デジタルコンテンツ市場,2019
(写真=Wright Studio/Shutterstock.com)

デジタルコンテンツにおけるQRコード決済の活発化

~顧客データの利活用による高度なマーケティング施策の展開も~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、デジタルコンテンツ(電子書籍、音楽配信、動画配信、SNS、EC、インターネット広告、情報配信サービス)市場を調査し、市場概況、主要企業動向を明らかにした。ここでは主に電子書籍の流通構造を取り上げる。

電子書籍の流通構造

電子書籍の流通構造

1.調査結果概要

電子書籍の流通構造は図のようになっている。電子書籍ストアで電子書籍を販売した際には、販売金額(売上上代)の約40~約50%ずつを電子書籍ストア、出版社で按分する(料率は出版社や作品により異なり、幅がある)。また、アプリストアを通して販売する場合、売上上代の約30%をアプリストアが得る。この場合は、残りの約70%を電子書籍ストアと出版社で按分するが、双方の料率は下がる。しかしながら、電子書籍ストア各社はアプリをビューア(閲覧のみ可能なアプリケーション)のみで提供したり、そもそもアプリを提供していない事例が多い。その一方で、マンガアプリは、元来アプリ経由での支払いに慣れている若年層が主要顧客層であることから、アプリストア経由の課金が主流になっている。

2.注目トピック

QRコード決済による顧客データ活用の活発化

2018年後半に国内有力プラットフォーマー事業者各社は自社QRコード決済の普及を狙った大規模なプロモーション活動を相次いで行った。

この背景には、自社経済圏への顧客の囲い込みのほか、実店舗利用者の購買データを取得することにある。事業者各社はこうした顧客データや購買履歴を各事業者が展開する広告事業に利用し、ターゲティング広告の精度向上を狙うほか、実店舗での顧客の購買効果測定にも利活用することを目的としている。さらに、プラットフォーマー事業者各社の運営するデジタルコンテンツサービスにおいても当該データを活用したレコメンド機能にも応用することが可能になることから、より高度なマーケティング施策を展開するものとみる。