趣味が高じてビジネスとして成功を果たす経営者も少なくない。釣り好きな人が釣具店を開業、料理好きの人が飲食店をオープン……。その結果、失敗した例ももちろんあるが、自分が好きなジャンルであれば知識も豊富であることから、成功の種になることは間違いない。

そのような意味で、アニメが趣味の人は大きなビジネスチャンスをつかむことができるかもしれない。「日本のアニメ」の市場は日本国内だけではなく海外でも拡大しており、展開するビジネスによってはかなりの規模の売上や利益につながる可能性がある。

目次

  1. 日本で育ち、世界に認められた日本のアニメ
  2. アニメに秘められた「ビジネスチャンス」
  3. 国内におけるアニメのマーケット
    1. 市場規模について
    2. アニメ関連ビジネスの事例
  4. 海外におけるアニメのマーケット
    1. 市場規模について
    2. アニメ関連ビジネスの事例
  5. 「国内+海外」のマーケット規模の推移
  6. アニメ業界の最新トレンドをチェック
  7. 市場の「成長性」に着目を
アニメ趣味の経営者が「ビジネスチャンス」をつかむ?
(画像=yj/stock.adobe.com)

日本で育ち、世界に認められた日本のアニメ

手塚治虫や赤塚不二夫などのアニメ監督や漫画家によって、日本のアニメやマンガはある種ガラパゴス的な進化を遂げた。今ではほかの国では類を見ないほど洗練されたサブカルチャーとして、世界で認識されている。

初めて海外旅行に訪れた際に現地の人と話して「日本と言えば?」と質問すると、「寿司」や「忍者」などに加え、「NARUTO」「ONE PIECE」「ドラゴンボール」などのアニメの作品名を挙げる人もかなり多く、驚く。

中には「日本語はほとんど日本のアニメから学んだ」という人もいる。それだけ日本のアニメは海外でも大きな影響力を持っているということだ。

アニメに秘められた「ビジネスチャンス」

冒頭触れたように、アニメが趣味の経営者の場合、アニメというマーケットに参入することで新たなビジネスを展開できる可能性も認識しておきたいところだ。前述のように日本のアニメは海外でも人気があり、事業として展開した場合に成長余地は非常に大きい。

では具体的に、アニメ市場はどれくらいの規模なのだろうか。ここからは過去の市場調査のデータを挙げながら説明していこう。

国内におけるアニメのマーケット

まずは日本アニメの国内市場からだ。

市場規模について

「日本動画協会」の調べによると、日本アニメの国内市場は緩やかな右肩上がりの状況である。

2020年以降のデータは、コロナ禍による巣ごもり需要の影響もあり傾向が見えにくいため、コロナ禍が始まる直前の2019年までのデータを参照すると、2009年に1兆117億円だった市場は2019年には1兆3,136億円まで膨らんでいる。10年で29%増となったことになる。

アニメ関連ビジネスの事例

日本市場をターゲットにアニメビジネスを展開する場合、どのようなビジネスが考えられるだろうか。結論から言えば、非常に多岐にわたる。アニメのグッズ販売やアニメ関連のメディアの運営から、アニメ好きをマッチングさせるアプリなども考えられるだろう。

海外におけるアニメのマーケット

続いて日本のアニメの海外マーケットについて説明しよう。

市場規模について

先ほどと同様に日本動画協会の調査結果を紹介すると、日本アニメの海外市場は2009年、2,544億円だったが、2019年には1兆2,009億円まで拡大している。増加率は10年間で372%増であり、日本市場の29%増と比べると、いかに海外市場の方が大きく拡大しているかがよく分かる。

アニメ関連ビジネスの事例

海外市場に着目してビジネスを展開する場合、海外からのインバウンド観光客に注目するのが手っ取り早い。たとえば、訪日観光客向けにアニメの聖地をめぐるツアーを展開する、といった具合だ。海外に拠点を有していなくても、外国人に狙いを絞ったビジネスは展開できる。

「国内+海外」のマーケット規模の推移

国内と海外を合算した日本アニメの世界市場の規模も紹介していく。2009〜2019年にわたって以下のように推移してきた。一度も前年比減となったことがない。

「国内+海外」のマーケット規模の推移
出典:日本動画協会

アニメ業界の最新トレンドをチェック

アニメをテーマにビジネスを展開する場合、アニメの最新トレンドについても知っておきたい。具体的に何のアニメ作品が人気であるかだけではなく、どのようなテーマやジャンルのアニメが増えているのかというマクロ的な視点も持っておきたい。

近年は、主人公が異世界に転生して活躍する「異世界転生作品」や、人気作品のサブキャラを主人公にした「スピンオフ作品」などが増えつつある。異世界転生作品としては「転生したらスライムだった件」、スピンオフ作品としては、たとえばマンガ作品では「刃牙シリーズ」のスピンオフ作品が有名だ。

今後、これらのアニメ化も進みそうだ。

市場の「成長性」に着目を

アニメに限らないが、趣味がビッグビジネスのきっかけになることは十分にあり得る。ただし、今後そのような視点で趣味を選ぶのであれば、そのジャンルの市場規模が今後拡大する見込みである趣味の方がベターだ。アニメはその筆頭格と言える。

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文・岡本一道