ホームファッション小売市場,2018
(写真=Africa Studio/Shutterstock.com)

2017年のホームファッション小売市場規模は前年比100.5%の3兆4,450億円と増加基調

~新規参入企業の増加による競争激化、新サービス開始で市場は活性化~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のホームファッション市場を調査し、製品セグメント別の動向、注目トピック、将来展望を明らかにした。

ホームファッション小売市場規模の推移

ホームファッション小売市場規模の推移

1.市場概況

2017年の国内ホームファッション小売市場規模は、前年比100.5%の3兆4,450億円と推計した。
内訳をみると、「ベットリネン・寝具」や「インテリアファブリックス」が好調に推移したものの、国産ブランドとして高い人気を維持してきた「タオル製品」、前年から需要減してきた「キッチン・テーブルウェア」がマイナスとなった。
ホームファッション小売市場は大手小売チェーン店など好調企業による寡占化が進んでいる中で、異業種からの新規参入やライセンス契約企業の変更、グループ企業の経営統合、事業撤退などの業界再編が続いている。一方で、異業種企業からホームファッション市場をみると、まだ市場開拓が望めるマーケットと捉えられており、アパレルメーカーを中心として新規参入するケースも増えている。また、近年は新規参入する異業種企業から、レンタルなどの新サービスが持ち込まれることも多く、市場は活況を呈している。

2.注目トピック

買い増し・買い替えを生むサービスが増加

ホームファッション市場は、住宅の新設や転居にともなって発生する新たな需要とは違い、家具やカーテン、照明など商品を買い換える際に、従来使っているものを捨てる行為に対しての顧客の精神的なハードルは高い。寝具・寝装品などは衛生面を考慮すると、定期的な買い換えが成立するが、家具やインテリア、陶磁器・ガラス製品を買い増す際にはモノが増えるという点も心理的な障害となる。

このような中参入企業各社は、顧客の購入のハードルを下げる取り組みを強化している。例えば、服を着替えるようにインテリアを自由に楽しむということをキーワードとして、新品家具レンタルサービスが展開されている。これは、顧客が一定期間に大型家具やインテリアを使いながら購入を検討する仕組みであり、最終的に買い取りか返却かを選べるため、買い増し・買い替えの心理的な障害は低くなる。このように新たに購入することが難しい商品についても、顧客の心理的な購入のハードルを取り除くことで、買い増し・買い替え需要を取り込む動きが活発化している。

3.将来展望

2018年のホームファッション小売市場規模を前年比99.8%の3兆4,365億円と予測する。
市場では今後、寡占化の影響により業績低迷を余儀なくされる企業の撤退など、業界再編などが加速するもの見込みである。さらにはアパレルメーカーなど異業種からの新規参入もあり、競争激化は必須である。
現在の市場規模は横ばいが続いており踊り場にいるものとみられるが、家具レンタルなど新サービスが続々と生まれている状況をみると、今後はその新事業の成否による市場拡大か縮小かの端境期にいると考える。