アメリカ不動産投資のすすめ: 安全な取引で安心な投資
森田尚樹(もりた・なおき)
早稲田フロンティアマインド株式会社代表取締役。東京生まれ、神奈川県横浜市育ち。聖光学院中学、高校から慶応大学法学部法律学科卒業。住友信託銀行、ゴールドマンサックス証券など外資系証券会社を経て2010年退職。その後早稲田大学全日制MBA取得後、インキュベーションセンターにて早稲田フロンティアマインド株式会社設立(現在は港区に会社移転)。著書に『アメリカ不動産投資のすすめ』(Kindleダイレクト・パブリッシング)がある。

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アジア不動産投資ならフィリピン、タイ、ベトナムの3か国

今回はアジア不動産投資について書きたいと思う。私が投資として、現在対象にしているのは東南アジアでもフィリピン、タイ、ベトナムの3か国である。

2011年頃からマレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポールなども訪れている。今回はなぜ上記3ヵ国をお勧めし、他の国をお勧めしないのか、また、投資をする際に気を付ける点について言及してゆきたい。

マレーシアはそもそも人口が当時2000万人しかおらず、クアラルンプールはすでに割高で、かつ、賃貸付けも難しい状態を目にし、2011年の時点でそもそも投資対象国からは除外した。日本人が住みたい外国のナンバー1などよく宣伝されているのだが、少なくとも私の周りで住みたいといった人は聞いたこともなく、自分もたまに行くが全く魅力を感じない。データマイニングをして官民一体となって国への誘致をしているとしか個人的には思えない。

一般的に投資を行う際に気を付けておきたいのは地政学的リスク、国の外国人に対する保護主義の観点である。この点でみると、マレーシア、インドネシアは自分の中では除外している。過去シンガポールという国ができた歴史的背景、華人に対する迫害を見ると投資意欲がそがれる。

また、インフレ、為替も重要なファクターである。不動産価格が上昇しても結局日本円では儲かってなかったということになりかねない。インドネシアは投資しなくて正解であった。

その国の不動産をみて、価格についてUSドルで考える国は大体においてインフレで、その国の通貨でみることができないことが多い。そういった国では敢えて不動産投資をする必要もなく、その国の銀行にドル預金でもしたほうがよいと考えてしまう(ドル預金でも金利が高いケースがある、カンボジアもその一つ)。

シンガポール政府とマレーシア政府で共同の事業、イスカンダル計画というものが一時流行った。シンガポールからすぐのジョホールバルという場所に大きなプロジェクトを掲げ、マンションや、学校、病院を誘致するというプロジェクトだ。

デベロッパーや、アフィリエイト、つまり紹介料を稼ぎたい、日系会計事務所みたいなところも多く動き、結構日本人で投資した人も多い。当時、シンガポール人達と話していて、不動産業者(もちろんこの開発に関わっている)以外に、イスカンダル計画に肯定的な意見を持つ人に会ったことはない。

案の定、現状はうまく行ってないようである。しかもマレーシアは外国人の不動産売買価格の最低金額を設定し、さらに切り上げを繰り返し、この物件を買った人は売るに売れないといった状態、まさに凍死家となってしまっている人も多い。

フィリピン、タイ、ベトナムも吟味が必要

フィリピン、タイ、ベトナムの3ヵ国についても、何を買っても良いという訳ではない。タイは2018年くらいをピークに現状は取引が鈍ってきている。私がすすめていた2012~2013年くらいからは相場が強く、その後中国人の爆買いも目にした。なお、タイにも急速に高齢化の波が押し寄せてきている点も注意が必要である。

そもそもタイでは外国人居住者の中で日本人のシェアが一番高かった。そして、現在においても運転手付きで会社への送り迎え、また若い人は乗り合いの車で通勤し、日本人学校への送迎バスの通る場所、日本食品スーパーに近い物件つまりバンコク・スクンビット地区での投資が王道であった。

その後、どんどん値段が高くなっていき、そういった中心から沿線へと開発が伸びるにつれて、それらを投資目的で買っている人も出てきている。だが、居住目的のタイ人ならともかく日本人へのテナント付けには苦労するし、買ったはよいがどうすることもできなくなっている人もたまに相談に来る。これからはデベロッパーからの投げ売りや、投資家の投げ売りもあるだろうので、焦らずに物件を物色するには良いタイミングかと思われる。

フィリピンも一頃に比べるとだいぶ高くなった。ただ、インフラをゆっくりではあるが、改善させており、電車、地下鉄、高速道路の工事も行っている。また、引き続き人口も伸びており、まだ、平均年齢も若い。

ベトナムも急速に発展している。ただ、まだ社会主義国であり、私の知る限りでも2回は経済が破綻した。今は急速に資本主義の方向にむかっているが、いつまた逆行するのか、このまま発展していくのか注意しておく必要がある。

こんな業者は要注意!

ここからは、日本人を食い物にする日系海外不動産業者がよく行う手口について述べたい。

(1)売れ残り物件を売る

成長しているアジアは空前の不動産ブームである。大手のデベロッパーには現地の投資家が殺到しており、海外の投資家に売るインセンティブはあまりない。したがって、良い物件には代理販売コミッションを払ってくれないので、売るのに苦労している物件を扱いたがる業者が多い。

そのため、日系企業で扱っている物件をみると「え、こんなディベロッパーの物件売ってるの!?」と思ってしまうものが多い。

そして、そういったものは数百万円から1000万円位の物件が多い。いまどき新興国でも、一等地で信用リスクの少ない賃借人向けの物件でそんな低い値段の物件はみたことがない。

(2)利回り保証物件について

よく3年~5年保証、買い戻し条件付き、しかも有名デベロッパーのものといった触れ込みのものも目にする。アジアでは計画段階から綺麗なショールームとビデオを作成し、建築前から物件を売り始める。

ファンディングは比較的金利も高く、また、プロジェクトごとに会社を設立するケースが多い。 有名なサービスアパートメントがテナントで、当初3年間利回り保証とうたった案件では、途中でプロジェクト会社を売却し、その後その会社をつぶし、買い手企業が元々の利回り保証をなくしてしまった。利回り保証案件は、そうしないと売れないから売っているにすぎず、私は勧めない。

(3)新築振込詐欺について

新築物件を購入する場合は、その物件を作っているデベロッパーに直接振り込む。しかし、なかには一度自社に振り込ませて、そこからデベロッパーに振り込むように投資家に伝えていた会社があった。ある程度振り込ませた後で、会社を潰すケースや、デベロッパーが手違いにより、他に売っていました、なんてことを言う仲介会社もある。

以前相談されたケースでは、日本に会社はあるものの、振込先会社はマカオ、シンガポールにあり、その会社からフィリピンのデベロッパーに振り込むというスキームであった。その後、そのシンガポールの会社は破綻し、投資家は基本的に泣き寝入り、振り込んでいたはずの金額のほとんどはデベロッパーに渡っておらず、改めて払い込み直したり、もしくは人によっては泣き寝入りしたりというケースもあった。

(4)所有権

国によっては外国人がそもそも土地を買えなかったり、現地法人を設立しなければ買えなかったりする。「現地に法人をつくるのは手間やコストもかかるので、うちの会社名義で登記をして、云々」と提案されたときは、やらないほうが賢明である。

その会社がつぶれるリスクもあれば、現地の人の名前を借りる場合も、名義を貸してくれた人が亡くなったりした場合、どんな相続人が出てくるかも分からないし、情報共有されておらず、トラブルとなったケースもある。

(5)雑誌社(出版社)や第三者による紹介

最近アメリカ不動産でトラブルを抱える相談者が良く来る。相談内容を聞くと、有名な雑誌社が主催するセミナーで知り合った不動産業者だったので信用したとか、ブログや本で知名度の高い方からの紹介ツアーだったので信用したということが多い。

こういった紹介者のなかは、セミナーセットアップ料金や、業者からの約定ベースでのリベートをもらうビジネスモデルで、しっかりしたデューデリジェンス(投資対象の調査)もなしにおすすめしている者もいるようだ。海外不動産については業者への依存度が大きいので、安易な判断は避けるべきである。

新興国独特の賃貸付け事情

購入した後の賃貸付け、管理をどのようにしてゆくのかも考えておく必要がある。弊社では現地の管理会社いくつかと提携しながら行っている。

新築物件を購入した場合、引き渡しから賃貸付けまで、多少時間がかかる場合もある。新興国の場合、引き渡しは下の階から徐々に開始してゆき、その間も、上の階では工事が行われている場合もある。したがって、入居テナントも、建物がある程度出来上がってから決まってくる。

考え方にもよるが、初期不良やトラブルなどに対して、デベロッパーが無償で保証(修理)する期間があるので、多少安くても早めに貸してしまって、徐々に賃料を上げてゆくことをお勧めする。日本と違って、初期トラブルが一通り終わっているとみなされるため、新築よりも以前住人がいた物件のほうが好まれるケースも多い。

以上、アジア不動産投資について早足で述べたが、甘い言葉は信じず、慎重に吟味して投資して頂きたい。

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