょう。

もし、この期間を過ぎて登記申請をした場合、100万円以下の罰金が課されることがあります。

また、12年以上登記をしていない株式会社は、法務局の職権で解散させられる場合があります(みなし解散状態)。

みなし解散状態から復活するためにはかなりの手間がかかってしまいます。

必要な登記は、必要なタイミングできちんと行いましょう。

任期満了に伴う役員の変更登記が必要ない場合

ここまで主に株式会社の場合について役員変更登記のご説明をしましたが、そもそも役員変更登記が不要なケースがあります。

合同会社の社員には任期がありません。

したがって、任期満了に伴う役員の変更登記は不要です。

もちろん、役員が辞めたり、新たに就任したりということがあれば、登記をする必要があります。

自分でするのが不安な場合は専門家に依頼しよう

自分で役員変更登記をすることは、必要書類を揃えられればさほど難しいことではありませんが、かなりの手間がかかります。

もし不安であれば自分で役員変更登記をせずに、司法書士(登記申請の代理が可能)や行政書士(議事録の作成が可能)に相談してみてはいかがでしょうか。

法務局は平日しか開庁していませんので、平日になんども出向くのは大変かもしれません。

できるだけ短時間にさっと役員変更登記を完了させることを考えると、専門家の力を借りるのも良い選択肢でしょう。

まとめ

役員変更登記を自分で行う場合の方法についてご紹介しました。

株式会社の場合、どんなに役員の任期が長くても10年で切れてしまうので、その度に役員変更登記が必要です。

同じ人が役員になるのだから登記はいらないだろうと思って放置してしまうと、100万円以下の罰金が課される可能性があります。

必要な書類については、法務局のホームページなどで事前によく確認してから書類を作成してください。(提供:ベンチャーサポート税理士法人