個人に合った金融サービスが求められている時代、利用者の特徴を押さえておくことはサービスを企画する上でも大切ですよね。価値観が多様化する中、利用者の属性を一括りにすることには色々な意見がありますが、「世代」が1つの尺度として用いられる場面は多いのも事実。また、利用者としての目線だけでなく、Z世代のメンバーと一緒にビジネスを組み立てていく場面も今後はますます増えていくでしょう。そこで今回は、未来の経済活動の中心を担うであろう、デジタルネイティブであるZ世代の特徴や価値観について改めて整理しました。その前の世代であるミレニアム世代との違いも追いながら、Z世代の価値観と行動様式を知り、未来の金融サービスの企画に役立ててみませんか。
目次
「Now in vogue」は、ちょっと気になる世の中のトレンドや、話題の流行語などについて、少しライトな内容でお届けする企画です。
Z世代とは
生まれてから成長するまでの社会背景が、その世代の価値観や行動様式に影響を与えることから、「~世代」という言葉がよく使われています。オクトノットでは『Z世代ってほんとにいるの?』と題した記事で、個人の価値観が多様化しており、世代で一括りすることの難しさを取り上げました。
一方で、世代が1つの尺度として、ビジネス創発の現場などで共通言語的に用いられることもまた事実であり、言葉の意味するところをしっかりと理解しておくことは大切だと考えています。
そこで今回は、デジタルネイティブとして話題に挙がることも多い、いわゆるZ世代を中心に、その定義や特徴について一般的に言われる傾向を、あらためて整理しました。始めに、新しい世代として注目されているZ世代の定義と特徴、ミレニアル世代との違いについて見ていきましょう。
Z世代とは?その定義を解説
Z世代とは、一般的に1990年代後半~2000年代に生まれた世代を指すことが多く、この世代は、生まれた時点で既にインターネットやパソコンが存在していたデジタルネイティブな世代です。2010年~2020年代にかけて社会に進出するZ世代は、今後のトレンドや消費、働き方の中心を担うと考えられます。
言葉の由来は、アメリカで1960年~1980年に生まれた世代が「ジェネレーションX(X世代)」と名付けられたことから始まります。明確な定義はありませんが、その後1980年~1990年代前半に生まれた世代が「ジェネレーションY(Y世代)」、その次に生まれた世代として「ジェネレーションZ(Z世代)」と呼ばれるようになりました。
別の呼び方としてY世代は「ミレニアル世代」、Z世代は「ポストミレニアル世代」と呼ばれることもあるそうです。
※各世代の出生年代については、参照する資料により多少異なります。
Z世代の特徴
Z世代にはさまざまな個性が見られ一括りにはできませんが、デジタルネイティブであることから主に次のような傾向が見られるようです。
・デジタルデバイスを使って、人間関係の構築・買い物・情報収集・取引きを行うなど、まるでデジタルが体の一部のように生活の中で重要な役割を占めています。
・デジタルデバイスで世界中の情報を得られるため、さまざまな価値観に触れることができ、社会問題に対しての意識を高く持っています。
・さまざまな価値観の中から自分に合ったものを見つけ、自分らしい個性を追求する傾向が強いです。
・個性を尊重しつつも、さまざまな価値観への理解も示すという、個性と多様性が融合した価値観を持つ人も多く見られます。
Z世代とミレニアル世代の違い
Z世代はミレニアル世代との共通点が多いですが、大きな違いは、生まれた時から生活の中にデジタル機器があり、完全なデジタルネイティブであること。ミレニアル世代に比べると、Z世代の方が社会問題に関心が高い傾向にあると言われています。人とのつながりを求め、コミュニティを重視する傾向もあるようです。
Z世代の一般的な価値観と行動様式
これからの時代を担うZ世代の価値観や行動様式を理解することは、その世代との人間関係の構築や金融領域のマーケティングにおいても重要です。また、部下や取引先の担当者がZ世代に該当するようなケースも増えており、円滑に業務を遂行するためにも彼らが何を求めているかを把握することが大切だと考えられます。次に、Z世代の一般的な価値観と行動様式について、ミレニアル世代と比較しながらもう少し詳しく見ていきます。
価値観
ミレニアル世代が重視するのは「現在」で、楽観主義であるとも言われます。一方でZ世代は「将来」を見据え、より現実的で実利主義的な面があります。ミレニアル世代と同じように社会問題に対する意識が高いですが、SNSを通して仲間と意見交換を望む傾向が強いそうです。また、人種や性別に対してリベラルな考えを持ち、より多様性を重視する人が多いようです。
テクノロジーの使い方
パソコンよりもスマートフォンを使って、常に新しい情報を得ているのがZ世代。SNSや動画コンテンツの使用時間が長く、これらのテクノロジーに依存する傾向も見られます。ミレニアル世代の通信はテキスト中心ですが、Z世代は絵文字などを使ったビジュアル中心の通信を好むと言われています。
インターネットの恩恵を受けながら成長期を過ごしていることもあり、情報発信力に長けたインフルエンサーが多く見られる世代です。また、サイバーセキュリティやプライバシー保護に関する情報共有への安全性をより重視する傾向があります。
仕事や教育への考え方
働いている会社への帰属意識はあまり高くないZ世代ですが、仕事で成功することや事業立ち上げには高い意欲が見られます。企業のブランドよりも、自分の価値観に合った企業で働くことを重視するのも特徴です。一方で、キャリアや教育に対して、保守的な見方を持つ人もいます。
ミレニアル世代がチーム志向であるのに対して、Z世代は集合意識が高く、その場の意見に同調しやすい傾向があると言われています。学習に関しては、ミレニアル世代までは受動的な傾向が強かったのに比べ、Z世代は自己学習をして自ら知識を得ようという意欲を持っている人が多いそうです。
消費動向
Z世代は、自分にパーソナライズされた商品やコンテンツにより価値を見出します。新商品はソーシャルメディアから情報を集め、オンラインショッピングを利用しますが、一方で実店舗での体験も重視します。ブランド商品よりも、ユニークさや本質的な価値を重視する人が多いようです。
ミレニアル世代では、「モノ消費」以外にも旅行や趣味など体験型の「コト消費」への関心が高くなりました。Z世代ではそれに加えて、フェスやハロウィン仮装に参加するなど、今しか体験できない時間の過ごし方に価値を見出す「トキ消費」に関心を高く持っています。
Z世代とのコミュニケーションの取り方
Z世代は、ミレニアル世代と共通する点も多いですが、彼らの価値観に寄り添うことで、組織内でもより円滑なコミュニケーションが取れるようになるかもしれません。最後に、Z世代とのコミュニケーションの取り方について見ていきます。
価値観に理解を示し、メンターとして接する
Z世代と接する時に大切なのが、デジタルネイティブである彼らの意見を取り入れる姿勢を示すことです。仕事だけでなく、人間的にも信頼され安心して相談できるような、メンター的存在として接するのが理想的だと言われています。相手の価値観やキャパシティを理解し、メンターとして接しながら、共同作業をして同じゴールを目指すようなアプローチが良いのかもしれません。
高圧的な話し方や態度は、この世代には響きません。一人ひとり考え方が異なり、モチベーションもさまざまです。個別にコミュニケーションを取り、次へのステップのために成果や改善点を上げながらフィードバックすると、安心して能力を発揮しやすくなるのではないでしょうか。
信頼感を持たせる
生まれた時からインターネットが身近にあるZ世代は、常に最新の情報を得られる環境で育ちました。その分、信頼できないものや疑わしい情報にはとても敏感です。それらの情報を自分で検索して真偽を確かめ、行動に移すところがあります。そのため、会社や上司の言うことは絶対という価値観は共有しにくいでしょう。
正確な情報を得て正しい価値観で行動する傾向があり、会社にも同じように正しさを求めることがあるかもしれません。彼らにとって、会社や組織、上司などは信頼できる存在であることが重要と言えますね。
プライベートを重視する
プライベートを重視することは、ミレニアル世代にも見られる特徴ですが、Z世代の方がより顕著です。プライベートの時間の過ごし方について質問されたり、仕事の後に飲み会に誘われたりするのをあまり好まない傾向にあると言われています。
自分と他人をはっきりと区別しているので、プライバシーの内容を尋ねることや、プライベートの時間を侵すような付き合い方には慎重になったほうが良いのかもしれません。個性を尊重しながら、円満に人間関係を築くコミュニケーションの取り方をしたいですね。
効率性を取り入れる
デジタルデバイスやSNSを駆使し、効率よく情報を得て行動に移すのがZ世代。そのため、周りの出来事に対しても効率性を重視する傾向があります。サービス残業や目的なく開かれる飲み会への参加などは、非効率な事柄として受け取られる可能性もあります。
これらのZ世代が得意とするデジタル機器へのリテラシーや、効率性重視の価値観は、会社や組織にとっても非常に有益な能力です。効率性を重視する彼らの価値観を取り入れて、環境作りに活かしていくことが大切ですね。
Z世代の価値観を理解して接し方や仕事に活かそう
今後、Z世代は消費や働き方において中心を担う世代となります。今回整理したのは、あくまで一般的な傾向として捉えられるZ世代の価値観や行動様式ですが、これらを1つの考え方として理解しておくことは、組織内での円滑な人間関係を保つだけでなく、今後の金融サービスを考える上でも役に立つのではないでしょうか。
※本記事の内容には「Octo Knot」独自の見解が含まれており、執筆者および協力いただいた方が所属する会社・団体の意見を代表するものではありません。
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