定款は、会社を作る際や作った後に必要となるものです。
定款とはどのようなものなのでしょうか。
今回は、定款の閲覧方法と、万が一紛失してしまった場合の対処法についてご紹介します。
定款作りや会社の登記を専門家に任せてしまったのでよくわからないという方は、ぜひこの記事を読み定款について理解を深めてください。
定款とは
定款とは、企業にとって基本的な決まりごとを書いたものです。
企業にとっての定款とは、憲法のようなものだと言われることがあります。
定款は企業にとって重要な書類であり、会社を設立する際は定款の作成、公証役場での認証が手順に含まれていることがあります。
定款に書かれている内容は、会社の商号、目的、本店所在地や公告の方法といった基本的な事項や、株式に関する決まりごと(株式の発行数や、株主総会での承認がないと株式を譲ることができない旨など)、取締役について、事業年度についてなどです。
定款が後から必要になる場面
金融機関から提出を求められる
金融機関と新しく取引を始めようとするとき、定款の写しの提出が求められることがあります。
この際にさっとコピーを提出できないと、取引がスムーズにいきません。
税務署への届出
会社を設立した旨を税務署に届け出る場合にも、定款の写しが必要です。
「法人設立届出書」という書類を提出する際、定款の写しがなければ手続きが滞ってしまいます。
許認可申請
営業の許可申請をするときに、定款のコピーが必要になることがあります。
というのも、定款の中の「会社の目的」の部分に、その許認可が関係する事業が含まれているかどうかを見るためです。
定款の中でも、会社の目的の項目には「その会社が何をするための会社なのか」ということが細かく書かれているので重要です。
各種助成金
国や自治体などが各種助成金を出していることがあります。
この助成金の申請書類に定款の写しの添付が必要になるケースがあります。
定款を閲覧する方法
定款の閲覧請求権利を使う
定款は本店と支店に置かれることになっています。
株主と債権者は定款の閲覧請求権を持ち、本店・支店にある定款を閲覧することができます。
登記事項証明書を請求する(一部しか見られない)
登記事項証明書には、定款の一部の登記事項や、目的、取締役の名前などが掲載されています。
俗にいう、会社の登記簿のことです。
登記事項証明書は誰でも請求でき、特別な資格などは不要です。
その際、交付の手数料が数百円程度かかります。
定款をなくしてしまった時の対処法
原始定款を見る方法はある
何らかのタイミングで定款が必要になったものの、なくしてしまったということがあるかもしれません。
原始定款(一番初めの定款)については、いくつかの方法を使えば閲覧や謄本の交付を受けることができます。
設立登記を行った法務局で閲覧申請
設立登記を行うときは、法務局に定款を提出します。
提出した定款は5年間保存されます。
登記申請書と定款などの附属書類については、利害関係者に相当な事由があるときに閲覧できることになっています。
ただし、設立から5年経過してしまえば、もう書類が保管されていませんので、この方法は使えません。
公証役場で保管されている定款の謄本を請求
株式会社の場合は、会社の登記の際に公証役場に一通の定款が保管されることになっています。
定款の認証をした公証役場に定款の謄本の申請をすれば、原始定款を入手することが可能です(原本ではありません)。
一方で、原始定款ではなく現行定款(今現在有効な定款)については公証役場にないため、見ることはできません。
なお、公証役場で定款が保存される期間は原則20年です。
同一情報の提供を請求
電子定款で認証を受けた場合は、電子認証制度のオンラインシステムから電子定款の謄本を請求することができます。
専門家に依頼した場合は問い合わせてみる
専門家に会社設立を依頼した場合、事務所に定款のコピーが残っているかもしれません。
問い合わせてみるといいでしょう。
再作成するという方法もある
ここまで定款を入手する方法をご紹介しましたが、原始定款から変更をした現行定款については、会社以外のどこにも保管されていませんので、紛失した場合は再作成するしかありません。
再作成する場合は、原始定款の謄本か、その一部の事項を先述の方法で入手し、定款を再作成します。
定款の目的や会社所在地については、登記簿から情報を拾ってくることができます。
過去の株主総会議事録なども確認してください。
定款を再作成したら、株主総会で承認を得ましょう。
こうして現行定款を再作成できます。
まとめ
定款とはどのようなものかということ、万が一なくしてしまった時の対処法についてお伝えしました。
定款は会社にとって重要書類なので、もちろん紛失しないことが望ましいですが、自然災害にあったり事故に巻き込まれたりして紛失してしまうということは、どんなに注意していても起こり得ます。
定款は重要書類だということを忘れず、万が一の対処法を覚えておけば、不測の事態が起こったときでも対処できます。(提供:ベンチャーサポート税理士法人)