事業の成長には、社員それぞれが能力を十分に発揮できる組織力が欠かせない。円滑な人間関係を築き、組織力を向上させて事業を成長させるには、社員のコミュニケーション力の育成に取り組む必要がある。

本記事では、職場で求められるコミュニケーションや社員のコミュニケーション力を育てるポイントなどについて解説する。

目次

  1. 中小企業では社員のコミュニケーション力の育成が不可欠
    1. 職場で求められるコミュニケーションとは
    2. 職場内コミュニケーションの課題
    3. コミュニケーション力は組織力に直結する
  2. コミュニケーション能力の成長に欠かせない要素
    1. 傾聴力
    2. 共感力
    3. 伝達力
  3. 社員同士の相互理解に役立つ性格診断ツール
    1. MBTI
    2. ビッグファイブ診断
    3. エゴグラム
    4. エニアグラム
  4. 社員のコミュニケーション力を強化する方法
    1. 経営者やマネジメント層がオープンマインドで接する
    2. 社員同士の雑談や議論の場を設ける
    3. 1on1ミーティングを定期的に行って接触機会を増やす
    4. 社内コミュニケーションツールを導入する
    5. コミュニケーションの研修やセミナーの開催
  5. 社員のコミュニケーション力の成長には自己理解と他者理解が必要
成功企業が絶対に取り入れている5つのコミュニケーション育成ポイント
(画像=aFotostock/stock.adobe.com)

中小企業では社員のコミュニケーション力の育成が不可欠

中小企業が継続的に事業を成長させて存続するためには、社員のコミュニケーション力の成長が不可欠な要素だ。

職場で求められるコミュニケーションとは

職場で求められる基本的なコミュニケーションは、業務に関わる「報連相」だ。情報が共有されなければ事業活動は円滑に進まず、小さなトラブルが積み重なって大きな損害を負う恐れもある。

また、報連相ができていたとしても、社員同士の人間関係が希薄でお互いにフォローができていなければ、収益を上げ続けるのは難しいだろう。

そのため、社員同士がお互いに気兼ねなく会話でき、心理面でも連帯感がある職場が理想だ。

職場内コミュニケーションの課題

NHK放送研修センターの調べによると、ビジネスコミュニケーション上の課題として「報連相の不足」や「相手の本音やニーズなどを聞き出せない」といったものが挙げられている。

また、「個人のコミュニケーションスキルの低下」や「対面での会話の機会の減少」などが課題と考えられており、基本的なスキルの育成やコミュニケーション機会の創出が必要とされているのが分かる。

コミュニケーション力は組織力に直結する

社員同士のコミュニケーションが成立していなければ、組織として機能せず、事業の存続は難しいだろう。

たとえ優秀な人材がそろっていても、個人ができることには限界がある。営業力の高い社員がいても、サービスを開発したり、アフターサポートしたりする社員がいなければ継続的な商品やサービスの提供はできない。

お互いの存在を尊重してサポートし合える関係を築くためにも、コミュニケーション力は欠かせないのだ。

コミュニケーション能力の成長に欠かせない要素

コミュニケーションは双方向でのやり取りで成り立つものなので、成長に欠かせない3つの要素がある。

傾聴力

傾聴力とは、他人の話を注意深く聞き、理解し、反応する能力のことを指す。

単に相手の話を聞くのではなく、オープンマインドで言葉の背後にある感情や意図を理解しようとする姿勢が傾聴には欠かせない。また、話し手が自身の思考や感情を十分に表現するための時間とスペースを提供し、寄り添う姿勢が求められる。

共感力

共感力とは、相手の身になって抱えている感情や困難に対して深い理解を示す能力のことだ。自分自身が相手の立場だったらどう感じるかを考え、感情や価値観に合わせたコミュニケーションを取る際に欠かせないものだ。

伝達力

伝達力とは、情報やアイデアを相手に効果的に伝える能力のことを指す。

伝達力には、自分の意見を明確に表現する能力、適切な語彙を選ぶ能力、聞き手が理解しやすいように情報を整理する能力などが含まれている。

社員同士の相互理解に役立つ性格診断ツール

社員のコミュニケーション力を成長させるためには、自己理解だけでなく相互理解も欠かせない。同じ接し方をしても人によって反応は異なるため、相手に合わせたコミュニケーションを意識することが大切だ。

とはいえ、相手の性格を見立てるのは難しいため、性格や行動傾向を診断するアセスメントツールを利用して相互理解を深めるきっかけを社内でつくるのもいいだろう。

ここでは、自己理解と相互理解に役立つ代表的な性格診断ツールを4つ紹介する。

なお、性格診断ツールはあくまでサポートの位置付けにあることを忘れず、目の前の人への興味関心や共感意識が必要なことを認識した上で参考にして欲しい。

MBTI

MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)は、個々人の情報処理の傾向、行動スタイル、エネルギーの方向性などを考慮して、16の異なるパーソナリティタイプに分類するツールだ。

MBTIのタイプには以下のようなものがある。

ISFJ (保護者): 親切で配慮深く、他人の感情を気にかけ、彼らの需要を満たすことに集中するタイプで、安定性と具体的な詳細を重視する。

INTJ (アーキテクト): 独立心が強く、創造的で論理的な思考を持ち、自身のアイデアと理論を体系化するのが得意なタイプ。

ESTP (挑戦者): 冒険心があり、対人関係が良く、自分の周りの世界を実感することを楽しむタイプで結果を重視する。

ビッグファイブ診断

ビッグファイブ(Big Five)は、人間のパーソナリティを5つの主要な要素で表現するモデルだ。5つの要素の中には以下のようなものがある。

・協調性(Agreeableness):他人への思いやりや協力性の度合いを測定する指標で、高得点の人は協力的で他人を思いやる傾向がある。

・誠実性(Conscientiousness):責任感や秩序への重視の度合いを測定する指標で、高得点の人は自己統制があり、目標に向かって努力する傾向がある。

エゴグラム

エゴグラムは、人格を以下の5つの自我状態に分類するツールだ。

(1)CP (支配的親): 倫理規範や規則、対人関係での道徳的な評価などを重視し、厳しい面を持つことがある。

(2)NP (養育的親): 人を助けて保護的な役割を果たし、他者に対して気配りや優しさを示す一面を持つ。

(3)A(成人): 現実を受け入れて情報を客観的に分析し、論理的に判断する自我状態で、問題解決能力に優れる。

(4)AC (順応した子ども): 社会的な規範や期待に合わせて行動する自我状態で、他者との調和や協調性を大切にする。

(5)FC (自由な子ども): 自由で創造的なエネルギーを持ち、楽しみや喜び、好奇心や冒険心などを持って行動する。

相手のエゴ状態を理解することでどのように反応しがちであるかを予測し、適した対応を行う助けとなる。例えば、FCタイプには支持や激励の言葉をかけるなどして安心感を与えると良いだろう。

エニアグラム

エニアグラムは、人の性格タイプを9種類に分類し、自己理解と相互理解を深め、より効果的なコミュニケーションと関係構築をサポートするのに役立つツールだ。

例えば、以下のような特徴がある。

タイプ7(楽天家): 楽しみや新しい経験を追求し、自由と充実感を重視する人。多動的で落ち着きがない一面がある。

タイプ8(統率者): 自己主張が強く正義や弱者の保護を重視するが、攻撃的な一面がある。

タイプ9(調停者): 和解と調和を重視し、他者のニーズを調整することに力を入れる人で、平穏と安定を追求して衝突を避ける傾向がある。

社員のコミュニケーション力を強化する方法

社員のコミュニケーション力を高めるためには、経営者からの積極的な働きかけも大切だ。ここでは、経営者が実践できる具体的な5つの方法を紹介する。

経営者やマネジメント層がオープンマインドで接する

経営者やマネジメント層が社員に対して先入観を持って接すると、コミュニケーションに萎縮して成長を阻害する恐れがあるため、オープンマインドで接することが大切だ。

また、社員の反応に対してイライラして叱責したり、これまでの経験で築いた価値観を押し付けたりすれば、社員が心を開いてくれなくなる恐れがある。

アンガーマネジメントなどを用いて自分のメンタルコントロールをした上で社員の話を聞き、叱責ではなく成長を促すような声かけを意識しよう。

社員同士の雑談や議論の場を設ける

社員同士が意識的に雑談や議論などのコミュニケーションを取り合い、連帯感を醸成するための場を設けるのも大切だ。

社内では同期同士や仲のいい社員同士のみで関わりを持つことが少なくないが、コミュニケーション力を成長させるには、価値観の違う人同士の関わりが欠かせない。

株式会社 EVENTOSは、26歳以下の若手社員が他部署の社員と積極的に情報共有などを行う「新鮮組」活動を通して、コミュニケーションの機会を意図的に作っている。

職場内に相談先を幅広く持つことで、人間関係に対しての不安を払拭でき、連帯感を高められるだろう。

1on1ミーティングを定期的に行って接触機会を増やす

1on1ミーティングを通して、マネジメント層が社員と1対1で向き合って懇談する時間を設けることもコミュニケーション力の成長に有効だ。

ヤフー株式会社では、週に1度30分間、部下の業務上の経験などの振り返りを上司が一緒になって行い、「経験学習サイクル」を回して成長を支援する取り組みが行われている。

上司が部下の話しやすい雰囲気を作りながら傾聴し、丁寧なフィードバックをすることで社員の成長につながっている。

社内コミュニケーションツールを導入する

テレワークを導入しているといった理由で社員同士の会話の機会を設けられないならば、「Chatwork」や社内SNSのようなコミュニケーションツールを導入するのもいいだろう。

コミュニケーションにおいても、接触機会が増えるほど好意的な関係が築けるとされる「ザイアンスの法則」は有効だ。手軽に連絡できる社内ツールを利用し、業務上の連絡や簡単な挨拶や雑談の機会などを設けることで、対話が難しい環境でも接触機会を増やせるだろう。

コミュニケーションの研修やセミナーの開催

外部講師などに依頼して、社内コミュニケーションについて基礎的な内容を学べるような研修を開催するのもおすすめだ。

研修を通してポイントを学ぶことも大切だが、何よりも研修で社員同士が関わる機会を作ることが組織としてのコミュニケーション力向上のきっかけとなる。

社員のコミュニケーション力の成長には自己理解と他者理解が必要

会社が組織として効果的に活動するためには、所属する社員同士の人間関係の醸成が欠かせない。しかし、コミュニケーションの取り方は社員それぞれに特徴があるため、コミュニケーションスキルを成長させるには自己理解や他者理解を通して自主的な改善を促すことが肝要だ。

社員のコミュニケーション力を高めるには、経営者やマネジメント層の関わり方を工夫しなければならない。まずは、自身のコミュニケーションの取り方を見直し、社員との信頼関係を構築することから始めてみよう。

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文・隈本稔(経営・キャリアコンサルタント)

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