2018年度の大容量キャパシタ市場は、前年度比146.4%の83億6,700万円
~車輌のバックアップ電源用途などLiCの新規需要が立ち上がり、市場を牽引~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の大容量キャパシタ市場を調査し、市場規模推移、製品セグメント別動向、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。
大容量キャパシタ市場規模推移と予測
1.市場概況
容量100F以上の大容量キャパシタ市場は拡大傾向にあり、2018年度の大容量キャパシタ市場規模(メーカ出荷金額ベース)を前年度比146.4%の83億6,700万円と推計した。
タイプ別に市場をみると、自動車のアイドリングストップシステムや建設機械等の回生用途などのEDLC需要はほぼ横這いに対し、トラム(路面電車)や地下鉄の車輌等のバックアップ電源用途などのLiCの新規需要が市場規模の拡大に大きく貢献している。
2.注目トピック
製品性能に違いが少ないEDLC。LiCはメーカで品揃えや特性に違い
EDLCは、製品化以降の歴史が長い分、製品性能の点でメーカ差は見られない。
一方で、製品化の歴史が短いLiCは、参入メーカによって製品特性やターゲットとする用途、品揃え等展開内容が異なる。LiCは、セル形状や温度特性に特徴を出した製品があり、メーカにアプリケーションに合わせた提案していく意図が明確に現れている。また、セル単体の性能によってユーザ企業に用途開拓を委ねるというよりも、用途を確定してセルの仕様を合わせていく取り組みが進んでいる。
3.将来展望
新たな需要開拓策に乏しいEDLCは減少こそしないものの目立つ伸びは期待できない一方で、LiCは自動車の電動化など用途の拡大が見込まれ、市場を牽引する見通しである。2022年度の大容量キャパシタ市場規模(メーカ出荷金額ベース)は、2018年度対比153.6%の128億5,000万円になると予測する。