会社経営とは
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

会社経営のスタイルや内容は、千差万別です。

しかし、事業を維持発展させることが、経営の第一義的な意味と言えるでしょう。

生き残る会社経営とはなにか、経営破綻のシナリオや原因を探りながら、維持発展のためには何が重要かについて、解説します。

10年後も生き残る会社経営

会社の経営スタイルや事業内容は、会社の数だけあり千差万別です。

事業の目的や企業理念など経営に関する考え方に特徴を持たせ、独自性や競合相手との差別化、ひいてはブランディングを図るわけですから、それぞれの会社で経営の仕方が異なるのは当然のことです。

しかしながら、特徴を持たせながら会社を経営していくこと、つまり、会社を維持発展させていくことは、どの企業にとっても共通した経営の課題です。

もっと端的に言えば、会社を経営するとは、黒字経営を維持して、事業の拡大や発展を図ることです。

そのためには、顧客のニーズやニーズの変化を的確に把握し、ニーズに対して柔軟にしかも迅速に応え、利益を安定的に生み出し続けることが必須となります。

ニーズやその変化を的確に把握できるか、それに柔軟に、また迅速に応え続けていくことができるかを、問い続ける会社経営にこそ、「自社の会社経営とは何か」の答えや経営のノウハウがあると言えるのではないでしょうか。

生き残る会社の割合

創業する会社の数は、増加を続けています。

2006年に会社法が新しくなったことが、大きな要因の一つとなっています。

新しい会社法では、株式会社を設立する際の最低資本金や役員の人数など、さまざまな制約が緩和されました。

会社法の制限が緩和されたことなどもあって、手続き上で起業しやすくなり、確かに創業する会社が増加しています。

しかしながら、その一方で、せっかく創業しても維持発展させることができず、撤退する会社が多いことも事実です。

同一の会社を時系列で追跡したパネルデータの解析によって得られた、創業10年後までの会社の生存率を確認してみましょう。

グラフは、新しい会社法直前の動きを詳しく分析した、2006年度中小企業白書データを基に再集計し、年数の経過に従って何パーセントの会社が生き残るかを示したものです。

100の会社が創業しても、1年後には73%、3年後には53%と徐々に淘汰されていきます。

4年後には半数以上が廃業して、10年後に生き残る割合は26%にまで低下しています。

なお、このパネルデータは、様々な業種の中でも廃業の割合の低い製造業のうち、個人事業を除く企業について追跡したものですから、一般的な生存率とは言えないことに注意してください。

それにしても、ビジネスを続けていく難しさを証明していることには違いがありません。

会社の生存率(%)

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(画像=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

参考:中小企業庁 HP

経営破綻のシナリオ

経営破綻を引き起こす際には、予兆や原因があるものです。

維持発展を望むからこそ、知って備えておくことが大切です。

破綻の予兆

中小企業の7割が赤字経営に苦しんでいると言われています。

一方、赤字経営でありながらも、倒産しないで経営を続けている多くの中小企業があることも確かな事実です。

このような会社の経営を見ると、純資産の赤字額が減価償却費よりも少ない、つまり、ギリギリ経営を維持できているケースや、自己資金の持ち出しで補うケース、金融機関からの融資で運転資金を補てんしているケースが多いと言えます。

赤字幅がこのような対応の範囲で収まっている場合は良いのですが、自己資金の限界や、融資の減額や停止、国内外の経済状況や市場動向の悪化に対しては、経営が持ちこたえられないことが懸念されます。

破綻

黒字経営が赤字経営に転落した場合でも、予兆の段階で気づき、適切な対応が図られていれば、一時的な赤字も回復が期待できます。

しかしながら、根本的な解決策が見いだせない場合は、急場しのぎのために、準備金や積立金の取り崩し、固定資産の売却、経費や人件費を切り詰めるなどの対応を迫られることになります。

自転車操業のような状況が続くのであれば、融資を受けることも難しく、遅かれ早かれ資金が底をつき、破綻の危機が訪れることになります。

会社が倒産すれば、経営者だけでなく、従業員や取引先も巻き込んで、経済的な基盤も社会的な地位や名声も失ってしまうことになります。

破綻の原因

中小企業庁は毎月、原因別の企業の倒産件数を公表しています。

この公表資料から、2019年6月分のデータを分類・集計した結果について確認しましょう。

倒産の原因を、倒産件数全体に占める割合が大きい順に紹介すると、販売不振70%、既往のしわよせ12%、放漫経営5%、連鎖倒産5%、過小資本4%、その他4%の順となっています。

その他については、過大な設備投資、信用性の低下、売掛金の回収難、在庫状態の悪化などですが、それぞれが全体に占める割合は1%未満となっています。

倒産の原因(%)

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主な倒産の原因について、補足しておきましょう。

▼販売不振
売上高が減少して、経営の収支が成り立たなくなった状態です。

全体の7割を占め、最大の要因となっています。

売上を伸ばす戦略的な経営がカギとなります。

▼既往のしわよせ
聞きなれない言葉ですが、これまでの経営のしわよせと考えれば理解しやすくなります。

徐々に経営が悪化していき、気付いたときには経営が傾いている状態です。

感覚的ではなく、定量的な経営状態の把握がカギとなります。

▼放漫経営
調査や準備が不十分なままで行う事業展開や投資によって、経営が悪化した状態です。

意思決定を行う前の検討や計画がカギとなります。

▼連鎖倒産
取引先の経営悪化に引きずられる形で倒産する状態です。

取引先の経営状況まで思い至らないことも事実ですが、ここではリスク管理がカギとなります。

▼過小資本
新たな会社法では、設立の際に準備すべき資本金額の制限がなくなり、十分な資本金を持たないままでも経営を始めることができます。

経営規模の無理な拡大を行ったものの、不測の貸し倒れや資金回収難に対応できない状態です。

必要な自己資本の蓄えがカギとなります。

本質的な原因を知って対策

統計的に見た倒産の原因は、販売不振や既往のしわよせ、放漫経営、連鎖倒産、過小資本などですが、これらの原因を招く本質的な原因を認識して対応を図ることが、根本的な対策につながります。

倒産につながる本質的な原因は、販売不振であれば売上を伸ばす戦略的な計画、既往のしわよせであれば定量的な経営状況のチェック、放漫経営であれば検討や計画、連鎖倒産であればリスク管理といったことがあげられます。

会社経営を成功に導くためには、経営の課題が何かに気付き、それを一つずつ解消していくことで、自社のノウハウを築き上げることが重要です。

経営悪化の原因を知っておくことによって、悪化する前に対策を講じることが可能となります。

主なものを紹介します。

売り上げを伸ばす戦略を練る

成功するビジネスは、必ず魅力的なコンセプトを持っています。

価格以外に競争できる要素がない商品やサービス、どこにでもあるような商品やサービスでは、価格競争で勝ち残る以外には売り上げを伸ばす方法がありません。

独占や寡占できるような立場にいない限り、ターゲットのニーズやニーズの変化に対応した魅力的なコンセプト作りは、売り上げを伸ばすために欠かすことができません。

また、魅力的なコンセプトを作り上げたら、ターゲットに知ってもらわないことには売り上げにつながりません。

ここでは、露出度を上げる戦略が必要になります。

効果的な広告の方法や販売方法などを検討します。

集客方法の検討も大切です。

インターネットを利用した販売やサービスの提供も一般的になっている現在、ウェブサイトの活用は、非常に有効な手段となり得ます。

ただし、ここでも商品やサービスの魅力的なコンセプトが重要であることは言うまでもありません。

中長期的に、自社の商品やサービスをブランドに仕立て上げるブランディングも重要です。

「〇〇といえばあの商品、あのサービス」という意識が広まれば、顧客にとっての自社の価値が高まっていきます。

何かひとつだけでもアピールできれば、顧客のイメージは変わっていきます。

経営上のリスクを知って対策

他社とは違う経営を展開する限り、経営上のリスクはつきものです。

しかしながら、避けられるリスクは回避すべきでしょう。

リスクを挙げはじめれば切がありませんが、事前に知っていれば、危険を察知することもできます。

代表的なものとしては、金銭的なリスクがあります。

このほかにも、許認可や契約、損害賠償など法律の規制に触れるリスク、労務災害や事故などのリスク、雇用に関するトラブルが発生するリスク、体調に関するリスク、規模が大きくなり管理が行き届かなくなるリスクなどがあります。

代表的な金銭的リスクは、倒産の主な原因である、販売不振や既往のしわよせ、放漫経営につながります。

このリスクを回避するために、自社の経営を定量的に、また定期的に知っておくことが重要です。

経営を定量的に知るために重要な資料は、自社で整理する損益計算書や貸借対照表です。

簿記や記帳の詳しい知識がなくとも、見方を知ることが重要です。

何期か並べた貸借対照表を比較すると、自社の経営の動きや課題が見えてきます。

運転資金として必要な現金や預金が確保されているか、在庫量が適正か、売掛金は適切に回収できているかなど、問題意識をもって比べていれば、課題が発見できることも多いでしょう。

金融機関や株主など、経営の第三者は、このような資料によって経営状況を判断しています。

新しい知識や情報を得る

自社の経営について客観的に把握することは、意外に難しいものです。

外部の専門家に相談すれば、より明確にすることができますが、新しい知識や情報を得ることによって、別の視点や新しい観点から自社の経営を眺めることが可能になります。

戦略的な事業計画や見直し、事業や販路の拡大、専門知識や技能の充実などを進めていくためには、新しい知識や情報を継続的に得ることが必要不可欠です。

知識や情報を得る方法は、いろいろあります。

インターネットで検索する方法や、起業者向けの書籍のほか、自治体や金融機関などが提供する起業の相談窓口もあります。

また、各種セミナーも開催されています。

適した入手方法を見つけることも、経営ノウハウです。

まとめ

会社経営とは何か?会社をどうイメージするかによって、多様な答えが考えられます。

一方、会社を事業体あるいは経営体としてとらえれば、会社経営は、事業や経営を継続発展させることが第一義となることは、異議のないところでしょう。

事業や経営を維持発展させるためには、収支を安定させ、そこから生まれる余裕を発展に振り向けます。

収支を不安定にする本質的な原因を探り、原因の一つずつについて解決策を見出す努力が、成功のカギとなり、また経営のノウハウとなっていきます。(提供:ベンチャーサポート税理士法人