国内デビットカード市場,2018
(写真=Monster Ztudio/Shutterstock.com)

2018年度の国内デビットカード市場規模は前年度比123%、1兆4,006億円の見込

~ブランドデビットに加えて、銀行主体の即時引落しサービス「銀行Pay」が登場~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内デビットカード市場を調査し、J-Debit、ブランドデビット、銀行Payの事業者動向および将来展望を明らかにした。

国内デビットカード市場規模予測

国内デビットカード市場規模予測

1.市場概況

2018年度の国内デビットカード市場規模は取扱金額ベースで、前年度比123%の約1兆4,006億円まで拡大する見込みである。その要因として、ブランドデビットの拡大があげられる。ブランドデビットは、国際ブランドや発行元(イシュア)によるテレビCMなど販促施策が功を奏したことに加え、新規参入事業者による取扱いの増加などを背景に、若年層やシニア層、主婦層などを中心に幅広いユーザーへの普及が進み、堅調に拡大している。

一方、J-Debitは、事業者間(BtoB)取引や小売店、特に家電量販店での大型家電の購入が減少した影響を受け、取扱高が減少している。また、銀行Payについては、取引金額は僅かであるものの、加盟店開拓を進めており、徐々に拡大していく状況にある。

2.注目トピック

銀行主体のスマートフォンアプリを活用した即時引落しサービス「銀行Pay」は2018年度2.4億円の見込

2018年度の銀行Payの国内市場規模は2億4,000万円を見込む。

銀行Payとは、スマートフォンアプリを活用したQRコード決済による銀行主体の即時引落しサービスである。なかでもマルチバンク対応の銀行Payは、各金融機関が提供する銀行Payを地域間で相互に流通可能なしくみを有しており、すでに大手銀行が参入している。複数の金融機関が国際ブランドよりも低い手数料で、かつ国際ブランドやイシュアを入れない形での新たな決済のしくみである銀行Payに対して、一定程度の期待と関心を持っていることから、金融機関の参入は引き続き増えていくとみる。また、銀行法の改正によりAPI(Application Programming Interface)が公開となったことも拍車をかけると考える。

また、一部の銀行Payについては、特定地域内で流通する電子地域通貨の取扱いが徐々に始まっている。こうした先進的な取組みを契機に、地域の金融機関において同様の取組みが拡がっていくことが期待される。

3.将来展望

国内デビットカード市場規模は取扱金額ベースで、2023年度には約3兆4,540億円まで拡大すると予測する。

その要因として、ブランドデビットの急速な拡大があげられる。特にJCBブランドを採用する地方銀行の参入や参入を検討している銀行が数十行に上っていることから、今後も堅調に拡大すると予測する。

また、若年層やシニア層、主婦層などを中心に幅広いユーザーへの普及が進んでおり、インターネット通販やコンビニエンスストアなどを中心に利用が増えてきているなど、さらなる市場拡大が見込まれる。

さらに、政府主導によるキャッシュレス化の推進とともに、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、キャッシュレス化への様々な取組みなども市場拡大を後押しするものと考える。