2017年度のトイレタリー市場規模は前年度比101.5%の1兆9,069億円
~中高年・高齢者層向け商材が伸長、女性向け商材の男性専用製品やパーソナル向け高機能・付加価値型製品の需要も後押し~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のトイレタリー用品、主要50品目の市場を調査し、市場規模や品目別動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
トイレタリー用品市場規模推移
1.市場概況
2017年度の国内トイレタリー市場(メーカー出荷金額ベース、5分野50品目)は、前年度比101.5%の1兆9,069億2,300万円となった。
市場は2017年度も成長を続けているが、その要因としては以下のようなことが挙げられる。訪日外国人客によるインバウンド需要は中国人観光客を中心に堅調である。一方、国内消費は最大ボリュームゾーンの中高年層および高齢者層を中心とした消費が堅調に推移、男女共通の悩みである生理現象に対応したサニタリー製品(経度失禁用品など)需要の拡大、また、老若男女に幅広く口腔ケアの概念が浸透し、口腔ケアカテゴリーが好調である。制汗剤など従来女性向けであった商材全般の男性専用カテゴリー形成が進んでいる他、安全・防衛意識の高まりを背景として、ウイルス・細菌感染防止・食中毒予防、害虫対策等の除菌・殺菌、防虫剤等の需要も安定している。
2.注目トピック
人口動態の変化:人口ボリュームに支えられた需要拡大
トイレタリー市場の成長因子として、中高年層および高齢者層を中心とした需要拡大という観点から、現在は以下の4つの事象が注目される。
一つ目は高齢者人口増加と在宅介護進行による大人用紙おむつ需要の拡大、次に中高年層、アクティブシニアを主な対象とした男女軽度失禁用品販売の拡大、三つ目は中高年層から高齢者層の入れ歯人口増加に伴う義歯安定剤・洗浄剤の需要拡大、最後に口腔ケアの概念浸透を背景にした好調なオーラルケア商材(歯周病予防・デンタルフロス・洗口液)販売である。
3.将来展望
今後のトイレタリー市場の成長を促進する要因としては、①中高年層および高齢者層を中心とした人口ボリュームに支えられた需要、②嗜好の多様化によるマスからパーソナル向けに細分化された機能や付加価値を持つ製品開発、③需要創出型の男性向けトイレタリー商材の上市、④細菌感染防止・衛生管理・エチケット・美肌ケアニーズの高まり、⑤インバウンド需要による内需活性、越境ECによる輸出事業の伸長、などが挙げられ、こうしたニーズを充たす製品提案がメーカー各社には求められると考える。